足跡の正体について
2020年3月29日の未明、埼玉県内の住宅街にて、ろくろ首の群れが発生した。6人の真人に直接目撃された。その6人から伝え聞くなどして、およそ25人の真人がろくろの群れについて認知した。騒ぎになる前に、霊士らが駆けつけ、ろくろ首の群れを認知したおよそ25人の真人の記憶を消去した。
霊士らは、ただちに異形取締署に通報。5人の異形取締官が現場に駆けつけた。異形取締官らは、霊術を用いて、ろくろ首の群れを近くの山林へと誘導し、山深くまで押し戻した。真人に目撃されたときは、すぐ、霊士らがそれら真人の記憶を消去した。幸い、幽霊も含め、怪我人は出なかった。
現場にあたった異形取締官のひとりである長瀬奏太さん(享年22、現在29)は、現場のとろくろ首の様子について次のように供述している。
「住宅街のひとつの道を、33体のろくろ首の群れが埋めていました。あらゆる方向に首を伸ばし、ゆらゆらと身体を揺らしながら。ふつう、真人の目に触れることはないのですが、あまりに憎悪が強すぎるあまりに、それらろくろく首の群れは、真人の目にも見えるようになっていました。どのろくろ首も、憎悪の滲んだ目でした」
本事件の原因は、はっきりしている。埼玉県内で3月28日の夜に発生した大規模な火災によって亡くなった人間らが、幽霊になりきれずに、ろくろ首に化けたのだ。
ろくろ首をはじめ、異形になった者たちとは、まとまなコミュニケーションができない。10月18日現在は無害だが、これから影響がないとも言えない。異形取締署の長官は、事件から半年以上が経過したことを踏まえ、「引き続き、埼玉県内で発生した33体のろくろ首の群れについて監視を続ける」としている。
また、ろくろ首の件があった3月29日の未明、その住宅街の安全を確保する目的で、霊士らが巨大な石像に住宅街を歩き回らせた。その影響で、住宅街の路上に全長40㎝ほどの石像の足跡が点々と残り、幾人かの真人がその足跡を目撃した。ただちに霊士が後始末をしたので、多くの真人は足跡を目撃していない。
2020年3月29日、早朝、埼玉県内のコンクリートの路上に40㎝ほどの巨大な足跡が続いているのを、その場を通りかかった営業マンの坂下さん(27)が発見した件は、以上のような経緯によるものである。
(https://kakuyomu.jp/works/1177354054893813220/episodes/1177354054895026070)
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