第17話 喧騒から始まる学校生活
ㅤㅤㅤㅤㅤ―― Side
週明け。
学校に向かう。
これが毎日になるのかと思うと顔がニヤける。
教室に入ると、ドドドドド、と効果音が文字でデカデカと付きそうな程勢い良く友人の
「
「!?」
「??」
「
言い直しが辛辣。
「それってさ~、やっぱ
「うん、まあ、そう」
「やっぱり~! なんか前に
「あー、いやー」
「・・・・・・そうでもない? のかな?」
確かに
多分私は後で気づいて自責の念に
「色々あったけど、自分の気持ちに気付けたのは結局彼氏と付き合ったからだし、全部が全部悪かったわけじゃなかったよ」
「それでもやっぱりごめ~ん!! もう土下座でもしないと私の気が済まない~」
フォローと言うより多分本音を
「ちょっ、スカート汚れるよ!?」
何とか立たせようとするけど土下座をやめない。
教室にいるクラスメイトから注目の的だし恥ずかしい。
「と、兎に角立とう?」
「そ、そうそう、流石に土下座とかいいからさ」
「うう、ホントごめん~」
何かと突っ走るタイプの
根が悪い訳でもなく、悪意があった訳でもないからあまり強く当たれない。
「いや、本当、あれがあったからわたしも
「そうだよ、私も
「
「え?」
「そ~だよ!
「もうそれは良いから!」
なんか堂々巡りしそうなので強引に終わらせる。
「私も
「そうそう」
「うう~、わかった~。ホントごめんね~」
「もうすぐHRが始まるから席に戻ろ?」
「そうそう」
「そうだね、じゃあ行くね~」
ふー、何とか終わらせられた。
いつの間にかHR直前、全クラスメイトが揃ってて、つまりクラスメイト全員に注目されている。
マジで恥ずかしい。
その後すぐ先生が来て助かった。
休憩時間になると毎回即行
椅子に座る私を
「何してるの~?」
「私は何もしていないよ」
「・・・・・・、何してるの~?」
そうそう、
「
「へ、へ~、そうなんだ~」
「なに “
「
「う、苦しい」
抱きしめが強くなる。
なんの茶番だろうか。
抱きしめてくれるのは嬉しいけど、ここ学校だし、恥ずかしい。
お昼休憩も大体同じ、お弁当を食べた後は定位置と言わんばかりに
立ってるのが気になるから、座ったら? と言うと、近くの椅子(休憩中は基本的に皆誰かの椅子を勝手に借りる)に座っても私を後ろから抱く絞めるのをやめない。
今度は肩に顎を乗せてきた。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ≫≫≫≫≫≫
廊下からキャーって声が聞こえてくるし、さっきから他のクラスの子が、うちのクラスの入り口まで来てこっち見ては帰ってくんだけど。
なんだろう。
もしかしてもう私たちが付き合ってるのがバレたのかな!?
そりゃ
昨日の先輩方の事もあるし。
同性だし物珍しさに皆見に来てるのかも。
クラスの子にも声を掛けられた。
いつもの4人グループが私達の傍まで来て、一人が話掛けてくる。
「ねぇ、
ひやかし目的だろうね。
「えー? 恋人関係」
「そ、そうなんだ! さ、最近付き合いだしたのかな?」
「そうだよ」
「お、おめでとう二人とも! それじゃーね!」
離れていって4人で話してる。
クスクス笑ってるのが聞こえてくる。
皆の表情からは、気持ち悪いとか、女子同士でオカシイとか言った負の感情は見えないけど、解んないよね、心の中は。
怖いなー。
「ひゃ~、凄い人気だね~」
「?」
「何が?」
「二人の人気が~?」
「へー」
「私たちの人気? って何?」
「え~?
恰好良いし。
私が男女問わず人気?
意味解んない。
ただのひやかしじゃない?
「何で私に人気があるの?」
「え~? カワイイから~?」
「うんうん」
「もっと可愛い子沢山いるよね?」
「いや~、
「うんうん」
「な訳ないじゃん」
「え~? そうかな~? こりゃ
「だよなー」
「何が大変なの」
もう、と言って
その内顔にまで近づけて来て頬同士をスリスリしてくる。
うう、本当に恥ずかしいんだけど・・・・・・。
「あ〜、私こういうのどっかで見たことあるな〜って思ってたけど思い出した〜。
親鳥がヒナを囲ってるやつだ〜」
そんな事を言う
確かにそうかも。
「お腹の羽の下に入れてるみたいじゃん~。もしくは子猫を離さない親猫! あはははは!」
子猫を離さない親猫、納得。
正に、頬ずりしてくる親猫
離さない動画見たことある。
いや、困るんだけど、色々と。
「ねえ
「うーん? やだ」
「やだじゃなくて」
「今忙しい」
「忙しい!? 何に!?」
「
「なんで疑問形?」
「他にも色々と?」
「他って!? 色々って!?」
本当、何なの?
私たちのやり取りに
「あはは! たじろぐ
「フフフ!
「そ~んな
「わたしはカッコイイって褒めて欲しいけど」
「ん~、いや~やっぱ “カワイイ~” だね!」
「可愛くないな
「私はカワイイっしょ!?」
「いんや可愛くないね!」
「えぇ~! 私ってそんなにカワイくないかな~!?」
「可愛いけど可愛くないね!」
「どっちだよ~!!」
変なコントが始まった。
会話に入っていけない。
「(容姿は)可愛いけど(態度は)可愛くないって事!」
「?? ね~
私にコントに混ざれと?
難易度高いよ。
「はいはい、
「でも
「わたしはカッコイイって褒められたいんだってー」
「じゃあ
「え~」
「えー」
「
「え~」
「むう」
ふー、無理矢理静かにさせたよ。
さー、喋ったら負けという雰囲気を無理やり作ってみたけど二人はどうするかな?
「黙ってればカワイイくて喋ってたらダメってなんで~?」
うん、知ってた。
「
「マジか~! まあよくみんなからも
「・・・・・・」
喋るの禁止ゲームは即行で
「ね、ねえ
「わ、わたしって
「んー? 恰好良いよ?」
「!!」
うん。
普通に恰好良いと思う。
でも可愛い方が勝つかな~。
「てかさ~、
「?」
後ろから抱え込まれてるから私の位置からは
ヤバいって何が?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ≫≫≫≫≫≫
放課後、さー帰ろうかって時。
私の下駄箱の中に手紙があった。
外靴の上に。
何の柄も書かれていない真っ白な洋封筒。
見える範囲、封筒の外側には表にも裏にも、宛名も差出人も書かれていない。
情報が無く現時点で要件がサッパリ解らない。
「放課後、校庭の銀杏の木の下で待ってます。」
これ以外、中の手紙にすら名前も何も書かれていない。
男性か女性かも解らない。
校庭の
校庭の一番奥にある防球フェンスの裏にポツンとある大きな
めっちゃ遠い。
そりゃ人が寄り付かないから人の目は無いだろうけど。
で、今は放課後。
は?
手紙は朝来た時には無かった。
外靴の上に乗っていたという事は、上履き(スリッパ)と外靴を履き替えた後という事。
朝、私が登校後~放課後の今までの間に、どのタイミングで入れたか知らないけど、私がこの手紙に気付くタイミングと言えば、帰る時しかないよね。
「行くの?」
「行かない」
宛名すら無いから本当に私宛ての物かも解らないし。
仮に私宛てだったとして、放課後の帰ろうとしている時にしか気付く事のない手紙で放課後に呼び出すとか、しかもめっちゃ遠い場所。
告白にしろ、何か物申すにしろ、非常識過ぎない?
誰が行くか、と――
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