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 涅槃アトリエ。


 2階の扉を叩こうとして。


 やめた。


 中から、二人の音が聴こえる。


 邪魔するべきではない。


 このふたりは、夢と幻想を抜けた。もう、ふたりに涅槃の華は必要ない。


 ふたりのほうが。私の同人誌を。


 必要としていない。


 それが、分かる。


 すぐに、その場を立ち去った。


 どこに行こうか。


 ひとり。


 私だけが、残されてしまった。


 もうすぐ、夕暮れ。


「印刷所にでも行こうかな」


 同人誌の仮刷が、組み上がっているかもしれない。

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