第79話神々の戦い
『ゴォオおおぉッドぉショぉおおっトぉおおぉぉぉぉぉ!!』
悪魔神ヨハネスは左の手の弓矢を展開して背中から矢を引き出しそれをアガシタ様に打ち込む。
その一撃は真っ黒な瘴気をまき散らしながらアガシタ様に迫る。
しかしアガシタ様はさっと大きな盾をかかげその一撃を防ぐ。
どごがぁぁあああぁぁぁんっ!
もの凄い音がしてその矢ははじける。
アガシタ様は腰から光る剣を引き抜き悪魔神ヨハネスに切り込む。
だが、その一撃は右手のラウンドシールドで受け止められる。
がぎぃいいいぃぃぃんっ!
「うひゃぁっ! 凄い風圧!」
「これが女神様の戦いなのですか、お姉さま!?」
「天秤の女神アガシタ様‥‥‥末娘の女神がこれほどの力を持っていたとは‥‥‥」
ここまでその衝撃波が風圧となってやって来る。
シェルは乱れた髪の毛を手で押さえ、イオマはその歴史的瞬間を目の当たりにして震える。
そして「女神戦争」の経験者であるコクはアガシタ様のその力に驚く。
「天秤の女神は裁きの剣を持っている。それは他の女神たちを制する力。今それをアガシタ様は使っているのよ!」
ライム様はそう言って神々の戦いを見守る。
「あんなのあたしの知っている女神じゃない! 女神があれほどの武装なんかしていたらあたしたちの炎も防がれちゃうよ、コクっ!」
「あの時代にこの女神がいなかったのは幸いでした。でなければ我々古の竜でも対応できたかどうか‥‥‥」
セキもコクもそう言っている。
と言う事はアガシタ様ってもしかして女神の中で最強!?
「どちらにしてもここも危険ですな。黒龍様、主様ここは一旦下がった方がよろしいのでは?」
「いえ、大丈夫ですわ。私がみんなを守りますわ。それよりあの『悪魔神ヨハネス』、あれだけは何としても倒さなければですわ!」
クロさんの心配も分かる。
あんな一撃がこっちにまで飛んで来たらひとたまりもない。
でもあたしがいるから大丈夫。
あのくらいの攻撃なら今のあたしには余裕で防げる。
と、悪魔神ヨハネスは空へと飛び上がる。
そしてお腹が開きそこからミサイルのようなモノが飛び出す!
『ゴぉぉおおッドぉ弾道ぉお弾んっ!!』
なんじゃそりゃぁっ!?
なんでそんなあたしが以前いた世界のモノの様なモノが!?
飛び来るそれをアガシタ様はまたまた盾で迎えるがぶつかった瞬間大爆発を起こす。
「ぐぉっ! なんだあれは、主よ!? 魔光弾のような!!」
「弾道弾ですわ! 爆裂する火薬の入った矢のようなモノですわ!!」
ショーゴさんが驚き聞いてくるが、確かにこっちの世界には無いものだ。
似てると言えば魔光弾あたりがそうか!?
爆発によるもうもうとした煙が晴れるとなんとアガシタ様の盾がぼろぼろになっていた。
「うわぁっ! エルハイミ、アガシタ様の盾がぼろぼろだよぉっ!!」
マリアはシェルの懐から事の成り行きを覗いていたが思わずそれを指さして言う。
あの盾だってオリハルコン製のはず。
それがあそこまでぼろぼろになるとは‥‥‥
アガシタ様はその盾を放り投げるとかぶっていた兜に着いた垂直のトサカの様な物を両手で挟み一気に悪魔神ヨハネスに投げつける。
『だぁああぁぁぁぁぁっ!!』
しゅばっ!
ざんっっ!!
それは見事に悪魔神ヨハネスの
左手を切り落とす!
これであの矢はもう使えなくなった!!
「なんという凄まじい攻防ですか! 双方あれほどの技を持ち合わせているとは!!」
またまたコクが唸る。
いや、なんかどこかで見た事が有るような攻防なんですけど!!
あの神様たち真剣に戦っているのよね?
そうだよね!!!?
呆然となるあたしを置いてその戦いは更に熾烈を極める。
そして悪魔神ヨハネスはその口を大きく開き歌い始める!?
『ゴぉおおッドぉ讃美歌ぁああぁぁぁぁ!!』
ぼぉぇぇえええええええぇぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!!!
それは凄まじい音量、いや、衝撃波となりアガシタ様を襲う!!
「うわぁっ! 酷い歌声ぇっ!! エルハイミ以上よっ!」
「ぐっ! 体がぁ! お姉さまぁ!!」
「なんという不快な音! これほどまでとは!! お母様っ!」
え?
ええ?
なかなか重低音が聞いていて結構悪く無い歌声のように聞こえるけど?
「あ、主よ、これはたまらん、何とかならないのか!?」
ショーゴさんまで!?
あたしは仕方なくその音を遮断する防壁を展開する。
するとみんなはほっとしたように人心地つく。
そんなに酷いのだろうかとアガシタ様を見ると衝撃でその鎧にひびが入る!
そして周りの木々も振動波で崩れるものまで出てきた。
「そんな! 結構良い声なのにですわ!」
「いや、あの酷い声の何処が良いのよ? エルハイミずれてるわよ?」
あたしの感想にシェルが思い切り突っ込みを入れてくる。
「でもこれではアガシタ様が!」
ライム様のその叫びにあたしもアガシタ様を見る。
流石にこれはやばいかな?
そろそろ手を出さないといけないかもしれない。
そうあたしが思った時だった。
アガシタ様の胸の谷間上にある首飾りの宝石が青から赤に変わり点滅を始めた!
ピコン、ピコン、ピコン!
『へあぁっ!』
アガシタ様は大剣を振りその衝撃波を打ち破る。
そして両腕で剣を頭上にかかげる。
「アガシタ様! それは!!」
「ライム様?」
ライム様はアガシタ様を見て震える。
「アガシタ様駄目です! それは魔力と魂が溶けていく、あ、あれは命の光だわ!」
そしてアガシタ様はその光る剣を振るのだった。
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