file 8
「守護者を目指す者よ。我が棒術、捌ききれるか!」
典空が刃のついていない棒を突き出す。刃が付いていないならばと思うかもしれないが、それこそが厄介だった。
「ふはははッ! 」
刃がついていないからこそ、典空は武器である棒を自由自在に操れた。刃がない分、自由度は高いのだ。
石像がただルーチンワークで槍を振り回すのとはわけが違う。
「ッ!」
典空の巧みな棒遣いに和樹は苦戦させられる。
ブレード付き非稼働銃はあくまで和樹の《力》を引き出すためのもの、熟練した長柄武器遣いとなると不利となる。
「うわッ!」
典空の棒で和樹が弾き飛ばされた《霊》と一体となった棒であっても実体にダメージを与えられるようだ。
棒の衝撃だけでなく、《霊》が放つプラス電荷までついてくるのだから、痛みはかなりのものだ。
「ブラックバス、大丈夫ですか!」
僧が腫れた部分に手をかざすと痛みが小さくなる。
「《氣》で再生力を高めたのか。すまねェ、助かる」
「痛みを引かせただけですから、無理はしないように」
あくまで応急処置だと僧は言った。
《氣》というのは体を流れるエネルギーのようなものであり、現代科学ではまだ解明されていないが。《氣》は活用次第ではすさまじい効能を発揮する。
そこから見るに癒しと破壊は表裏一体なのかもしれない。
「わかってるさ! 行くぞ!」
痛みが引き、和樹は意気軒昂の様子だ。姿勢を低くし、突撃を敢行する。
「ちッ! ちょこまかと!」
典空は棒を薙いで振るうのだが、棒はやはり棒。槍と同じ難点を抱える。
棒であり範囲に難がある、棒による薙ぎ払いの軌道は、戦いに慣れているならば見切れないことはない。
「走って殴るだけが能じゃねェ。銃功夫の神髄、見せてやる!」
和樹は脚に氣を込め、天井まで飛び上がる。
「なんの、棒で叩き落してくれよう!」
警戒し、待ち構えるのだが、和樹は典空へ飛び掛かるわけではなかった。
「へッ、直に殴るって誰が言ったよ?」
和樹は鼻を鳴らし、気を非稼働銃の込め、そのトリガーを絞る。
「得物が銃の形をしてるってのは便利なんだぜ。こうやって《氣》を弾丸として放てるからな!」
非稼働銃から凄まじい《氣》を放ち、和樹は叫んだ。
「銃功夫が奥義、波動銃拳ッ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます