第9話 - ギルド

ゴードンがスープを飲み、匙を置く


「どうしたんだい?クレア」

「あのね、お仕事したいの…できれば街の外に行きたい…」


アイサが話しかける


「村に戻りたいのかい?」

「ううん、ゴードンさんとアイサおばさんには良くしてもらってるし、そうじゃなくて。えっと、ニャーゴもいるから、お散歩がてら街の近くでできるお仕事をさせてもらいたいの」

「あんたまだ成人もしてないのに何言ってんだい?お金の心配はしなくていいから、気が済むまでここにいたらいいんだよ。それとも、あたしたちが気に入らなくなっちゃったかい?」

「やや。違うの!忙しくしてないと、思い出して、悲しくなっちゃうの…」


ゴードンとアイサは顔を見合わせ、少し困った顔をした

ゴードンはクレアを見て、話しかける


「わかった、明日冒険者ギルドへ行こう」

「ほんとに?嬉しい!!」

「でも依頼を受けるときはワシかアイサを連れてくこと、危険な仕事は受けられないぞ」

「うん!それでいい!ありがとう」


翌朝、朝食を済ませるとゴードンがクレアを呼ぶ


「クレア!冒険者ギルドへ行くぞ!」

「はーい!ニャーゴ!一緒にいくよ~」


ニャーゴ

(はーい)


冒険者ギルド


酒場のような雰囲気かと思っていたが思ったより静かだった

テーブルがいくつかあり、冒険者らしき男たちが座っている


カウンターには受付をしている女性が立っており、ゴードンに声をかけた


「ゴードンさん、今日は何か依頼をするんですか?」

「やぁメリッサ。今日はこの子を紹介しに来た」


ゴードンはクレアと俺を引き合わせ、紹介した

メリッサは俺とクレアを見て眉をひそめた


「ゴードンさん、さすがに子供はちょっと...」

「まぁ、そうなんだが訳アリでな…薬草取りとかでいいからやらせてくんないかな」


メリッサが困り果てていると、奥からいかつい男が現れる

メリッサは男に気づくと声をかけた


「あ、マスター。ちょっと相談が」

「なんだ?給料はあげねぇぞ」

「ちょっと!それは上げてください!今日は別件です!」


メリッサはマスターへ事情を説明した、ゴードンも混じり村がゴブリンにやられていることと、少女を拾ったいきさつ、仕事をしたい理由などを話していた


マスターはクレアに話しかける


「よう、お嬢ちゃん。俺はギル、冒険者ギルドマスターをやってる」

「こんにちは!ギルおじさん。クレアって言います。」

「よしよし、そっちは二又か…ふーん…」


ギルは俺をまじまじ見た


「ほーん、お前まだ使役されてねーじゃねーか」


メリッサは驚いて声を上げた


「えぇ!!?使役されてない魔物が人と暮らしてるんですか??」

「うーん、なんだろうな。コイツは別にそんなに危険な感じがしないんだよな」


周りの冒険者たちも騒ぎ出す

ギルは冒険者たちを睨みつけると、冒険者たちは顔を背けて静かになった


「クレア、仕事はやらせてもいいが、条件がある」

「はい!なんでもやります!」

「よしよし、従魔契約をして魔獣士になれ。それができたら薬草取りくらいならしてもいいぞ」


クレアの表情は明るくなり、ギルに飛びつきそうな勢いで話始めた


「ほんとうですか!!やります!!」


ニャーゴ~

(おいまて、俺はまだ許可してないぞ)


「じゃ、ちょっと裏へ来な。契約の仕方を教えてやる」


ゴードンとクレア、メリッサ、ギルの4人でギルドの裏庭へやってきた

ギルは説明を始める


「よし、クレア。この魔石を持ってくれ」

「はい。これはなんですか?」

「それは従魔の魔石だ、魔石については知ってるか?」

「えっと…」


ギルはやれやれと言った顔をしながら腕を組んで話し出した


「魔石ってのは主に死んだ魔物から取れる魔力を含む石の事を言う」


ギルはいろいろと教えてくれた


魔石は取り出した後、魔術士によって魔力を書き換えられ様々なものに使われている

砕くと効果を発揮するものや魔力を込めて効果を発揮するもの

常時効果を発動しているものなどがある


砕くと効果が発揮するものは火の魔術が閉じ込めてあったりする

投げつけ、衝撃が加わると破裂し、一帯を火の海にするものなどだ


魔力を込めて発動するものは閃光爆弾など

魔力を込めて数秒待ち、発動する


常時効果をはっきしているものは他二つに比べて出力が弱いものの、ランプや魔力を常時使用するアイテムなどに付与されいる


「で、今渡したのは従魔の魔石。それに魔力を込めて屈服させた魔物と接すると契約が完了する、それが終わると魔物とのコミュニケーション次第で念話とかできるらしいぞ」


クレアは魔石を見たあと、俺を見た


(念話かぁ、ようやく勘違いから解放されるなら悪くないな)


ギルが話しかける


「魔力は誰にでもある、資質によって強弱はあるが。目を閉じて魔石を思い浮かべてみな」


クレアは俺に魔石を向けると、目を閉じた

魔石が柔らかい光に包まれると、光の糸を吐き出し、俺の額とつながった

糸はクレアの額にも繋がり、魔石は光を失った


「よし、それで後は名前を付ければいいんだが、既にあるな」


クレアは一見何も変わらない状態に困惑した


「その魔石は今回はサービスでくれてやるよ。薬草取りで返してくれ」


ゴードンは慌ててギルに話した


「ええ!?いやいや、買い取りますよ。おいくらですか?」

「いーよ、薬草も最近は足りてねぇんだ。単価も安いからここいらののぼせた冒険者どもはやりたがらねぇし。お互い様だ」

「えぇ…では、ありがたく」


クレアはギルに向かって話しかけた


「ありがとうございます!薬草でお返しします!」

「よしよし、薬草以外で借金返済は受け付けないからな。危ない仕事に手出すなよ」


ギルなりの優しさだった

ゴードン、メリッサはほっとしていた

クレアはこれからの事にワクワクしながら目を輝かせていた


「じゃ、あとはメリッサ。登録手続きしてやってくれ」

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