第8話


「ここから先はBランク以上の冒険者しか通せない! 冒険者でない者は帰れ!」


 俺とアリシアの前に関所があった。関所の門番は大声で何度も繰り返している。


「おい、俺はAランク冒険者のレイジだ。通せ」

「レイジだと? その冒険者証は失効している! Eランクからやり直すんだな」

「なんだと……?」


 ふん。あのダンジョン都市め。最後の最後に俺の除名だけはやりおおせたか。

 くだらん。


「どけ。俺はレイジ様だ。お前はここをどく義務がある」

「繰り返す! ここはBランク以上の冒険者しか通せん!」

「クズが……お役所仕事め。利用者のことを考えて動け!」


 俺は門番を殴り倒した。おっといけない。力をこめすぎて殺してしまった。


「ひ、ひとごろしー!」

「きゃー!」


 周囲にいた人間が蜘蛛の子を散らすように逃げていき、代わりに衛兵どもがやってくる。

 やれやれ。オープンワールドRPGでよくある、うっかり殺人のペナルティみたいだな。

 普通のゲームであれば、殺されるのはこっちだが、残念だったな。

 俺は最強なんだ。


「う、うわー!」

「ゆるしてくれー!」

「ひいいいいいいいいい!!!」


 俺は門番どもを血祭にあげた。アリシアも手伝ってくれて、肉の焦げるいい匂いがした。

 俺は大声で叫ぶ。


「生き残りがいたら伝えろ! 冒険者・レイジ様はどこでもすんなり通すようにとな! でなければ貴様ら……死ぬぞ?」


 俺は命乞いしてきた若い兵士の首を足でへし折りながら高笑いする。


「ハッハッハッハ! 関所だと? 俺を止めてから名乗ってみせよ!」

「すばらしいです、レイジ様」

「くくく……では、詰所の中にある金目のものでも頂こうか」


 俺とアリシアは、チェスボードを見つけた。

 今夜は淫戯ではなく、賢く遊戯とでもしゃれ込もうか。

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