第15話 - 昇級試験

クレアと一緒に街に出た


日は傾き始め、夕方になり始めている。

仕事を終えた人で溢れかえり、酒場や宿屋なんかは大盛況だ


クレアはご機嫌で歩きながら話しかけてくる


「かばん屋さんどこかな~」


ニャ~ゴォ

(道具屋かなぁ、この辺にはないみたいだしもう少し歩こう)



道具屋を発見し、中に入る

店主がクレアを見て挨拶をする


「いらっしゃい、何が欲しいんだ?」

「あ、こんばんわ!この子の鞄ってありませんか?」


俺がゆっくりと中に入ると店主は驚いた


「おぉぉ、大きい猫だね…こんな魔物は見たことがないな」

「うん、寝て起きたら大きくなってた」

「へぇ、魔物ってのはそんなことあるんだな。ちょっと待ってろよ」



店主は奥に行き、しばらくゴソゴソしていると出てきた


「その大きさなら小さい鞄でいいだろう、人間用でも十分に使えるんじゃないか?」


クレアが試着してくれた、鞄の留め金部分が邪魔だが少し改造すれば前のと同じように使えそうだ


「ニャーゴ似合ってるじゃん、おじさんこれいくら?」

「銅貨200枚だよ」


クレアはお金を払うと満足そうにしていた


「ふふ、初めてニャーゴにプレゼントできた」


ニャ~

(大事にするよ、少なくとも、次の変異までは)


「その時はまた一緒に買いに行こう、依頼もいっぱいやらなきゃね」


5年後


クレアは成人した


あれからコツコツと薬草採取を続け

今では簡単なポーションなら作れるようになり、魔物の本なども読んでいくつかの知識も身に着けている


装備もそれなりに整い、武器はムチ、布と革を中心とした軽装防具

魔獣士らしい格好になった


魔術に関しては従魔強化魔術と自分を守るための防御魔術を覚えた

今は10級だが正直7級くらいならもう一人でも何とかなるだろう


今もゴードンさんの家でお世話になっているが、今朝は大事な話があるといって朝食の時間に話しを切り出した


「ゴードンさん、アイサおばさん。あたしね、冒険に出る」


ゴードンは黙って食事を続けている

アイサはスープを飲んだ後、話し出した


「冒険なんて行かなくっても暮らしていけるよ?」

「うん…でも…強くなっていろんなところ旅して、いつかはお父さんとお母さんのお墓も作って…」


ゴードンは朝食を食べ終わると匙を置いた


「クレア、今まで努力してきたのは知ってる。でもワシらもお前を支えるためにいろいろとしてきた」

「あ、うん…ありがとうございます」


クレアは申し訳なさそうにうつむいた


「いや、いいんだ。そうじゃない、冒険に反対しているんじゃないんだ。たまには帰ってきておくれ」

「うん」


アイサが続いた


「いいかい!あんたはうちの子同然なんだ。いつでも帰っておいで、彼氏ができたら連れてきな!結婚するときもだ!子供ができたら必ず連絡するんだよ?あたしは…寂しいよぉ」

「ごめん、街の近くに来たら必ず寄るようにするよ」


アイサは泣いてしまった

クレアは少し困った顔で微笑むと、家を出た


「あぁ、幸せだったなぁ」


ナ~ゴ

(挨拶は終わったかい?)


「うん、あんな風に言うのは卑怯だよ。あたしも寂しくなっちゃう」


クレアはぐっと涙をこらえて背伸びをした


「まずは昇級試験受けよう、受かったら次の街に行くんだ」



冒険者ギルド


メリッサへ挨拶をして昇級試験を受けたいと伝えるクレア


「メリッサさん、今日は昇級試験受けたいの?どうすればいいのかな」

「あれ?もうそんなに経ったのかぁ早いね~、ちょっと待ってねマスター呼んでくる」


ギルが奥から出てきてクレアとニャーゴをじっと見つめる


「デカくなったもんだなぁ。草娘って呼ばれてたのが懐かしい」

「エ、ヘヘ…」

「生意気ばっかり言ってた小娘がもう成人したか」

「ギルさん、昔の話はいいから!昇級試験!」


クレアはこれ以上恥ずかしい話を切り出されまいと必死に話をすり替える


「あぁ、そうだったな。すまん、昇級試験はこれだ」


====================


場所:リスホルン森林

条件:以下の魔物素材調達


ジャイアントスパイダーの牙x1

グライダースネークの牙x1


====================


「昼と夜、それぞれにしか出ない魔物だ、1泊は覚悟しておけ、お前たちならこれでもやり遂げられるだろう」


ナ~

(9級の内容じゃないな)


「え?そうなの?ギルさんこれ達成できたらあたし何級になるの?」


「7級だ、混沌の猫はギルドで討伐依頼を出すなら6級だからな。それくらいやれるだろう」


クレアはギルに抱き着いた


「ギルさ~ん!私たちの事ちゃんと評価してくれてたんだね~!」


ンナ~

(俺しか評価してなかっただろ何聞いてたんだ)


「こらこら、まだ試験は終わってないぞ。油断せず挑めよ」

「はーい!いってきまーす」


クレアが走り出すとギルは戒めた


「道中対象外の魔物も多く出るからな、気をつけろよ」

「わかってまーす!」


クレアがギルドを出るとギルはつぶやく


「まったく。あーいうとこは草娘のまんまだな」


メリッサは感慨深そうにギルに話した


「ほんっと、あっという間に大きくなりましたね~」

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