第2話 〆に1杯

そろそろ広場の時計の針が午後9時を指した。

商店街では沢山の居酒屋が盛り上がりを

見せていた。


「マスター!!今日は何を食わせて

くれるんだ!!!!!!」


「おー!!結菜ちゃん今日も可愛いね。」

ワー!!ワー!!・・・・・・

ガヤガヤ・・・・・・。


「ハーイただいま!!!!!!」


「・・・・・・よいしょっ!!!!!!」


今日──異世界屋台『胡蝶蘭』のメニューは

焼きそばだ。

午後8時くらいになると客足が増えて

注文が増える。いつも大忙しだ。


「おっ!!やってるやってる!!!!!!」


「匂いがたまりませんね先輩!!!!!!」


この町の2人の傭兵のラリアーとガラール

が焼きそばのソースの香りにつれられて

やって来た。


「よっ!!」


「あらっ!!いらっしゃいませ。

今日は焼きそばですよ。」


「ヤキソバ?」


ガラールとラリアーは顔を合わせて頭の中を

ハテナにしていた。


「どうですか?『ヤキソバ』マスターの

作るヤキソバは絶品なんですよ。

なんなら『オムソバ』とかどうですか?」


「オムソバ?じゃあそれも頼むよ

結菜ちゃん。」


「ただいま。マスターオムソバとヤキソバ

2つお願いします!!!!!!」


「あいよ!!!!!!」

ジュゥゥゥゥ・・・・・・。


と鉄板の上で焼きそばの麺に

マスター八月一日特製のソースがかけられて

とても真っ黒になった。


「それにしてもあんなに小さい体なのに

よく働くよな。」


「うん。あの頑張りも見たくてここに来てるのかもしれないな。」


ラリアーとガラールは平和な優しい目をして

結菜を見た。


「ふっ」


結菜は頭に青色のタオルを

マスター八月一日は赤色のタオルを

巻いていた。

それでも汗が額を綺麗に垂れていた。

そしてその汗を2人は腕で拭いた。


「それでさ・・・・・・。」


「お待ちどうさま。オムソバ2つと

ヤキソバ2つどうぞ!!!!!!」


ガラールとラリアーは

まるで初めて大好きな物を見た時の子供の様に

キラキラとした目をしていた。


「では1口。」

パクッ!!


「おおーーーーーー!!!!!!

このソースの味が麺としっかり絡んでいて

美味しい!!!!!!

ソースの酸味が少なくてこの麺と合う!!!!!!」


「では俺がこのオムソバを」

モグッ!!


「んーーーー!!!!!!やはりな。

先程ー先輩が言っていた通り以上です。

麺とソースが予想以上に合う!!!!!!

そしてこの包んである卵のふわふわ感と

少し感じる甘さがこのヤキソバとのハーモ二ーを奏でている。

・・・・・・俺今日死ぬのかな?」


ガラールはオムソバのあまりの美味しさに

気絶しかけた。

それをラリアーが支えた。


「あらあら嬉しいわね。」


「大丈夫ですか?」

ポンポン!!


ラリアーとガラールが自分の料理を

とても喜んでくれてマスター八月一日は作っている途中でつい笑みがこぼれてしまった。

そして倒れかけているガラールの頬を

結菜が優しく叩いた。


「いいな〜!!結菜ちゃんに起こしてもらえて」


「羨ましい奴め!!」


この屋台居酒屋の超人気看板娘

結菜にガラールは頬を触られて少し嬉しい表情になっていた。

そしてガラールが目を開けるとそこには


「お前・・・・・・。」


ラリアーが涙を流している。


「え!?何かあったんすか??」


ガラールはラリアーが泣いているのにも

驚いたがそれよりも周りのお客さんの視線が

自分に来ていた事に気づいた。

メラメラメラメラ・・・・・・。

ガシッ!!


「おいてめぇウチらの看板娘に何してくれとんじゃボケェ!!!!!!」


「あ、あのごごごめんなさい。」


体の大きいお客さんにガラールは胸ぐらを

掴まれて持ち上げられた。

そしてその大男はガラールを殴ろうと

していた。


「はっ!!ガラールさんが危ない。』


「この野郎!!!!!!」


「危ないガラールさ・・・・・・。」


「お前なんて羨ましい奴なんだ。」


少しおびおびビビっていたガラールは『え?』

という表情でその大男を見た。


「ふうーよかった喧嘩にならなくて。」


「うんうん。よかったよかった。」


「悪いなマスター。少し元気だしたらまた

腹減ってきた。なんか〆に食べさせて

くれよ。」


その事を聞いてマスター八月一日は

真っ先に思いついた。


「これだ!!!!!!」


と。


「「「「マスター!!??」」」」


いきなり大声で叫んだマスター八月一日に

みんな驚いていた。

そして沸騰するお湯の音。

斬られる麺。

そしてその麺をてぼに入れて

5分後麺が茹で上がり皿に盛り付けて

チャーシュー、煮卵を入れて


「完成!!私特製ー胡蝶蘭名物『ラーメン』の

完成だよ!!!!!!」


「おおーー!!!!!!」


マスター八月一日が作る何かをみんなが

ぎゅうぎゅうになりながらも見ていた。

そんな中ラーメンが出来上がった。

そして見ていたお客さん達と

周りにいたお客さんたちは

出来上がったラーメンの美しさに声をあげた。


「?なんだなんだ。」


午後10時にもなり商店街の居酒屋から

出てきた人達が大声のあった屋台に来た。

しかも2,3人とかではなく。

10人くらいでゾロゾロと。


ズルズル・・・・・・!!!!!!


そして今夜、胡蝶蘭ではラーメンのすする

音が泣き止まなかった。












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異世界屋台ー居酒屋 胡蝶蘭 今日も営業中です。ー こやかず @koyakazu

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