第19話 - 洞窟ダンジョン
俺たちの状況はかなりまずい
横は洞窟の壁、前後には洞窟狼が3匹ずつ
クレアは急いで立ち上がり、警戒する
クレアは前を俺は後ろを、お互い背中を向けて警戒した
狼たちは頭がいい、どれかを攻撃すれば残りが襲ってくるだろう
ニャ~ゴォォォォ
(クレア、そっちを警戒しといて)
「うん」
そういうとクレアは魔術を口にした
”防護障壁” (シールド)
クレアの体の周りに小さな光の粒が浮いた
”膂力増強” (アタック・ブースト)
クレアがそう唱えるとニャーゴの血液の流れが力強くなるのを感じる
「準備おっけー」
そう言うとクレアはムチをほどき、地面を叩いて狼たちを威嚇する
ニャ~ゴロゴロゴロ
(じゃあ、俺から仕掛けるよ)
”邪眼”
俺は紫色に光る眼で後方の洞窟狼を睨むと洞窟狼たちは目を丸くし、恐怖に体がすくむ
邪眼の効果はそう長くない、だいたい30秒くらいだ、一気に仕掛けよう
俺は端っこにいる洞窟狼に飛び掛かると首に噛みつき、次の洞窟狼を爪でひっかく
残りの洞窟狼にくわえた洞窟狼を叩きつけると、小さく後ろへ跳んで尻尾を自分の影に浸し、闇の魔術を念じた
”影針” (シャドウ・スパイク)
洞窟狼たちの影から黒い槍が伸び、洞窟狼たちを貫く、後方の狼たちは動かなくなった
クレアは後ろの洞窟狼たちが戦闘不能になったのを確認すると、前方の狼にムチを振るう
狼はムチを避け、残りの狼が素早くクレアに飛び掛かる
クレアに飛び掛かる洞窟狼に俺は飛び掛かり、爪を立てて頭を地面に押さえつけた
爪が洞窟狼の首に食い込んでいく、しばらく暴れていたが動かなくなった
残り二匹
俺は右にいた狼に飛び掛かる、首に噛みつき顎に力を入れた
すかさず左の狼が俺の腕に噛みつき、首を振る
クレアはすかさずムチを振るい、俺に噛みついた狼は悲鳴を上げて飛び退いた
隙を見せた狼に闇の魔術で追撃する
”影針” (シャドウ・スパイク)
左の洞窟狼は絶命した、くわえていた洞窟狼を振り回すとしばらく抵抗したが力尽きた
「ふぅ、ニャーゴ噛まれたところ大丈夫?」
ナ~
(あれくらいじゃ傷にもならないよ)
「ニャーゴは強いねぇ」
ンナ~
(クレアがいてくれるからね)
「お!嬉しい事いうねぇ、撫でて欲しい?」
ニャニャ
(帰ってからにしなよ、素材集めて)
「あはは、帰ってからなら撫でてほしいのかぁ~しょうがないなぁ~」
魔石と素材を処理し、先に進む
しばらく奥へ進んでいると、少し離れたところにまた洞窟狼の集団が見えた
洞窟狼6匹と灰色の狼たちとは違う毛色の洞窟狼がいた
その毛は白みがかった灰色で、他の洞窟狼たちとは明らかに違う
「ねぇ、ニャーゴあれ」
ニャッ
(変異種だね、先に仕掛けよう)
「うん、あたしが光源を作るよ」
ナ~
(わかった)
闇の魔術は影が濃いほど威力が高くなる
クレアが光源を作って影を濃くし、俺の闇魔術で一気に仕掛ける
変異種だけが攻撃を躱し、その他は全て一撃で片付いた
残りは変異種だけだが、少し感がよく力が強い程度で難なく倒した
「意外と簡単だったね~素材を手に入れたら納品して依頼完了だ」
素材をはぎ取り、街へ戻るとアリアに報告した
「お疲れ様でした、無傷で帰還されたんですね。その様子でしたらパーティを組んで森林ダンジョンに向かわれるのもよいと思います」
クレアはギルドの中を見渡し、アリアに質問する
「パーティって今誰か募集してるの?」
「お急ぎでしたら “樹の洞” というパーティが募集しています、頻繁にメンバーが入れ替わるので情報収集されてから参加することをお勧めします」
「ふぅん、なんで情報収集なんだろ?まぁいいや今日は疲れたし明日聞いてみよ」
クレアは俺を見て話しかける
「よし、ニャーゴ素材を売って今日は宿でご飯たべよ」
俺たちは宿の部屋へ戻った
「なんだかんだ時間かかったねーもうすぐ夜だ」
ニャ~
「ダンジョンは外の時間がわかりづらいからね」
「うんうん。あ、そうだニャーゴ魔石は全部売らずにとってあるよ?食べる?」
ニャーゴ
(たべる!)
クレアはベッドに寝そべり、足をパタパタさせ初めてのパーティに思いを馳せる
「パーティか~初めてだなぁ、どんな人なんだろう?容姿端麗な若い騎士でさ、危ないとき守ってくれちゃったりして!や~!そんなの物語のお姫様みたいじゃ~ん」
俺は浮かれるクレアを見て心の中で思った
(んなわけねーだろ、騎士が冒険者ギルドで日銭稼いでる時点でおかしい事に気づけ)
「ウヘヘ、それで大丈夫か!なんて言って手を引いてさ…俺が突破口を開く!なんてなんて…や~!もうドキドキしちゃう」
クレアは鼻の下を伸ばしまくりで独り言を続ける
(妄想は心の中でやれよ、聞いてるこっちが恥ずかしい)
ニャ~
(クレア、もう寝るよ)
クレアは俺を見ると赤面した
「ちょっと!ニャーゴ聞いてたの!?乙女の夢を盗み聞きなんてモテないぞ~」
(被害者は俺の方なんだが…)
…
目を覚ますとまた大きな木の前にいる
(またここにきたか)
バステトがいつの間にか横にいる
「なーん。順調だね」
(やぁ、君は変わらないね)
「女神だからね」
(古い友人、俺の良く知る人物って、もしかして森の魔女?)
「なーん。正解。彼女は君たちが望めば力を得られるよう、あたしに頼んだんだ」
(魔女はなんで殺されたんだ)
「人間の傲慢さ、愚かな生き物だからね」
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