第26話 - キノコエリア

キノコエリアに初めて入る一行はあちこちで採集から楽しんでいた


オーガスが声をあげる


「おおお!これ高級食材のキングマッシュルームだよ!まるで肉のような味わいのキノコでステーキが人気なんだ」


その後みんなで鞄いっぱいキノコを詰め込んだ


ヴィクトーが話す


「いかん、試験に来たんだった!もう鞄がいっぱいじゃないか」


オーガスが話す


「つい夢中になっちゃったね」


ベアトリスがクレアを見るとクレアは鞄はパンパン、さらに入りもしないであろう大きさのキノコをニャーゴの鞄に押し込んでいた


「ちょっとニャーゴ動かないでよ」


ニャァァ

(無理!入んない!入んないから!!)


危険地帯でなごむ一行、一通り満喫した後ヴィクトーが声を上げる


「よし、皆そろそろ行こう」


キノコエリアは擬態している魔物が多く、植物系の魔物が多かった

戦闘を歩くヴィクトーが人食い花や針穴花などの罠を張る植物に何度もひっかかっていた


「はぁ、ここは先頭が重装の俺じゃなきゃ何度か死んでるな…」


オーガスが話す


「さすが5級推奨エリアだね、キマイラより質が悪いかも」


疲れた顔をしたヴィクトーが話す


「ちょっと休もう、このデカいキノコは擬態じゃないよな?ふぅ」


ヴィクトーが盾を置き、腰かけるとぶるぶると震えだすキノコ

5メートルはあろう大きさのキノコで傘の色を確認し忘れていた


赤屋根茸だ、毒々しい色の胞子が降ってくる

慌ててヴィクトーは盾を構え後退する


オーガスが先制攻撃と言わんばかりに火炎玉を投げつけ、赤屋根茸は燃え上がる


ヴィクトーが声を上げる


「クソッ!戦闘開始だ!」


クレアが防護障壁をヴィクトーにかけ、ヴィクトーは意識強制を発動する

赤屋根茸は動きが遅く、燃え広がる火炎からは逃れられていないが体力、魔術抵抗が高いようで次第に火は自然に消えてしまった


赤屋根茸はほとんど動かないが魔術による攻撃頻度が高く、猛攻を加えてくる


”植物捕縛”(ルートバインド)

”地槍”(アーススピア)

”石礫”(ストーンバレット)

”毒胞子”


かなりの頻度で何かしらの魔術を使ってくる

ヴィクトーがスキルを使っているおかげでほとんど被害はないがかなり押されている

魔術耐性、状態異常耐性が高いため物理攻撃でじわじわと削っていくしかなかった


1時間ほど戦っただろうか、やっとの思いで赤屋根茸を討伐した

散々攻撃を受け止めたヴィクトーの盾はあちこち歪み

ベアトリスの魔力は枯渇気味、オーガスの戦闘用道具も使い切っていた


クレアは座り込んだ


「あぁー疲れたぁ、ニャーゴもいるのに火力不足って感じだったねー」


ニャ~

(植物系の魔物はほぼ動けない代わりに体力が高い)


「ほんと、こんなにてこずるとは思わなかった」


ヴィクトーが話す


「ふぅ、ホントだな。そろそろ5級で戦える武具に買い替えたほうがいいかもしれないな」


オーガスが話す


「僕たち結構魔術依存の攻撃だったんだね、物理攻撃も今後課題だな」


ベアトリスが話す


「ハァ、ハァ、こんなに…魔術使ったの…久しぶり」


魔物の解体を済ませてギルドへ戻った


冒険者ギルド


ヴィクトーが納品するとアリアが試験完了の手続きを開始した


「お疲れ様でした。結構苦戦なされたみたいですね」

「5級に今の武具じゃなかなか厳しかったよ。使い込んだ武具だけどそろそろ変え時かな」

「それでしたら試験達成の報酬に魔力武器を一人ずつ支給する事になっておりますので、後程こちらの紹介状を持って鍛冶屋に向かってください」

「おお!ありがたい。早速向かうよ」


一行は子供のようにはしゃぎながら鍛冶屋に向かった


オーガスが尋ねる


「ヴィクトーはどんな武器にするんだ?」

「そうだなぁ、前から欲しかったのは爆発する盾だ。強い衝撃を受けると魔石が反応して正面に爆風を起こすやつ」

「ヴィクトーならスキル、職業の相性がいいしそれは絶対欲しいね~、僕は短剣のリーチを補える投擲武器が欲しいなぁ、ブレスレットと一対になってて、投げても手元に召喚できるやつ」


ヴィクトーが質問する


「クレアとベアトリスはどうだ?」


クレアが答える


「あたしは単純に攻撃力が欲しいなぁ、ニャーゴがいないとあたし空気だし」


ベアトリスが応える


「私も何かしら攻撃に参加できる武器にしたいですね」


それぞれの思いを馳せながら鍛冶屋に向かい、ヴィクトーとオーガスは希望通りの武器が手に入った、クレアは風魔術が付与されたムチが与えられ、ムチ先が強く対象に当たると強い衝撃が加わるように、ベアトリスは小さな魔力弾を飛ばせる杖が与えられた


その後、それぞれ宿に戻っていく


宿


クレアはいつも通りベッドに飛び込んだ


「これであたしも5級か~10級だったころが懐かしいな~」


ナ~

(草娘だったころからすると成長したね)


「ほんと、依頼達成報酬も魔物素材もすごい金額になっちゃった。金貨なんて初めて手に持ったよ」

※銅貨1,000枚 = 銀貨、銀貨1,000枚 = 金貨


ニャ~ゴ~

(ヴィクトーの新しい防具はしばらく時間かかるらしいし、クレアも防具を見直したら?)


「そうね~久しぶりにニャーゴとデートしてあげようかな~」


ニャー

(美味しいもの食べたいな~)


「ふふ、いいねぇ。明日は久しぶりに羽を伸ばそう」

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