第30話 - 専属冒険者

アウグスト冒険者ギルド


ヴィクトーが受付に挨拶をしに行くと元気のよい娘が対応してくれた


「初めまして!王都の冒険者ギルドは初めてですか?私は受付のコレットと申します」

「初めまして、鉄塊のヴィクトーです、これからしばらくお世話になると思います。よろしく」

「こちらこそ、冒険者証を拝見します…みなさん3級ですか?」

「そうだ、7級の時からずっと一緒にいる」

「なんと!一人の損害もなく?」

「そうだ」

「それは素晴らしい!今後とも王都の冒険者ギルドをひいきにしてください。あ、それと鉄塊の皆様にエクセ家から招待状が届いております。面識があるんですか?」

「ここに来る時にお嬢様をオークからお救いしたんだ、その件だと思う」

「なるほどぉ~、将来有望ですな~。何かあったらコレットにいつでも相談してください!私も可能な限り応援させていただきまぁーす!」

「ハハ、ありがとう」


会話を終えるとまずはエクセ家へ向かう事になった、エクセ家の門へ着くと招待状を見せ、通してもらう。客間に案内されるとリリアと貫禄のある男、黒服の女性がいた


貫禄のある男はおそらく父親であろう。父親らしき男が挨拶をし、ヴィクター見る


「私は王都伯爵、ジョルノ=アウグスト=エクセだ。この度は娘の危機を救ってくれたと聞き及んでいる。私からも感謝をさせてもらいたい」

「いえ、たまたま通りかかっただけですので…」

「娘がエクセ家の専属冒険者として取り立てたいと話していてな、君たちに受ける気があれば是非お願いしたいのだが」

「はい、その件に関してはお嬢様ともお話いたしました。3級冒険者鉄塊一同お受けいたします」

「ありがたい、エクセ家にはいくつか専属の冒険者はいるが3級ともなれば心強い。これからよろしくお願いする。これは興味本位で聞くのだが、そなたらは1級を目指しているか?」


ヴィクトーは意表を突かれた質問に少し間を開けた


「は、はい。冒険者であればいずれ1級へとなりたいとは漠然と…」

「なるほど、サンドラ。どうだ?」


サンドラがヴィクトーをはじめ全員を見る


「まだ彼らは資格を有しておりません」

「資格?も、もちろんまだ試験は受かっていないが…」

「そうではありません、魔力制御を利用した闘法の事を指します。1級冒険者ともなると竜と戦う事もありますが、人間の作った武具のみでは到底太刀打ちできません。そのため魔力制御を使った武具の強化が行えることが必須です」

「な、なるほど…それらは書物か何かで学ぶことはできるのでしょうか?」


ジョルノが口を挟む


「1級を目指すのであればサンドラに指導させよう、宿も敷地内に空き家がある。それを使ってくれ」

「い、いいんですか?」

「もちろん、3級以上の冒険者は我が家はまだ抱えておらぬし、1級ともなると数えるほどしかいない。そのうえ位の高い公爵達も喉から手が出るほど欲しがる人材だ。我が家に力を貸してくれるなら我々も助力を惜しまんよ」

「あ、ありがとうございます」

「ではサンドラ、案内してあげなさい」


敷地内の空き家に案内してもらい、サンドラと今後の事を相談した

サンドラは元2級冒険者で年齢に限界を感じていた時に、ジョルノ伯に声を掛けられ、護衛兼私設騎士たちの教育係を務めているそうだ


空き家は大きく、大きな部屋が4つと居間、厨房、トイレ、風呂があり2階建ての大きな家だった。すぐに近場へ訓練場を設置すると言われ、1週間ほどで魔力闘法の訓練を開始するそうだ


ヴィクトーとサンドラが今後の打ち合わせを始めた


「これから俺たちはどうすればいいかな」

「まずは手ならしに依頼をしてもいいし、遊んでいてもいい、訓練場ができれば訓練を開始する。あとは武具について、闘法を学びながら適性を見極め、魔力武具をオーダーする。それが終わったらおそらくエクセ家からの指名依頼があるはずだ」

「なるほど。では当面は訓練が最優先か」

「そうなるな、訓練場ができるまでは王都の暮らしを楽しむといい」


自分の部屋を決めたクレアがさっそくベッドに横たわる


「なんか急に話が進んでくね~、怖いくらい」


(さっそくベッドでくつろいでるやつが言う事か)


「そういえばあたしたち3級になったけど最近ニャーゴ変異しないね?大丈夫?」


ニャ~

(意図的に止めていたからね。最近魔石も呑んでない)


「そういえばそうだね、どうして?」


ニャニャ~

(クレアたちが強くならないとこの先俺が取り逃がした敵にやられてしまうから)


「なるほどぉ、ではそろそろ認めてくれるのかなぁ?ん~?」


ナ~ゴ~

(新しい訓練も始まるって言うし、俺もそろそろかもね~)


「ふふ、認めてくれたのかな?じゃあさ、魔石買いに行こうよ。王都だし珍しいものあるかも」


ニャ~ゴ

(わかった)


俺とクレアは王都の魔石屋を巡ってかなり散財した


グリフォンの魔石

ワイバーンの魔石

ハイオークの魔石

トロルの魔石


かなり上質な魔石が手に入ったが金貨10枚を超える大出費になってしまった


「あちゃ~やりすぎちったかな…まぁいいか。ニャーゴのためだ」


屋敷に戻って俺は全ての魔石を飲むと眠気に誘われた

またバステトに会うんだろう。クレアに寝ることを伝えるとクレアも一緒に寝てくれた

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