戸と戸。

『戸』と『戸』。 


『と』は接続詞。いいえ、正確には接続助詞。

『と』は『戸』と『戸』を繋ぐ。

言葉を繋ぐ『と』。

『と』は、貴女と私だって繋ぐ。

貴女と私。

『貴女』『と』『私』。

貴女も私も言葉だよ。

貴女は『貴女』で、私は『私』。


なら『戸』は?

『戸』は漢字。

古代文字、唯一の生き残り。表意文字で、表語文字。


戸は戸の造形から生まれた。つまり、『戸』は『戸』


戸は戸。

『戸は戸』。

上から読んでも、下から読んでも、戸は戸。であるからして、戸は戸。である。

奇妙な符合。

あるいは強引なこじつけ。

でなければ無作為な羅列。


戸が先か、戸が先か。

因果のジレンマ。

戸が最初にあったのか、それとも戸の方だったのか。

どちらが先に生じたのか。


『戸は戸から生まれた』これは真理。これで正解。

まったき真理は、トートロジーでしか示せない。

『戸は戸から生まれた』。


戸のトートロジー。

『戸』のトートロジー。

『戸』は『戸』。


『私』は『私』。


『貴女』は『貴女』?

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