西洋風な世界観のファンタジー、恋愛の書棚

聖女ミスリア巡礼紀行(カクヨム)

【聖女ミスリア巡礼紀行】/甲姫様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882852769

掲載サイト・カクヨム、小説家になろう

89.9万文字、完結

小説家になろうにはあとがきと番外編が掲載されています。


 数百年眠り続けた聖獣が目を覚ませば、大陸に蔓延する魔物を浄化できる──。

聖獣を甦らせる使命を抱いて旅に出た少女、ミスリア。彼女が旅の護衛に選んだ者は、多くの人間の命を奪った笑わない死刑囚、ゲズゥだった。


 聖女ミスリアと罪人のゲズゥが旅の道中で出逢う人々は彼女達が命を救えた人もいれば、救えなかった人もいる。彼女達の命を救ってくれた人もいる。

仲間が増え、旅の供が増え、二人旅は三人旅、四人旅へと移り変わり、数々の困難を乗り越えた先に待つのは壮大な旅の終着地。


小さな聖女が与えた大きな奇跡は世界だけではなく、民衆から死を望まれていた男の人生と心をも救っていた。

これは世界を救う旅でもあるけれど、己にとっての唯一無二の存在を得るための愛の旅路でもあったのです。


旅の終着でこの手に掴んでいたものは、かけがえのない宝物だった。



◇◇◇

▼個人的な見どころポイント


*死刑囚ヒーローの仏頂面レベル

★★★★★

 無口で無愛想なヒーローの物語は沢山読んできているけど、このお話のヒーローポジションであるゲズゥさんはほんっっとに表情筋がぴくりとも動かない。

ヒーローポジションが殺人犯で死刑囚という設定は新鮮でした。旅の最初はどうなるかと思ったわ……。

ミスリアちゃんがゲズゥに殺されちゃったらそこで物語終わってしまうしね。


 口数も少なく無表情の多い彼は、パートがゲズゥさん視点になっても心情はなかなかわかりにくい。けれど第二章から第三章に入る辺りから彼の内面の変化は顕著になっていきます。

話が終盤に進むにつれて、お?可愛いなコイツー!となります。ゲズゥさんが可愛さ発揮するのは主にミスリアちゃんの前限定。


 作中に登場するあるキャラがゲズゥさんのことを『一旦目標を定めたら速やかに逃げ場を絶って相手を包囲しながらほだしそうなタイプ』と称していますが、ほんとにそれな。



*ミスリアちゃんの拉致らレベル

★★★★★

 物語の序盤、中盤、終盤、どこの地点でもこの聖女さまは頻繁に連れ去られます。聖女と知って連れ去る悪人もいれば、知らずに連れ去る悪人もいて、時折はゲズゥ共々連れ去られて危ない目に遭ったり。ここまでなるかってくらいに拉致られまくりで旅が進まない。笑


 ミスリアちゃんだけが連れ去られたパターンの時は、お姫様を救出する役目はヒーローがお約束なのでゲズゥさんが果てしなく格好良く救い出します。

19歳のゲズゥさんと14歳のミスリアちゃんの年の差や体格差もきゅんポイントで良きです。走る時はだいたいゲズゥさんの肩にミスリアちゃんが担がれています。



*読後満足度

★★★★★

 ほぼ90万文字の文字数で総ページ数が66ページなので1ページあたりの文字数が1万文字以上はあります。

特にカクヨムのセオリーだと1ページのちょうどいい文字数の平均が2000文字から5000文字程とされている作家さんが多いため、その分量の文字数に慣れている人には少し読み辛い?かも?


 作者様の近況ノートによれば元々が個人サイトやブログ等で執筆されていた方らしく、こちらの作品も他サイトからの転載ということなので、カクヨムで比較的好まれる1ページの文字量と異なるのは致し方ないのかもしれません。


 文字数の量に慣れてきた頃でも、3時間かけて読み進められたのは3〜4ページ程度でした。それでも文字数では4〜5万文字前後は読めてる計算ですね。

ひとつのページ内でキャラの視点や場面の切り替えが多く情報量が多いですが、その分だけ満足感も高いです。読書したー!って気分になります✧◝(⁰▿⁰)◜✧


 小説家になろう版にのみ付いているあとがきには最終回その後のキャラの今後が記されていてそうかそうかふふふっとなりました。なろう版では番外編も楽しめます。


 読者目線でちょこっと意見を言うならば、あらすじが簡素な気がしました。

タイトルとタグである程度の予想はつきますが、せめて死刑囚、聖獣を甦らせるための巡礼の旅、魔物との戦い、くらいのワードはあらすじには欲しかった。

 まさか冒頭から死刑執行シーンが出るとは思わないじゃないですか!しかも想像するとグロテスクな魔物も出るとは思わないじゃないですか!苦笑


 あらすじの工夫次第ではもっと多くの人の興味を惹けるのではないかな。でもあらすじから予想していたものとは内容はかなり違っていて(本文を読むまではヒーローは生きる気力をなくして自傷行為する男かと思っていましたので)、私は良い意味で裏切られました✨

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