第14話 - バステト
俺たちは魔石をとれるだけ取り、ネズミの素材を集めた後、屋敷を後にした
漏らしたクレアを抱えてギルドへ戻る
冒険者ギルド
バルトゥスはクレアを椅子に座らせ、メリッサへ依頼完了の報告と状況を報告するとバルトゥスがテーブルへ戻ってきた
「クレア、大丈夫か?」
「う、うん。こ…怖かった」
「ハハハ!最初はそんなもんさ。知識をつけるといくらかマシになるよ」
「そ、そっか…おじさんみたいに強くなりたいなぁ」
「ハハ、勉強と鍛錬をすることだね」
状況を聞いたメリッサとギルがやってくる
ギルはバルトゥスに大げさにお礼を言った
「バルトゥス殿!この度はありがとうございました。まさかこんな事になっているとは」
「いやいや、あれでも8級のパーティならなんとかなるさ、俺はたまたまいただけだからな」
「いえ、下手をすればクレアの命が危なかった。本当にありがとう」
「うーん?たぶん大丈夫だろ。俺がいなくても」
ギルとメリッサ顔を見合わせた
「どういう事だ?」
「今回はニャーゴの作戦で勝ったんだ、誰も傷つくことなく」
ギルとメリッサがニャーゴを見る
「魔物…が…?」
バルトゥスもニャーゴを見る
「ニャーゴとクレアはいい冒険者になる。俺が保証する」
「1級冒険者のお墨付きとは…」
ナ~ゴ~
(クレアは漏らしてただけだけどな)
クレアは赤面して俺の頭を叩いた
メリッサがクレアに話しかける
「?…どうかしたの?」
「な、なんでもありませんわ。ホホホ」
クレアは目を反らし、力の限り強がった
ギルドを後にし、素材を売ると銀貨1枚になった
銅貨1,000枚分だ
クレアは興奮して財布を覗き込んでいる
「ほぉぉぉぉ~、ニャーゴ卿。銀貨だ」
ナ~
(貴族は銀貨ごときで興奮しないぞ)
「わかってないなぁ、ニャーゴ卿。これは我々の偉大な一歩だ」
ンナッ
(ハイハイ、俺は眠くなってきた。寝るよ)
「え?もう?うーん、まぁお金になったし今日はいいか~一緒にねよ」
日は高かったが俺たちは家に戻って寝た
…
目を開けると大きな木の前にいる
(またここに来たのか)
バステトが後ろから現れる
「なーん。また会ったね」
(ひさしぶり)
「従魔になったんだね」
(わかるの?)
「君の事ならなんでも」
(ふーん、古い友との約束ってなんだい?)
「君がよく知る人物」
(端的な情報でわかりづらい)
「神の言葉なんてそんなもんさ。さぁ、君が選ぶことのできる道を示そう。今回も選べる道は4つだ」
それぞれの姿が頭の中に流れ込んでくる
・三又
尾が三つに分かれた猫、そこそこの火魔術が使える
小型で毛は赤黒くなる
・混沌の猫
尾は一つ、漆黒の毛を持ち、睨むだけで麻痺や恐怖を植え付ける邪眼を使える
今の体よりは大きくなり、そこそこの闇魔術が使える
・タイガーキャット
中型の猫で力強く、素早さも持ち合わせた近接系。
毛は黄色で黒い斑点模様になる
・雪猫
四肢が長く、白い毛を持ち、首の周りに長い毛を蓄えている
素早く、しなやかな動きで敵の攻撃を回避できる、またそこそこの水魔術が使える
バステトは歩み寄ると、あぐらをかいて俺を膝の上に乗せる
両手で俺の頭と顎を撫でまわしはじめた
「なーん。こうして膝の上に乗せられるのもいつまでだろうか」
ゴロゴロゴロゴロ
火魔術が強くなるのは捨てがたいけれど、ひと睨みでマヒが使えるのは魅力だ
クレアがワイルドウルフに追われていた時は活躍したことだろう
今後もクレアのピンチは続く、クレアはそう強くない
(混沌の猫)
「なーん。大きくなってしまうね、もしかしてあたしの膝は嫌だった?」
(そんなことはない)
「そっか、よかった。混沌の猫は闇魔術が使える猫だ、さらに邪眼で敵を縛ることができる。さらに、二又の時に覚えた能力はそのまま使う事ができる、魔力も強くなるから前より使い勝手がよくなるはずだよ」
(わかった)
「お別れの時間だ、寂しくなったら水たまりに赤い実を落としてあたしを呼ぶがいい」
「なーん。彼の者は今より混沌の猫として生きる、我が御名の祝福を授かるだろう」
大きな木から目が眩むほどの光が溢れ、目の前が真っ白になった
…
目を覚ますと横でクレアが寝ている
手や足、尻尾を見て体を確認した
背丈はもうクレアと同じくらいだ
尻尾はひとつになった、持ち運びが不便になるな
毛は漆黒で全身が真っ黒だ
手足が太くなり力強くなったのを感じる
伸びをしてブルブルと胴を震わせるとクレアが起きた
「あれ?ニャーゴなの??」
ニャーゴ~
(そうだよ、変異したんだ。俺は魔石を食べ続けると強くなる)
「へぇぇ、そうなんだ。かっこよくなったねー」
クレアは飛び起きて抱き着くとあちこちを撫でまわす
「もうあたしと同じくらいの大きさだ~毛もモッフモフ」
気持ちよさそうに全身でしがみついてくる
「ふぁ~しあわせぇ~」
(暑い…)
「あ、ニャーゴの鞄合わなくなっちゃったね、新しいの探しに行こ」
(いいね、お腹もすいてきた)
クレアはそそくさと着替え、お金を鞄に入れた
「さ、いこう~!初めてのお買い物だ」
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