幽霊学校について

 幽霊が通う学校は全国に無数に存在している。


 なんらかの原因で死んで幽霊となった子供たちは、まずは、その地域を彷徨うことになる。が、しばらくして、近場の学校への入学許可証を持った役人が現れる。


 役人は、入学許可証を与え、規定の学校へ通うように告げる。だいたiい人間社会の小学校の校区ごとにひとつの幽霊学校が存在し、義務教育として中学卒業程度までの課程を終える。


 幽霊学校では、通常の科目に加えて、霊術の指導があり、幽霊にしか使えない特殊能力を学べる。


 学校には寮があり、基本は、全員、寮に入って勉強に励む。例外として、呪縛霊となって、かつての自宅を本拠地としたり、他人の家に居候するのも可能だ。


 勉強の内容としては、主に霊術の使用方法や制御方法、法律的な取り扱いであり、そのほか、幽霊史や、幽霊科学、幽霊芸術などの科目もある。幽霊社会での各種取引の仕方や、契約の仕方、社会常識などについても広く学ぶ。が、ほとんどは人間社会と同じである。


 霊術の内容としては、人間にも見えるようになる術や、触れずに物を動かす術、相手を痛めつけたり殺したりする術など、多種多様だ。


 無事に課程を終えた子供たちは、基本、幽霊の高校に進学し、その後、幽霊の大学に進み、どこかの幽霊の企業に就職する。


 幽霊学校は、それほど厳しくはなく、ゆったりとした環境だ。しかし、校則を破るなどの違反を働くと、校長から強く忠告を受けることになり、悪い場合には懲役刑が科せられる場合がある。


 幽霊でもすり抜けられない特殊素材でできた一室に閉じ込められる。


 霊術は基本、子供のうちにしか身に着けられないため、大人になってから亡くなった人は幽霊となっても霊術の多くを使用できない。霊術を使用できる幽霊を「霊人」と言い、ほとんど使用できない幽霊を「幽人」と言う。


 しかし、幽霊学校社会人の部というものが存在し、希望が通れば、大人でも幽霊学校で霊術を学ぶことができる。子供より習得期間が長くなるが、霊術を使えるようになる人もいる。


 もちろん、簡単な霊術なら、ほとんどの人が利用できる。


 子供たちの進路の選択については、幽霊社会でも、多くの人はサラリイマンとなる。その点についても、説明を加えたい。

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