第23話 - 鉄塊

翌日


オーヴィルの冒険者ギルド


クレアが扉を開けるとアリアが駆け寄ってきた


「クレアさん!おはようございます」

「おはよう!」

「こちらが昨日お話した鉄塊の方々です」


アリアは振り返り、重装鎧を着た男を紹介した

重装備の男は手を差し出し握手を求めつつ挨拶をする


「初めまして、鉄塊のリーダーをやってるヴィクトーだ」


クレアは握手をし、自己紹介した


「初めまして!7級魔獣士クレアです。この子は奈落猫のニャーゴ」

「奈落猫?随分強い魔獣を連れているね、君が捕まえたの?」

「いえ、1年以上前から一緒にいて、いつも守ってくれるんです」

「へぇ、クレアの騎士ってわけか。随分大事に育てているんだね、事情は聞いたよ。歓迎する」


ヴィクトーはメンバーに目をやり、紹介していく


「こっちはオーガス、旅士だ、そっちはベアトリス、治療士。俺は盾士、6級で他は7級だ」


ヴィクトーは盾士らしく大柄でハンマーを振るう気のよさそうな男だ、24歳らしい

オーガスは旅士、細身で短剣を使う、冒険には必須と呼ばれる職業であらゆる野外技術に精通していて道具を使った戦闘が得意だ 19歳の男

ベアトリスは治療士、18歳の女の子で治癒魔術が専門、回復や状態異常の治療を得意とする


アリアがクレアに話しかける


「彼らはパーティのバランスがよく、高い依頼達成率を誇ります。盾士と旅士は敵の攻撃を受け止めたりコントロールする職でさらに回復ができるため粘り強く、等級はまだそれなりですが当ギルド期待のルーキーと言われています。」

「へぇぇ、バルトゥスさんも盾士だったなぁ。ガンガン!って盾を叩いてた」


ヴィクトーが驚いて話し出す


「バルトゥス!?一級盾士の??」

「え?…う、うん。リスホルンで5年前一回だけ依頼を手伝ってくれたの…」

「5年前!?!?き、君は若そうだけど今いくつだ?」

「15歳です…最近成人しました」

「10歳から依頼やってたの!?…よ、世の中広いなぁ…」


それからしばらく、草娘と呼ばれていたころの話などをしながら何時間も笑いながら話しをしていた


ヴィクトーが話す


「いやー、すごいね。僕が10歳の頃はまだ街の中を走り回ってたよ」


オーガスが続く


「草娘ってのも面白いね。ポーションとかの知識はある?」


クレアが話す


「うん、低級のポーションくらいなら作れる。あとは防護魔術と強化魔術を少し」


ベアトリスが話す


「ほんとに!?やったぁ!これで魔力を温存できる」


ヴィクトーが質問をしてきた


「そういえば、ニャーゴは何ができるんだい?」


クレアはニャーゴに話しかけた


「ニャーゴは主に攻撃寄りよ。ニャーゴ、何ができるか教えて」


ニャ~ゴ~ゴロゴロニャ~


(邪眼と呪眼が使える、魔術は影針と影槍、金縛り、脱力、魔脱、気脱、氷槍と水弾)


クレアはニャーゴのスキルと魔術を伝えるとヴィクトー、オーガス、ベアトリスは一堂に声を上げた


「「「おぉ~!」」」


ヴィクトーが話し出す


「さすが4級魔獣、すごい量の攻撃手段だ。俺は意識強制くらいしか使えないよ」


オーガスが話す


「僕は特にスキルはない、マッピングと戦闘用の道具作成や困難な地形の踏破が得意だ」


ベアトリスが話す


「私は治療と解毒、防護障壁と膂力増強」


ヴィクトーが機嫌よく話し出す


「よし!せっかくだし何か依頼を受けよう。今までより少し難しい依頼もできそうだな」


クレア、オーガス、ベアトリスは賛成した


「「「おー!」」」


ヴィクトーが依頼を選んでアリアに受諾処理をしてもらってきた


「今回は森林ダンジョンのキマイラ討伐をやろう。ちょっと手ごわいが魔獣は5級、パーティなら何とかなるだろう」


キマイラは5級魔獣で獅子の頭、山羊の胴、蛇の尾を持ち火炎を吐く

森林ダンジョンの湧き水エリア最奥に生息し、湧き水エリアのボスと呼んでも差し支えない

体は大きく牛より一回り大きい

巨体の割に動きも俊敏で体力も高いため盾士がいないパーティなら、被害を覚悟しなければならない相手だ


ベアトリスが話す


「リーダーがやれるって言うなら頑張るわ。準備できたら向かいましょ」



森林ダンジョン


ヴィクトーが先頭を歩き、ダンジョンに入る一同


ヴィクトーの意識強制で難なく魔物たちを撃退していく、盾士のいるパーティは安定感が抜群でクレア、ニャーゴは攻撃に集中し、これまでにない速度でダンジョンを進んでいた


森林ダンジョン:湧き水エリア


ニャーゴが気配に気づき、クレアに警告する


ニャーゴ

(クレア、隠れるのがうまい魔物がいるぞ、俺たちを見てる)


「みんな止まって!狙われてるみたい」


ヴィクトーが盾を構え、警戒する


「どこにいるかわかるか?」

「ニャーゴ、わかったら教えて」


カサカサと木の葉がこすれる音をニャーゴは捉える


ナ~

(木の葉がこすれる音がする)


「ヴィクトー、森の方。上から見てる」


ヴィクトーが構え、オーガスが目を細めて森を見る


「あれかな?」


オーガスは強い匂いを放つ煙弾を投げつけると白い体をしたジャイアントスパイダーが姿を現した


通常のジャイアントスパイダーより一回り大きく、攻撃的でパーティの上から覆いかぶさるように飛び込んでくる


全員散開し、囲むように広がった

囲んでいるように見えるが見方によっては分断されたともいえる

素早く対処しなければ危険だ

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