第17話 - 帰還

ジャイアントスパイダーは動きが鈍くなった


クレアは間一髪転がって攻撃をかわすと、木を盾に体制を立て直す

クレアはムチを構えた


ニャーゴより討伐等級が低いとはいえ俺たちの等級からすれば手ごわい相手だ

邪眼の効果があるうちに畳みかけよう


クレアはムチをほどき、ジャイアントスパイダーに投げつけるとムチが伸び切る頃に素早く引く。すると音速に迫る先端が足に当たり、足をひとつ吹き飛ばす


キィィィィィ


ジャイアントスパイダーはよろめきながら体制を立て直そうとする

俺は上から一気に飛び降り、背中に着地した

ジャイアントスパイダーは更に体制を崩し、地面に這いつくばる


俺はその間に前足を二本、食いちぎってやった

顔をガードするものはない、すかさずクレアがムチを投げ、引くとジャイアントスパイダーの頭を潰し、絶命した


ナ~ォ

(危なかった、けど幸先よく一つ目の目標が倒せたね)


「ふー、緊張したぁ」


ニャー

(よく動けていたよ。トドメも刺した、上出来だよ)


「ふっふっふ。もっとホメたまえ」


ニャニャ

(ハハ、じゃあ俺は魔石を貰うよ)


「うん、後の解体はやっとく」


まだ日が高いうちに倒せたのは運がよかった

これで夜までに寝床を探して仮眠を取れる

夜の戦いに備えよう


少し歩いたところで近くに魔物の巣がなく、通り道にもなっていなさそうな場所を見つけた

クレアはせっせと簡易キャンプを作成し、準備が終わると周りに罠を仕掛け始めた


ナ~ォ

(大分て慣れてきたね)


「うん、ニャーゴに教えてもらったから」


薬草を採取しながらちょくちょく作っていた成果が出ている

手早くキャンプを張り、罠を用意して警戒する


念のため魔物が嫌う香も焚いてくつろいだ

軽く食事をとると緊張したせいか眠くなる


「ニャーゴ、あたしちょっと寝る」


ニャーゴ

(わかった、後で起こすよ)


クレアは眠り、俺は周りを警戒しながら浅い眠りについた



何事もなく夕方になり、クレアを起こして狩りの準備を始めた

キャンプを片付け罠を回収する

片付けが終わる頃には周りは暗くなっていた


俺は尻尾に火を灯すとクレアのたいまつに火をつけた


「これでグライダースネークはあたしの正確な位置を見分けられなくなる」


ニャー

(そうだね、襲われるとしたら俺からだ)


「熱を感知する生物だからね、強い熱源があるとわからなくなる。でも目立つから呼び寄せちゃう効果もある、と」


ニャーン

(そう、あとは通り道で待ってればいい)


蛇の足跡を探し、ニャーゴが神経を集中して待つ。クレアは少し離れたところで待っている

しばらく待っていると音が聞こえてくる


ズズズズ ヒュー パシッ


グライダースネークが木の上を移動する音だ


ニャッ

(クレア、来るよ)


ズズズズ ヒュー


グライダースネークは目論見通り、ニャーゴへ飛び掛かってきた

俺は直前でかわし、グライダースネークは地面に叩きつけられる


俺は闇魔術でグライダースネークを攻撃する

”金縛り”


グライダースネークは地面に叩きつけられた体制のまま動けなくなった

ピクピクと抵抗を続けているが動いていないに等しい


クレアは素早く近寄るとグライダースネークの頭の付け根にナイフを突き刺した

激しく筋肉が収縮するが、動くことのできないグライダースネークは数秒後に息絶えた


「ふぅ、ニャーゴのおかげで楽に狩れる」


ナ~

(崇拝せよ)


「ハハァ~ニャーゴ様~」


談笑しながら解体し、俺は魔石を、クレアは素材を回収した

夜移動するのは危険なので朝まで待つことにし、さっきの休憩場所まで戻った


「意外と簡単だったな~、ニャーゴはどうだった?蜘蛛の時はちょっと危なかったね」


ナ~

(危なかったのはクレアね)


「音がしないからちょっとヒヤッとした」


ニャン

(森の暗殺者だからね、それでもよく倒せた)


「成長したでしょ~。次の街はどんなところかな~」


そのまま夜明けを待ってギルドへ移動した


ギルドに着くと素材を渡し、メリッサに手続きをしてもらうと7級冒険者になった


「おめでとう!これで7級だね、これからはパーティ推奨の依頼も多くなるから気を付けてね、等級通りの難易度ではない場合があるの、その場合は受付が教えてくれると思うからあまり気負わないでいいけど」

「うん、ありがとう!また近くに来たら寄るよ!」

「うんうん、いろんなお話聞かせてね!いってらっしゃい」


冒険者ギルドを後にし、門を出る


「さ、次の街はど~こだ」


地図を広げて現在地を確認する

街道沿いに西へ進んでいけば次の街にたどり着くみたいだ


おおよそ5日くらいの旅になるかな

村が襲われた後のサバイバル生活を思うと安心感が違う

今は俺もクレアをそこそこ頼ることができる

旅の途中で変異の条件を満たしてもクレアが安全な拠点を築いてくれるだろう

頼れる仲間がいるって素晴らしい


「次の街はオーヴィオだって、ダンジョンが近くにあって冒険者ギルドが活気あるんだってさ~」


ニャ~

(ダンジョンか~行ってみたい?)


「当然でしょ~!いいアイテム拾えたりしないかな?宝箱とかある?」


ナ~ン

(あるといいね~)


高級な魔力武器などはボスが持っていることはある

ダンジョンの一部に知識のある魔物がいる場合はため込んでいるかもしれないが街に近いダンジョンの場合は大抵見つけられた後だ

ヨルンの知識でいえばオーヴィオも行ったことあるんだけどクレアの楽しみを奪いたくないので当分黙っていることにした

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