透明な血液を視覚化へ

 2020年4月23日、午前7時ごろ、岐阜県内の一軒家で生活を送っている加納さん(31)が自室で目を覚ましたところ、全身が血まみれになっていることに気が付いた。加納さんは一日、血にまみれた生活を送った。幻覚を見せる霊術が使用された疑いがあると見て、幽霊警察は調査していた。


 2020年10月25日、午後5時ごろ、同事件を起こした疑いで、岐阜県内に在住の無職の幽霊、内藤慧さん(享年32、現在36)が逮捕された。内藤さんは犯行内容について全面的に認め、犯行動機について次のように供述している。


「貧乏神のせいで、あの眼科は、つぶれてかけていたんです。生前、とてもお世話になった眼科でした。その眼科を助けるためにも、目の異常を訴える患者が増えてくれなければいけませんでした」


 内藤さんによれば、内藤さんは生前、県内にある眼科に通院していた。とても親身になって話を聞いてくれる優しい眼科医の先生がいた。しかし、ここ数か月の間、その眼科に貧乏神が憑りついた影響で、患者の数が減少した。眼科は経営上の問題を抱える事態となった。


「貧乏神が、付近一帯に住む人たちの目の病気を消してしまったのです。そのせいで、眼科に通う患者がほとんどいなくなっていました」


 そこで、内藤さんは考えた。患者が増えれば、眼科を助けることができる、と。そのような経緯により、内藤さんは加納さんに幻覚のような風景を見せた。その足で眼科に行くのを願っていたのである。内藤さんは、「ほかの人たちにも同じような幻覚を見せた」と供述しているため、余罪の可能性もあると見て、幽霊警察は調査を進めている。


 内藤さんは知らなかったものと思われるが、貧乏神を見つけた場合は、異形取締署に通報すれば、しかるべく措置が実施される。わざわざ法令違反を犯して貧乏神に対抗しようとしなくても、異形取締官らは貧乏神を追い払ってくれる。


 内藤さんがそれを知っていれば、と思わずにはいられない。

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