第43話 - 強がり
さすがにオーク達は数が減っており、10体ほどの数だったがオークにしては機敏で武器も他のオーク達とは違っていた
騎士隊長が叫んだ
「ハイオークだ!みんな気をつけろ、手ごわいぞ」
ハイオークは普通のオーク達と違って強力だ、4等級ほどの魔物だろうか、オークと同等の体格だが筋肉質で鉄製の武器と鎧をつけている
最初に10体ほどが突撃してきたのち、バラバラと他のオーク達も混ざってくる
ひとり、またひとりと騎士たちが倒れていく
ハイオーク達の処理が終わる頃には騎士たちは隊長含め残り3人になっていた
さすがに一度引き返そうという話になった時だった
洞窟の入り口の方からハイオーク5体とオークジェネラルが姿を現す
騎士たちはどよめきながら話し出す
「オークジェネラルだと…くそっ2等級じゃないか」
「ジェネラルがいるって事は、オークキングもどこかにいる可能性がある…」
オークジェネラルはハイオークたちより一回り大きく、鉄製の武器と重装備を身に纏っており、騎士たちと同等の装備をしている
オークキングはオークジェネラルの上位種でオークの中では最も体が大きいオークたちの王、驚異的な耐久力と1トンを超える巨体から繰り出される攻撃力は騎士たちであっても受ければただでは済まない、等級も1級だ
巨大な鉄製武器と重装備を軽々と使いこなし、騎士一人では太刀打ちができないだろう
オークジェネラルが号令と共にハイオーク達を連れて突撃してくる
ニャーゴが影の中から先制し、ハイオーク二人を仕留め騎士3人が残りのハイオーク達を受け止める、ニャーゴはオークジェネラルを引き受け、クレアはレオを守るように構えている
「レオ、ごめんね。こんなところに…」
「クレアさん!俺だって戦えます!いつまでも子供扱いはやめてください!」
緊張するクレアの後ろからさらにオークジェネラルとハイオーク3人が現れる
「ちょっと!どれだけいるのよ!」
クレアはムチを大きく振り回しハイオーク2匹を倒す、レオにハイオークが襲い掛かり、オークジェネラルがクレアに接近戦を挑む
クレアは焦りを感じた
「くっ…接近戦は苦手なのよ!離れなさい!」
距離を取ってはムチで攻撃を繰り出すクレア、オークジェネラルは耐久力に任せて突撃を繰り返す。ニャーゴは騎士たちの援護をしながらオークジェネラルと対峙しており、手が離せそうになかった
騎士たちの悲鳴が聞こえ始める
「グアァァァ」
一人、また一人と倒れ、ついにはクレア達だけが生き残る
騎士たちを相手していたハイオーク達はニャーゴに襲い掛かり、戦いは一層激しさを増す
クレアはついにオークジェネラルの突進に捕まり、吹き飛ばされて壁に激突した
「うぅっ…しぶとすぎ…」
オークジェネラルは巨体をクレアに覆いかぶせ、のしかかる
両腕を抑えられたクレアは身動きが取れなくなった
「や!!汚い!臭い!近寄らないで!!」
精一杯抵抗をつづけるクレア、国家魔獣士とは言え女性だ。得意な距離で戦う事も出来ず、魔物の腕力には敵わなかった
それを見たレオが激昂し、ハイオークを跳ねのけるとオークジェネラルに向かって走り出す
「クレアさんに…!!近寄るな!!!」
レオは盾を構え、全力でオークジェネラルに体当たりをする
オークジェネラルはよろめき、体制を崩した
追撃を仕掛けるレオ、ハンマーがオークジェネラルの鎧のスキマを縫って脇の下へ当たる
メキメキと鈍い音が響き、オークジェネラルはたまらずクレアを放して距離をとる
間髪入れずにレオが押しのけたハイオークが背後から襲い掛かり、背中から切り伏せられてしまった
「ぐぅぅぅ、くそっ」
クレアはハイオークをムチで攻撃するとハイオークの首が飛び、崩れ落ちる
「レオ!」
クレアはレオに駆け寄り、座り込んだ
レオは苦しそうに話し出す
「く…無事…ですか?俺、役に立ったでしょう」
レオは鎧の隙間を斬られており、重症だ、ドクドクと血が溢れるように流れる
「バカ!やられたら元も子もないでしょ!」
体制を整えたオークジェネラルが武器を取り、振りかぶる
完全にレオに気を取られていたクレアは青ざめた
(しまった…避けられない)
クレアはレオを庇うように覆いかぶさり、目を閉じる
…
オークジェネラルの動きが止まっている
クレアは見上げるとオークジェネラルの口から黒い刃が二本飛び出していた
ゆっくりと引き裂くように刃は左右に分かれていく
オークジェネラルが倒れると、ニャーゴが影の中から姿を現した
クレアは涙をこらえて話し出す
「ニャーゴ!レオが…レオが…」
ニャーゴはレオに駆け寄り、状態を確認した
(結構まずいな…)
「クレア落ち着いて、ポーションを使ってまずは応急手当をするんだ、息のある騎士たちも助けなきゃ」
クレアは涙を流しながらレオを介抱する
ニャーゴも手伝い、レオの処置が終わると騎士たちを治療して回った
オーク達はさすがに全滅しただろう、追撃はない
騎士たちは高等な鎧を着ているだけあって8人ほど命をつなぎとめた
助けられるものたちの治療を終えると退却の指示を出し、洞窟の入り口へ向かう
洞窟の入り口に近づくと、複数の人影が見えた。人影はこちらに気づくとサッと洞窟の外へ姿を消す
クレアとニャーゴは青ざめ、言葉を失った。負傷者を寝かせて慎重に近寄る
…
人影は冒険者だった
比較的軽傷だった冒険者たちが治療を終えて洞窟の入り口を見つけ、様子を見に来たのだ
助かったと安心した瞬間、地響きが聞こえてくる
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