第3話 - スライム

魔女の森へついた


獣道を通ってゆっくりと、静かに家に向かった


魔物には見つからずに家にたどり着く

ハーブ園へ向かうと昨日のままだった


俺は早速ハーブ園に穴を掘り始めた

一度に掘れるのは自分の体が入るくらいの大きさくらいだった

魔女の頭蓋骨を埋め、母猫の頭蓋骨を埋め、兄弟たちを埋め


ひとつひとつ、埋めていった


全て埋めるともうすっかり夕方だった

昨日から何も食べていない、お腹は空いたし喉も乾く

これからどうしよう…


ここにいると魔物が来るかもしれない

空腹と不安に押しつぶされそうだ



しばらくウロウロしていると水の音がする

ピチャピチャと、鳴ったり鳴らなくなったりする


耳をピクピクさせて音の方へ向かう

スライムだ、小さなスライムが来た


彼らは森の掃除屋、ゴミや死骸を体内に取り込んでゆっくりと溶かす

見たところまだ何も取り込んでいないか消化が終わったか、体はキレイだ


スライムは倒すと水のようになる、人間時代水が切れたとき原種スライムのお世話になったものだ、お腹が空いた俺はスライムくらいなら倒せるのではないかと思った


スライムはハーブ園に向かっていく

俺は姿勢を低くし、尻尾を立てお尻を振って機会を待った


どっちが前か後ろかわからないが、通り過ぎていく


(今だ!)


素早く飛び掛かって爪を立て、噛みついた

スライムはプルプルと震え、飛び上がろうとあがく


爪も牙もあまり手ごたえを感じない

スライムは体の中央にある核を潰せば死ぬ、俺は両腕の爪を伸ばして必死に捕まえ

何度もスライムを噛んだ


何度か噛むうちにスライムの核を捉えたのか、スライムはぐったりと溶けていく

俺はようやく水にありついた


ペロペロと水を飲む、スライムが半分ほど無くなるまで舐め続けた

少しお腹は膨れたか、倒したスライムから少し離れ、横になって毛づくろいをしていると、コロコロと転がるものが見える


悲しい猫の性、俺の目は釘付けになってしまった

丸みを帯びた石のようなものが転がっている


スライムの核だ、あれは魔石と言って魔力を含んでいる石だ

悲しい猫の性、ついつい前足で叩いては追いかけてしまう


しばらく遊んだ後、両手で魔石を捕まえると甘い匂いがする

なぜだろう?石から匂い?なぜか食欲をそそる


舐めてみた、甘い

匂いを嗅いでみる、甘い、お腹が鳴る


人間の時の記憶を辿ると俺の記憶にあるの魔石は石だった

噛んでみる、牙が魔石に埋まっていく


食べられそうだぞ?いってみるか?

俺は思い切って噛んだ、魔石は弾力があり割れない、ぐにゃぐにゃする


思い切って飲み込んだ、意外といける。うまい

お腹が少し膨れたせいか、力がみなぎる


もっと食べたい、昨日から何も食べてないんだ、まだ足りない

森の中を少しうろつくことにした


森へ入って木の上に登った、木の枝へ移ってしばらく地面を眺めていると動くものがある

目を凝らしてよく見ると、自分と同じくらいの体長はあろう蛇がいた


(キラーバイトスネークだ)


人間からすると小型だが冒険者時代、現地調達できる非常食として重宝した

顎の力が強く噛まれると骨まで砕く、たくさん牙が生えており締め付ける力も強い

油断すると大人でも死ぬ可能性がある魔獣だ


こいつは頭を一撃で砕けば即死する

いける、体の大きさは同じくらいだが、冒険者時代の知識がある俺ならやれる


俺は狙いすまして枝から飛び降り、キラーバイトスネークの頭に噛みついた

人間の頃は一撃だったがこの体ではそうはいかなかった、巻きついてくる

体が締め付けられ、呼吸ができない


(頭を離せばこちらが食われる!絶対に離さないぞ)


思い切り顎に力を入れて噛み締めた



数分は暴れただろうか、やっと大人しくなった

キラーバイトスネークの身は鳥肉のような味がする、割とうまい部類だ

ごちそうだ!俺は頭にかぶりつき、噛み砕くと引きちぎって身を食べた


人間時代は皮を剥いで食べたがこの体だと無理

皮ごと食べたが皮がクソマズイ


人間の手ってほんと便利だったな、ナイフが使えるのは偉大だった

しばらく食べているとお腹のあたりから魔石が出てきた


匂いを嗅いだ、今度は少し塩気があるような香りがする、また食欲をそそる

なんだろう?魔石って動物にはごちそうだったのか?

噛んでみた、またぐにゃぐにゃする


飲み込むしかないな、幸い一口でいけるので飲み込んだ

体に力がみなぎってくる


さっきほどお腹は空いてない、魔石の力か?よくわからん

これで力が強くなればいいけどな


お腹もいっぱいだ、さっきのスライムのところに戻ってまた水を飲もう

水を飲むと眠くなった


大きなあくびをした


(燃えちゃったけど、今日はおうちで寝ようかな)


家の中を探索していると、厨房のかまどの中がほんのり暖かい

今日はここで寝よう


俺は残った灰をいくらかかきだしたあと、かまどの中で横になった

猛烈に眠い、抵抗できないほどの眠気だ、くらくらする


まぶたを閉じると異常に気持ちいい



目が覚めると大きな木の前にいた

ここはどこだろう


また生まれ変わったのか?手を見る、肉球がある、お尻を見る、尻尾がある

猫のままだ、今度はなんだ?


周りを見ると森の中だ、けどこんなところは来たことがない

大きな木の前には広場があり、その中心に俺はいる

大きな木の横から広場を取り囲むように森がある


キョロキョロと周りを見ていると、大きな木の陰から女の子が出てきた


大人でもなく、子供とも思えない、15歳~18歳くらいの女の子だ

褐色の肌で神秘的な雰囲気を纏い、ヒラヒラのベールを中心とした服装

胸と腰回りに布製の服を身に着けており、へその周りに小さなホクロが4つある、胸はまな板だ

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