第124話魔王降臨
それは突如として現れたらしい。
イージム大陸のジマの国とイザンカ王国の間にある世界最大の迷宮。
暗黒の女神ディメルモ様の居城ともいわれるここにいきなり『魔王』の城が出来上がったらしい。
そしてそこへ沢山のモンスターたちが呼び寄せられ近寄るものは皆殺しにされるという。
「魔王」はこの地を拠点としてこれより全世界を征服すると宣戦布告をしてきたらしい。
あたしはボヘーミャの「エルハイミ教」に来て目の前の女神エルハイミ様にそう告げられる。
「勇者の少女よ、世の民を救うために立ち上がるのです。我が加護をあなたに!」
そう言って女神エルハイミ様は天へと消えていった。
周りでそれを見る人々の歓声を受けあたしはこの茶番に大きくため息を内心でついたのだった。
* * *
「それでアルフェ、これは一体どう言う事ですの?」
「は、はい、主様ぁ。これは全てイオマ様のご指示なんです。だから怒らないでくださいぃぃぃぃっ!!」
既にアルフェはベルトバッツさんの「至高の拷問」で吊るしあげられている。
ボヘーミャの「エルハイミ教」にやって来たあたしたちは直ぐにここの司祭に面会をして事の真相を聞く。
すると女神エルハイミの姿のアルフェが出てきて先ほどの茶番を演じてほしいと懇願された。
速攻でコクにベルトバッツさんの「至高の拷問」をするよう命令するあたしに嬉々としてコクたちはアルフェを吊るしあげた。
しかしどうしても茶番を演じてもらえないとイオマの話は死んでも言わないというので世の中を安定させるためにひと芝居したのだけど‥‥‥
女神姿の自分に土下座されるってものすごく嫌なんですけど!!
「お母様、まさかここで『至高の拷問』をおやめになることは有りませんよね? アルフェも私たちの前に出て来たならそれなりの覚悟があるのでしょうね? 全て吐かせてイオマにもお仕置きです!」
俄然やる気のコク。
後ろでフーフー言っているベルトバッツさんもやる気のオーラを発している。
「ひぇぇぇええええぇぇぇえっっ! コク様お許しおぉっ! あ、主様も何とか言ってやってくださいぃっ!!」
「何とかして欲しかったらまずはこれがどう言う事か説明しなさいですわ」
あたしは腕組みをしてアルフェに聞く。
するとアルフェは慌てて話し始めた。
「はいぃぃぃっ! イオマ様から主様の為に舞台を作りなさいと言われました! そして『エルハイミ教』を絶対なモノにする為には主様を勇者に仕立て上げ『魔王討伐』をすれば英雄ユカコバヤシ以上にその名は轟き各国も『エルハイミ教』と勇者である主様に対して余計な事は出来なくなります! そしてイオマ様は主様が来られるのを魔王城でお待ちしておりますぅぅぅっ!!」
「わざわざ私を勇者に祀り上げるとは‥‥‥ 一体どう言うつもりですの?」
「主様にこれ以上色々な所からちょっかいを出させない為とか言ってましたぁ! それとこうすれば主様はイオマ様に正面から会いに来てくれると!」
うーん、あたしを勇者に祀り上げあたしを呼び寄せる?
なんでこんな面倒な事を‥‥‥
「それで、イオマは魔王城にいるのですわね?」
「はいぃぃっ!」
「それと、小さな女の子は一緒にいますの? ティアナは!?」
「はいぃぃっ! それもいましたぁ! 赤毛の可愛らしい女の子がイオマ様の横で可愛がられていますぅっ!」
可愛がられているぅ?
ちょっとマテ、それはあたしのだ!
まさかそんな小さなティアナにあーんな事やこーんな事してないでしょうねぇっ!?
思わず存在が漏れ出すあたし。
「ひぃぃぃっ!!」
「おおっ! お母様がやる気になられた!? とうとうこの『至高の拷問』に興味を示されたぁっ! ベルトバッツよ、これは気合を入れて調教‥‥‥もとい、拷問をしなければなりません! アルフェ、覚悟なさいっ!!」
「そんあぁっ! お許しおぉっ!!」
びしぃぃぃぃっ!
「あひぃぃぃぃんんっ!!」
アルフェのお仕置きはコクたちに任せあたしはアンナさんに話をする。
「アンナさん、どうやらイージム大陸に行かねばなりませんわ。そしてイオマ捕まえてきついお仕置きをしてやりますわ!」
「エルハイミちゃん。殿下の事よろしくお願いします。アコード陛下には私から話をしますね」
あたしは頷きアンナさんにお願いをする。
イオマ‥‥‥
全く世話の焼ける義妹だ。
しかし今回のおいたはシャレにならない。
しっかりと捕まえてお仕置きしてやらねば!
そしてとうとうティアナが見つかった。
どんな風になっているだろう?
アルフェの話だと「可愛らしい女の子」と言っていた。
早くティアナと会いたい!
あたしはさっそくイージム大陸に渡る準備をするのだった。
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