食欲地獄
茶菓子では足らぬと大声張り上げ
湯呑みで
太ももを
おそらく
それでは足りぬ、それでは足りぬと喜び
およそ人であるまじき形相のこころ
ついたてのような
あれが食べたい、あれも食べたい
「だって、指には味がないんだもん」
諸事情なくとも、美食しょくすることやめられない
ああ、不甲斐ない、あたいもう、食欲の奴隷じゃないか
おせんべい、三枚のつもりが三十枚
クソだわ、もうホント、クソのクソッタレ
「おいお前、……俺が何した?」
食欲減退のため、蜘蛛の紙芝居のはじまりはじまり
それさえも、おだんごが連想される始末の不始末
ああ、今日もまた、カロリー計算の夜が
足し算引き算繰り返し、記憶のうすれ、四捨五入の主張がえげつない
気がつけば、三日分のおやつ腹に収めてました、このあたい
記憶はほとんどありません、どこ探しても、あられのひとつもありません
もはや何もかもが手遅れで、申し訳はほとんど死に掛け
語られる遺言は、「……なんだっけ、あれだよ、あれ……あれって、なんだっけ?」
もう、記憶喪失になるより、他に道はない
「ココアどこ? お口直しのココアはいずこ」
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