生き物脱走についての裁判へ
2020年3月6日、午前10時前、埼玉県埼玉市に在住の渡辺さん(73)が散歩に出かけた際、ミミズや猫、カラスなどの野生生物からSOSのメッセージを受けとる事件が発生した。同日、本事件を起こした疑いで、埼玉県内に在住の中川洋一さん(享年34、現在46)が逮捕された。
2020年11月2日、本事件に関する刑事裁判が、埼玉県内の地方裁にて執り行われた。被告の中川さんは、ミミズや猫、カラスなどへの監視義務を果たしていたと主張し、それらの生物が人間の目に触れたのは、何者かが意図的に街へ放ったからだと訴えた。これに対して、秋元検事は、「しかるべく根拠なくして主張できる内容ではない」と反駁した。
中川さんが主張する事件の経緯は次のようなものである。中川さんは生き物サーカスクラブ――『Again』の団長であり、事件の発生した同年3月6日、埼玉県内の某公演場にて『Again』のパフォーマンスがおこなわれた。そのときに、ミミズ、猫、カラスもパフォーマンスをおこなった。
公演が終了したあと、サーカス団長の適切な監視義務に則り、中川さんはトラックに積まれた生物らへ適切なレベルの監視をおこなっていたが、何者かが手引きをした影響で、ミミズ、猫、カラスなどが逃げ出した。そのとき、中川さんはその事実を把握していない。
逃げ出したミミズ、猫、カラスは街の中で、サーカスにおけるSOSのパフォーマンスをおこなった。その様子を偶然に通りかかった真人の渡辺さんが目撃したのである。中川さんは、「適切なレベルの監視義務を守っていたうえで起きた事件であるため、刑事事件の対象にはならない」と主張している。
裁判の争点は、中川さんが「適切なレベルの監視義務を果たしていたかどうか」である。幽霊府が発行している、『生き物サーカスクラブにおける生き物の取り扱い原則』において、「サーカスのパフォーマンスをする生き物らは真人の目に触れないよう、適切に監視しなければならない」とされている。
詳細は記されていないため、この原則をどのように解釈するかによって、中川さんの量刑は左右される。中川さんは、「トラックの扉を完全に閉めたことで生き物を外に出ないようにした」と主張し、これをもって監視義務を果たしたと訴えている。
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