第14話 帝国魔術教本―魔法陣の有用性―
魔法陣の章
・有用性について
古来より、魔法陣はさまざまな儀式の場に用いられてきた。それらはあくまで形式的な扱いであり、魔法陣そのものに魔術的な効果・価値はないとされていた。魔法陣は装飾的価値を持つものだと考えられてきた。
しかし、近年、魔術研究の発展により、魔法陣が持つ魔術的効果が認識された。魔法陣は、魔術を発動するための魔法エネルギー(=魔素)を、魔法陣の文様に保持・収束させる機能があると分かった。
魔術は、それぞれの術式に必要な魔素を収束し、その性質を変換させることで発動する。火炎魔法であれば、集めた魔素を発火させることで発動する。
魔素の収束・変換は独立した動作である。魔素を収束させた状態を維持し、性質変換を行うのは極めて困難だ。魔法陣は、その文様に魔素を保持する働きがあり、これを利用することで、魔術の発動に際する障壁を取り除くことが出来る。
魔術の規模が大きいほど、より大量の魔素を必要とする。高度な魔術ほど、魔法陣は巨大化・複雑化する傾向にある。
魔法陣を形成する文様は、黒灰石を粉砕した粉を使用する。粉自体に微量の魔素が含まれているので、魔素を収束させる際と同じ要領で操ることができる。つまり、魔法陣を形成することで、魔素の収束・性質変化を別々に行うことができるのだ。
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