尿がコーラになる事件

 2020年4月28日、午後2時ごろ、愛知県内に在住の高校生、秋川くん(18)が、男子公衆便所で用を足していた際、尿道から流れてくる液体がコーラであることに気が付いた。事物変換の霊術が使用された疑いがあると見て、幽霊警察が調査を進めていた。


 2020年11月9日、午後3時ごろ、同事件を起こした疑いで、愛知県内に在住の幽霊、秋川典子さん(享年68、現在78)が逮捕された。典子さんは、秋川くんの亡き祖母にあたる。典子さんは犯行内容について全面的に認め、犯行動機について次のように供述している。


「あの子にはどうしても生き延びてもらわないといけなかったんです。だから、あのような霊術を使うことになりました」


 典子さんは、孫の秋川くんの寿命がだんだんと短くなっているのを知っていた。秋川くんは過度にあぶらっぽいものを食べていたせいで、生活習慣病になっており、寿命を縮めていたのだ。そのことに気づいた典子さんは、長く生きてもらいたいとの思いから、秋川くんに警告をすることにした。


「尿をコーラに変化させた霊術でしたが、実は、単なる事物変換ではないのです。わたしは、あの子の尿をコーラにしましたが、その味はあの子次第だったのです」


 コーラが排泄される秋川くんの身体構造は、4月28日のその日のうちに霊士によって元通りにされているが、典子さんによれば、秋川くんには単なる事物変換の霊術を使用したわけではないという。少し複雑な霊術である。排泄されるコーラの味は、摂取されるものの栄養バランスによって決まる仕組みになっていた。


 つまり、秋川くん本人が栄養バランスの取れた食事をしなければ、排泄されるコーラの味はまずくなる。栄養バランスのよい食事を取るように警告する目的で、そのような霊術をかけたのであった。


「でも、すぐに元通りにされてしまって……」と典子さんは涙ながらに語る。いまだ秋川くんの生活習慣は改善されていないというが、幽霊が人間社会を改変することはあってはならない。ネット上では、典子さんへの同情の声も上がっているが。

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