一等賞じゃないのなら
ねぇ 首吊りみたいに一気に私を絞め殺して
なのにどうして? どうしてなの? どうして片手で済まそうとするの?
貴方の左手が暗闇をまさぐる 涙で滲んでそれが何なのか分からない
握り締めるシーツが血で滲み 赤に染まっていく
走馬灯が頭の中を掻き回す 独占欲が認識の外で私を見ている
砂場のバケツ お絵描きの一等賞 話題の真ん中
あの子の隣 あの子の視線 あの子の掌 顔も忘れたあの子が別の誰かを見詰めてる 息が詰まり 爪が掌に食い込んでいく 抜けた血液巡りめぐって頬を伝い落ちた
銀シールを引き裂くように破り捨てたチューリップの絵 灰になって世界に均等に均された
私に銀シールを貼り付けたのは誰? 溶け合ってもう剥がせない 落ちる涙に乾いた砂場が歓喜する
元は岩でした 大きな岩でした それはそれは大きな岩でした 他の私を見掛けたら弔ってあげて下さい お願いしますよ お願いしましたよ?
ねぇ、両手を重ねて私のお喋りを押し潰して
お願いよ なのにどうして? どうして遺言は潰してくれないの?
私のこと一番に愛していないのに やめて私の好きを壁に掛けたりしないで
瞳が割れて視界が徐々にずれていく 乾いた砂が瞳から零れていく
バケツみたいな空っぽの頭 黄色 赤 青 オレンジ プラスチックの頭蓋骨
すごいすごいと囃し立てる規格に合わせた内容量
砂で一杯に満たされて 虚空に砂をぶちまける
好きでした 誰よりも 好きでした 私が一番に 好きでした 誰に言われるまでもなく
ねぇ 首吊りみたいに一気に私を絞め殺して
なのにどうして? どうしてなの? どうして片手で済まそうとするの?
貴方の左手が暗闇をまさぐる 涙で滲んでそれが何なのか分からない
握り締めるシーツが血で滲み 赤に染まっていく
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