……ああ、こんなにスペースが余ってる……

……ああ、こんなにスペースを余らせている僕の心

胸の高鳴りに合わせて君への思いが募るのは分かるだろうね?

君が好き模様、そして僕のことを、もっと好き模様になってほしい

……ああ、ダメだ、僕の心の内容物が、きびきびうごいてとまらない……


ブロッコリーを噛まずに呑み込むような胸つかえの日々

こんなにスペースが透き通るのに、おあずけステイホーム

だけれど愛おしいね、そしてスペシャルだよ

スマートスペシャル、スペースな心

湯豆腐みたいにうぶな心、だけどその分ホットだね

……熱を溜めこみ、心ぬくもらせる、……僕と君の肌はまっしろでおそろいさ……

僕たちのユニークな恋は、……やっぱりユニークに叫ぶ……大豆、豆腐、湯豆腐!


木枯らしに吹かれる季節だというのに思いだされるのは夏の記憶

降り注ぐサンサンなサンデー、焼けた砂浜で見つめ合いながら、かすれた声でグラシアスを交わし合う僕たちの青春、……青い春はやっぱりどこか桜風味なお年頃……


悩ましげにさらさらゆれる君の髪、僕の読唇術はせせらぎを口ずさむ

もう僕たちは根本的に癒着しているんだね、シェイクハンドな魂の会話劇

かたい握手は時代遅れだなんて、そんな無粋は僕たちの耳には入らない

入ったところで耳抜きのひとつでいちころさ、シャボンのはかな蒙昧もうまいな夢のよう

それはまるで、醤油に溶けゆくワサビの哀愁……ソイなソースはソイソース……


君を想うと、もう世界は君だけになる、僕さえ消える逃げ水まみれの蜃気楼

ここはどこ? 僕は誰? 君はスペシャル

寸止めされた恋心、だけれどね悪くはないんだこの感じ


息絶え絶えになりながら、ココアひと口さえ飲めば甦る希望のひかり

胸を貫通する運命のリズム、顔赤らめるシャイな心臓

君との愛は神話になって、子々孫々ししそんそんまで語られるね?

うん、いいね、君の喉仏のどぼとけが喜びいさんでうなずいた


……ああ! 君想うと溜め息が出る……ココアな溜め息はココアのまどろみ……

……む? やや! ……すごい……僕のスペースが空いていく……

……ああ……僕にはまだ……こんなにスペースが余っていたんだ……

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