私は今日も喫茶『MOON』に通う(カクヨム)

【私は今日も喫茶『MOON』に通う】/桃もちみいか様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889149723

掲載サイト・カクヨム

10万文字、完結



 タイトルの『喫茶MOON』って聞くだけでわくわく。カフェじゃないのよ、喫茶店がいいのよ。

ス○ーバックスじゃなくてさ、いや、スター○ックスのコーヒーも好きだけどそういう所のコーヒーを求めていない時ってあるでしょう?


コーヒーじゃなくて「珈琲」なのよ。

喫茶店は珈琲の味とそこに流れる穏やかな時間と雰囲気込みでお金を払う感覚。


 喫茶店のナポリタンって美味しいよねぇ、なんであんなに美味しいんだろう。分厚いホットケーキやピザトーストや卵サンドイッチも「喫茶店の」ってだけで美味しさが倍増。

……はっ、ダメダメ、食いしん坊発揮してしまった。ちゃんと内容を説明せねば。



◇◇◇

▼個人的な見どころポイント


*主人公への好感度レベル

★★★☆☆

 主人公は30歳独身派遣社員の千代子ちゃん(相性はチョコちゃん)。

彼女は私なんか……とよく思いがちな、ちょっと自己肯定感が低めです。正社員になりたいのに派遣の仕事だってなかなか上手くはいかなくて恋愛にも臆病になり、思うような人生を送れない彼女をいつの間にか応援してしまいます。


 作中には何度か「私なんか……」の言葉が登場します。正直、この言葉が私は好きではありません。

それは呪いの言葉でもあり、何事も上手くいかないことへの免罪符でもあるんですよね。


たぶんね、周りが「そんなことないよ、あなたは素敵な人だから自信持って」とどれだけ賛辞の言葉を送ったとしても彼女自身が自分に自信を持てないと本当の意味では変われないんですよ。


だけど私はチョコちゃんに言いたい。

「大丈夫。あなたはとても素敵な女性だよ」と。私が「私」を素敵だと思ってあげないでどうするのさ!

(終盤にかけてはチョコちゃんへの好感度が★★★★☆になるかな)



*こんな喫茶店あったらどこでもドアで駆けつけますレベル

★★★★★

 もどかしい人生を送るチョコちゃんの憩いの場所が『喫茶MOON』🌙☕

『喫茶MOON』の店主はなんと双子のイケメン。あ、あのぅ……双子のイケメンが接客してくれるレトロな喫茶店どこにありますか全国どこへでも、どこでもドアを駆使して参りますので情報随時募集してます。どっかにないかな……。



*少女マンガみたいな夢のあるきゅんきゅんレベル

★★★☆☆

 チョコちゃんを囲む恋模様は少女マンガのようなきゅんきゅん要素もありますが、切なくなったり怒りが込み上げる部分もあります。


 最近は『喫茶MOON』で出くわす年上の男性客の「マルさん」がチョコちゃんは気になる様子。

うんうん、わかるよチョコちゃん、マルさんは気になる要素もりっもりの、てんこもりだもんねっ!!


 当のチョコちゃんが自分を巡る恋の気配に中盤までまったく気が付かないのも彼女らしさが出ています。笑

私は『MOON』の双子マスターの弟の方である克己さん推し。彼の初登場シーンから克己さんに心ぐわっと掴まれました♡



 私が「チョコちゃんっていいキャラクターだな」と思ったポイントがありまして、まだ物語序盤の3話で、お友達となった常連のおばあちゃんとお話を楽しんでいる最中にチョコちゃんの携帯電話が鳴ったんですよ。(ここ、特にネタバレというほどのものではないので安心してください)


携帯電話の知らせも電話ではなくメールだったんですが、彼女はちゃんと「携帯電話を見てもいいですか?」とおばあちゃんに確認をとるんです。

……わかりますかね?この気遣いはなかなかできることじゃないと思います。


 この気遣いはチョコちゃんが30歳の大人だからできる……わけでもなくて、イイトシした大人でもできない人はできない。

誰かと話している最中でも相手に無許可で携帯電話(スマホ)触ってる人ってわりと多いんじゃなかな。


 SNSが普及して、カフェでも料理の写真を撮ってSNSに載せる文化を老若男女が楽しめる今の時代、片手にスマホ、片手にスプーン、そして対面する相手との談笑とみんな器用にこなしますよね。


 それが当たり前でみんなやっていることだから感覚が麻痺している人も多いんじゃないかな。現代の常識ではそれは決して悪いことではないかもしれない。


だけど時と場所と相手によっては、相手に断りなく携帯電話を触る行為は失礼にあたりますよね。その時と場所と相手、の判断がチョコちゃんはついていたんじゃないでしょうか。


 きっとなんてことない場面だと思いますし、桃もち様もなんてことない場面のおつもりで描写されたのかもしれません。

でもおばあちゃんに断りを入れるチョコちゃんの生真面目さと素直さが垣間見えた描写でした。

 私は自己肯定感低い系の主人公は苦手傾向にありますが、この3話の場面でチョコちゃんを好きになれました。


 この物語は喫茶『MOON』とそこに集う人々との出会いをきっかけにチョコちゃんが勇気の一歩を歩き始める、ほんわか時々ほろりな恋と成長のお話です(*˘︶˘*).。*



 桃もち様は文体の柔らかさと作品に漂う優しい雰囲気が魅力の作家さんです。

【私は今日も喫茶『MOON』に通う】も言わずもがな、彼女の良さが詰まっています。彼女の数ある作品の中でも特に以前からずっと読みたいと思っていた作品でした🍀


 個人的に以前お使いになられていたペンネームよりも元に戻された「桃もちみいか」のお名前が作風にも合っていらして好みです♡🍑

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