第21話 - 森林ダンジョン

森林ダンジョン入り口


森林ダンジョンの入り口に到着した

入り口はあぜ道が奥に伸びる森だ

地形は山を登るように緩やかに上へ向かっている

洞窟ダンジョンとは違い店は無く、他にパーティもいなかった


アントムが振り返り、説明を始める


「よし、ここからダンジョンだ、迷うと再会するのはかなり難しい。迷ったら下手に探さず、入り口に戻れ。入り口は狭いが中に入れば割と広い、俺は一番後ろを歩く。マルコ、クレア、俺、の順で進もう」


ダンジョンは定期的に魔物を生成し、行きで倒しても帰りになるとまたいる事が多いらしいなるだけ余力を残して無理しない事が肝心だと教えてもらった


入り口に入ると早速魔物がいた


ジャイアントスパイダーx1

グリーンスライムx3

グライダースネークx3


さすがパーティ推奨ダンジョン、数も多く、魔物の体も大きい

数こそ多いもののアントムは5級、自慢の弓で手際よく片付けていく


ほとんど傷を負うことなくあっという間に殲滅した

クレアはアントムに話しかけた


「アントムさんお強いですねー」

「ありがとう、ここにはもう何十回と来ているからな」

「へぇぇ、慣れてるんですね、5級っていうのもすごいです」

「それでもまだキノコエリアや大木エリアには近づけない、持ち上げてもなんもでねーぞ」


その後順調に森林エリアを抜け、湧き水エリアに到着

アントムはまたクレアに話しかける


「ここからはかなり広くなる、岩や高低差による死角も多いから気をつけろよ」


グリーンゼラチンを探しながら湧き水エリアを進んだ

湧き水エリアは岩が多く、あちこちの岩や小さな丘の亀裂から水が出ている

小さな水たまりを形成していたり垂れ流しだったりして地面は苔だらけ、全体的に湿っている

切り立った5メートルくらいの崖も多く、地面は滑りやすいので気を使って進む必要があった


しばらく探索しているとまた魔物を発見し、岩陰に隠れる

グリーンゼラチンが3体ほど群れていた


大きな岩ほどの体積がありかなり大型だ、小さな核が中に浮いており剣やムチなどでは到底届かない事が解る


アントムがハンドサインで合図をし、弓を射かける

全員で飛び掛かり、マルコ、クレア、ニャーゴがそれぞれグリーンゼラチンと相対した



うまく魔物の攻撃を躱しながら注意をひくために無駄な攻撃を仕掛け続けていると、マルコが抑えていたスライムにアントムの矢が核を捉え、溶ける


クレアとニャーゴが抑えていたグリーンゼラチンたちは一斉に水魔術を展開し巨大な水の塊が宙に生成された、押し流されんばかりの水が押し寄せてくる

クレアは巻き込まれ、岩に捕まる、ニャーゴは木に登り難を逃れた


マルコは崖下に滑り落ち、アントムはクレアと同じ岩にしがみついた

さらにグリーンゼラチンたちは水を生成し、さらに大量の水が襲い掛かる

アントムはつぶやいた


「クソ、マルコが落ちちまった。体制を立て直そう」


そういうとアントムはクレアの腕を握り、岩から引きはがすと水に紛れて崖下へ落ちていく


ニャ!

(クレア!)


クレアは手を伸ばし、ニャーゴを見る。水に押し流されあっという間に見えなくなってしまった


「ちょっと!ニャーゴがまだ残ってる!離して!!!」


アントムは力強くクレアを掴み離さない

水の流れに任せて落ちていくと大きな池にクレアとアントムは投げ出される


池から上がり、上を見るクレア

30メートルはあろう崖の下まで流されたようだ


アントムがクレアに話しかける


「ふぅ、間一髪だったな。あいつらはピンチになると一斉に水の魔術を使うんだ。あそこからだとこうして池に落ちる。水の流れる道があるからな、これを知らないやつは大けがをする奴が多い」


クレアは焦りながらアントムに話した


「ねぇ!ニャーゴがまだ上にいるの!あたし探してくる!」

「まてまて、俺を置いてく気か?いったん休もう。そこにちょうどいい洞穴もある」

「でも!ニャーゴが!」

「落ち着け、あいつは奈落猫だろ?4級でも戦うのが難しい相手だ、きっと大丈夫だろう。少してこずるだろうが」


クレアは不安になり、背中を向けるとアントムは腕をつかみ、洞穴に放り投げた


「いたっ何するの!」

「ハハ、せっかく二人になれたんだ。 “休憩” していこうぜ」

「え…近寄らないでよ!」

「おいおい、俺のおかげで助かったんだろ?あの魔物もいなくなったんだし、邪魔される心配もない」


アントムはニヤニヤしながら近づいてくる


「頻繁にパーティーメンバーが入れ替わるって、あんたなにしたの」

「俺のおかげでここでうまい飯が食えるのに、みんながめついんだ。余分に取り分よこせだとか、割に合わないだとか、男どもはみんなスライムに食わせてやったよ。女は楽しませてくれるならちゃんと送り返す。グリーンゼラチンを見ただろ?俺でなきゃ倒せない、なのに役立たず共が取り分をよこせってよ。イカれてるよな」


クレアは後ずさる


「イカれてるのはあんたじゃない!近づかないで!」

「おいおい~ここから一人で帰るのか?お前じゃ無理だろ?俺の機嫌を損ねるな」

「…こんな目に会った女の子たちがみんな黙ってるわけない、あんた送り返してないでしょ!」

「ハハ、そんなことないさ、みんな大人しく従ってくれたよ(勘がいいやつだな、痛めつけてから遊ぼうか)」


クレアは立ち上がり、走りぬけようとすると、アントムはクレアを殴りつけた


「うぅっ…」

「おい、めんどくせえことするな。小娘が敵うわけないだろ、オラ!」


アントムはクレアが抵抗を止めるまで暴行を加えた

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