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「守護者を目指す者よ。我が棒術、捌ききれるか!」

 典空が刃のついていない棒を突き出す。刃が付いていないならばと思うかもしれないが、それこそが厄介だった。

「ふはははッ! 」

 刃がついていないからこそ、典空は武器である棒を自由自在に操れた。刃がない分、自由度は高いのだ。

 石像がただルーチンワークで槍を振り回すのとはわけが違う。

「ッ!」

 典空の巧みな棒遣いに和樹は苦戦させられる。

 ブレード付き非稼働銃はあくまで和樹の《力》を引き出すためのもの、熟練した長柄武器遣いとなると不利となる。

「うわッ!」

 典空の棒で和樹が弾き飛ばされた《霊》と一体となった棒であっても実体にダメージを与えられるようだ。

 棒の衝撃だけでなく、《霊》が放つプラス電荷までついてくるのだから、痛みはかなりのものだ。 

「ブラックバス、大丈夫ですか!」

 僧が腫れた部分に手をかざすと痛みが小さくなる。

「《氣》で再生力を高めたのか。すまねェ、助かる」

「痛みを引かせただけですから、無理はしないように」

 あくまで応急処置だと僧は言った。

 《氣》というのは体を流れるエネルギーのようなものであり、現代科学ではまだ解明されていないが。《氣》は活用次第ではすさまじい効能を発揮する。

 そこから見るに癒しと破壊は表裏一体なのかもしれない。

「わかってるさ! 行くぞ!」

 痛みが引き、和樹は意気軒昂の様子だ。姿勢を低くし、突撃を敢行する。

「ちッ! ちょこまかと!」

 典空は棒を薙いで振るうのだが、棒はやはり棒。槍と同じ難点を抱える。

 棒であり範囲に難がある、棒による薙ぎ払いの軌道は、戦いに慣れているならば見切れないことはない。


「走って殴るだけが能じゃねェ。銃功夫の神髄、見せてやる!」


 和樹は脚に氣を込め、天井まで飛び上がる。

「なんの、棒で叩き落してくれよう!」

 警戒し、待ち構えるのだが、和樹は典空へ飛び掛かるわけではなかった。

「へッ、直に殴るって誰が言ったよ?」

 和樹は鼻を鳴らし、気を非稼働銃の込め、そのトリガーを絞る。

「得物が銃の形をしてるってのは便利なんだぜ。こうやって《氣》を弾丸として放てるからな!」

 非稼働銃から凄まじい《氣》を放ち、和樹は叫んだ。 


「銃功夫が奥義、波動銃拳ッ!」


 

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