第32話 - エクセ家の指名依頼
訓練はひと月ほどで終わった
その間の生活費は全てエクセ家持ちだ、頭が上がらない
それぞれ魔術適正を見いだされ、新しい魔力武具を手に入れた
ヴィクトー
属性:火
爆発する盾と爆発する片手ハンマー
重装
オーガス
属性:水
念じると手元に戻る短刀、様々な毒効果を付与する
中装
クレア
属性:風
振るうだけで風の刃を生むムチを使う
軽装
ベアトリス
属性:地
小さな石を操り飛ばす杖と半永久的に自動で障壁を張るローブ
軽装
ニャーゴ
属性:闇
短刀二本、魔力伝達能力が高く、影を纏い黒い刃を伸ばせる
軽装
俺は魔物であるため皮膚の構造が人間とは違い、竜の鱗にも似た高度を持たせることができた。影の中を歩く猫の事は誰も知らず、文献にもない。1等級と分類された
体が魔物になり多様なスキルを手に入れたため、もう前世のヨルンより遥かに強い
今なら俺を食った竜とも戦えるだろうか…
いずれ会う事があったら戦いたいものだ
俺の紹介を兼ねてギルドに顔を出すとめちゃくちゃ騒ぎになった
人型の魔物は脅威度が高いらしく、ギルド総出で囲まれ、クレアの従魔であることがエクセ家により証明されるまで大きな騒ぎは収まらず、大変な目に会った
…
エクセ家の指名依頼は王都アウグスト北の山脈にある館の奪還
7年前から魔物に占領され、貴重な文献等が眠っているにも関わらず手が出せないらしい
3等級の魔物が多く観測され、館にはヴァンパイアが住んでいるとか
ヴァンパイアは2等級の魔物だ、パーティ戦とはいえ油断ならない
俺たちは準備をし、さっそく討伐へ向かった
…
王都アウグスト北の山脈
魔力闘法、新しい武具の効果は絶大で3等級の魔物たちではもう俺たちの足元にも及ばない
グリフォンでさえ傷ひとつ負わずに倒せる
館の前に着くとヴィクトーが話し出した
「今は昼だが館の中の日が届かない範囲は気を抜くな、おそらくヴァンパイアは地下にいる。窓のない地下の部屋だ」
中に入ると魔物はおらず、地下まで何にも出会わなかった
地下は迷宮のように入り組んでおり、図書館、寝室などの部屋、さらに大きな地下下水道がある
図書館、寝室などには何もなく、地下下水道に入った瞬間、大量の魔物に襲われた
…
地下下水道
シャドウスライムx4
吸血大蝙蝠x25
洞窟戦狼x8
どれも等級は5以下だが、数が多かった
特に魔術士がいない鉄塊にはスライム系が手ごわく感じる
戦闘開始直後ニャーゴの凶眼で10数匹の吸血大蝙蝠たちの息の根を止めるとベアトリスが石礫を操り吸血大蝙蝠たちの音響測位を妨害
シャドウスライムたちが近づく前にオーガス、クレア、ニャーゴが洞窟戦狼たちを撃破。さらに残った吸血大蝙蝠たちを仕留め、シャドウスライムたちが残る
ニャーゴを中心とした水魔術の”氷吹雪”でスライムを高質化させる作戦がうまくハマった、凍った部位をヴィクトーがハンマーで破壊し、コアを次々と破壊していく
終わってみれば40匹近い魔物を同時に相手にしており、戦闘が終わると素材採集もせずみんな座り込んでしまった
クレアが話す
「これは…訓練して新しい武具になってなければ死んでたわ~」
オーガスが話す
「これが昇級試験なら俺たちもう2級になっててもいいと思う」
ニャーゴが話す
「よく撤退せずに倒しきれたと思うよ」
ニャーゴが物音に気づく
「皆静かに、音が聞こえる」
ニャーゴは耳をピクピクさせて音を聞く
「下水道の奥から来るよ、人の足音だ」
しばらくするとマントを羽織った青白い男が現れた
ニャーゴは匂いでそれが人では無いと気づいた
「みんな戦闘準備!魔物だ!あれは吸血鬼」
吸血鬼は勢いよく地面を蹴り、天上を歩き出す
ニャーゴは影に潜り、松明の灯りでできた吸血鬼の影から攻撃する
不意を突かれた吸血鬼は右腕を切り落とされ、怒りに満ちた表情で距離をとった
吸血鬼はベアトリスに向かい突進し、ベアトリスの背後をとると首を掴みベアトリスの首へめがけて牙を突き立てようとする
ニャーゴはまた影へ潜り、吸血鬼の背後から攻撃を加えると吸血鬼は間一髪で攻撃を避け、忌々しそうな顔でニャーゴを睨んだ
「貴様!飼いならされた魔物の分際で吸血鬼に逆らうな!」
「吸血鬼ごときが俺に指図するな!」
吸血鬼は青白い顔に血管を浮かべ激怒する
オーガス、ベアトリスが援護のために石礫、毒短刀を投げつけるも吸血鬼は全て叩き落す
「お前さえいなければ残りはゴミだ…」
吸血鬼は巨大な氷の槍を作り出しニャーゴに向かって投げつける
ニャーゴはまた影に潜ると吸血鬼は叫んだ
「もうその手は食わん!」
吸血鬼は後ろを振り向き防御する姿勢をとる
ニャーゴは吸血鬼の近くまで伸びるクレアの影から出てくると吸血鬼の背後から首を切り落とした
吸血鬼はだらりと力が抜けるように崩れ落ちた
ヴィクトーがニャーゴに話しかける
「1級の戦い方は次元が違うな…」
「手の内がバレる前に仕留めないと長引いちゃうからヒヤヒヤだよ」
「俺も魔石食べたら強くなるかなぁ」
「人間やめて魔物になるの?冒険者ギルドで騒がれるよ~」
「たしかに、それはやだな」
吸血鬼を日光に当て、灰にしたあと遺品の一部をもってエクセ家へ帰った
報告を聞いたジョルノ伯は大喜びして宴会を開き、終始機嫌よく話していた
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