第16話:救援
「我こそはフィフス王国の王太子リカルドなり!
我と思わんものは掛かって来い、返り討ちにしてくれる!」
リカルド王太子が先頭を切って突撃する。
その左右には、盾となるようにライラとローザが馬を駆けさせている。
更にその外側に、騎士団員が盾となっている。
リカルド王太子の魔術が一度発動されると、一気に五十の魔王軍が屍となり、魔王軍の士気が激減する。
「王太子だ、リカルド王太子が来たぞ!」
魔王軍がリカルド王太子の出現を広めた。
もうこの頃にはリカルド王太子の武名は魔王軍内で鳴り響いていて、首を取って手柄にしようとする考える者は少数になっていた。
リカルド王太子の魔術が五度発現され、二百五十の魔族軍が屍に変わる頃には、魔族軍の雑兵が逃げ出して敗走となっていた。
「逃げるな、逃げるんじゃない、今逃げても魔王様に殺されるぞ」
フィエン城包囲の総大将、オークキングが魔王の名をだして雑兵の敗走をおし止めようとした。
魔王軍の雑兵にとっては魔王ほど恐ろしい存在はなかった。
根源的な死の恐怖は魔王もリカルド王太子も同じなのだが、魔族は魔王からの影響が強いので、何とか踏みとどまって戦おうとした。
「我こそはフィフス王国の王太子リカルドなり!
我と思わんものは掛かって来い、返り討ちにしてくれる!」
リカルド王太子は再度名乗りを上げて魔王軍を挑発した。
リカルド王太子から見れば、魔王軍に逃げられて潜伏される方が困るのだ。
ここで魔王軍を殲滅できれば、民が安心して城壁から出ることができる。
少しでも多くの穀物を収穫する為に城壁外の畑を活用したいのだ。
騎士や将兵、傭兵を休ませるためには、ここで魔王軍を殲滅したかった。
「俺様がその首跳ね飛ばしてくれる」
ここで魔王軍の切り札の一枚、トロールファイターが前戦に現れた。
最初は勇者ロイドと互角に戦ったが、最後の最後に深手を受けて回復に専念していたトロールファイターが、リカルド王太子の首を取って名誉回復を図った。
その後ろには、漁夫の利を狙ってオークチャンピオンやオークファイター、ゴブリンチャンピオンやゴブリンファイターが待ち構えていた。
「ふん、飛んで火にいる夏の虫よ」
リカルド王太子が前世の言葉を口の中でつぶやき、五十の魔弾の二つに多くの魔力を込め、トロールファイターの首を刎ね心臓を破壊した。
残る四十八の魔弾で魔王軍最強部隊を瞬殺した。
魔王軍最強部隊が瞬殺されたのを見て、今度こそ魔王軍雑兵が潰走した。
もうオークキングが魔王の名をだしても敗走は止まらなかった。
一旦踏みとどまった魔王軍の背中は、騎士団の間近にあり簡単に殲滅できる状態だった。
「輸送隊は急いで兵糧をフィエンに運び込め」
リカルド王太子は民を飢えから救う事を考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます