女学生の宝石帖(カクヨム)

【女学生の宝石帖】/梅本梅様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894704626

掲載サイト・カクヨム、魔法のiらんど

15万文字、完結


 没落華族の琴子の許嫁は成金宝石商の水哉ゆきちか。彼は琴子の初恋の人だが、この恋は叶わない。

許嫁なのに恋をしてはいけない。結婚しても愛してはいけない。

だって彼は華族の血筋をお金で買っただけなのだから……。


 作中の時代が大正のため和風ジャンルの書棚に入れようか迷いました。

でも主人公の居住地が文明開化後の西洋文化が濃く香る横浜の洋館だったり、クリスマスの文化やコーヒー、紅茶も出てきますし、作品の和風成分は少なめに感じたので現代恋愛の書棚に分類しました。



◇◇◇

▼個人的な見どころポイント


*初恋こじらせまくりじれったいレベル

★★★★★

 琴子ちゃんは窮地に陥った家を助けたい、水哉さんは商売のために華族との繋がりが欲しい、利害の一致の政略結婚のはずでした。……ん?はず、でした?

そうそう、この二人は別に家のためや商売のためにイヤイヤ婚約したわけじゃないんですよ。

一章を数ページ読んでもらえればすぐにわかります。笑


 水哉さんはクールな皮肉屋に見えて、紅茶に角砂糖だばだば入れるような甘党のギャップも良き。しかもツンデレ。

甘党の皮肉屋ツンデレな許嫁様はだいぶこじらせていらっしゃいます。


琴子が自分に恋心を秘めているのを知らない水哉もまた琴子を慈しんでいます。でもそれがまた盛大にすれ違っていく様が面白い。

いや、言わないといけないのはそれじゃないでしょと何度ツッコミを入れたことか。


 琴子と水哉の良き理解者の陽気な外国人紳士はとっくに二人が相思相愛だと見抜いています。

酸いも甘いも知り尽くした関内の芸姑さんは琴子に大人の人生観を諭してくれます。女学校の同級生とのナイショ話も年頃の女の子らしさが溢れます。


 そんな魅力的なキャラクター達と横浜の街で過ごす琴子の元に転がり込んでくるひとつの指輪の謎から、さらには得体の知れない陰謀の影が琴子に及んで……。



*花と宝石で彩られる華やかレベル

★★★★★

 この物語は過去と未来がキーポイントになっていると感じます。その過去と未来を象徴するアイテムが花と宝石。

作中には水哉さんの屋敷の庭園や横浜の花月園、様々な花の名前に花言葉、宝石商の水哉さんの仕事柄、華やかな宝石も登場します。


 ダイヤ、エメラルド、アレキサンドライト、ルビー、エソナイト、サファイア、ターコイズ。

この七つの宝石に込められた意味が明かされた時は、思わず「うおおおおお!!」と唸りまして、ニヤニヤが止まりません。水哉さん、粋ですねぇ。

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