第5話 ゲーム始動、そして初遭遇(後編)

画面の半分は鮮血に染まっている中もう半分の画面ではシズクが笑顔を浮かべたまま「これでわかって貰えたかい?君たちの生き死には僕の思いのままさ」と言った。他の部屋では絶望に打ちひしがれているだろうと銀次は思いながらガッツポーズをし、そして「…本当に言いたいことはそれだけじゃないだろ?…早く俺にも楽しませてくれ!」と言った。

するとモニターは最初のようにシズクのみを映し出した。そしてシズクは銀次が聞いていたこのゲームのルールについて話し出した、が銀次も聞いていなかったルールがあった、それは【過激派の人間は協力し合う必要が無い、気に食わないというのなら同じ過激派でも殺せば良い】という事と【中立が生き残った際、生死を握っているのは勝利した陣営である、一生使い勝手のいい駒として使うも良し、ゲームが終わり次第また他人同士として振る舞うも良し、脱出の際に殺しても良し】というルールだ。他の今の部屋を出れば黒子が施錠を行い、二度と部屋に戻ることは出来ない、や会場内のいくつかの部屋には食料等を補給できる部屋がある事、黒子は参加者とは違い、防弾、防刃ベストを着ており、複数の武器を所有し、3人1組で行動しているなどもあったが先に聞いた2つの事が銀次の頭には強く残った。

一通りルールを言うとシズクは「それじゃあゲームの開始と行こうか?君たちが僕を楽しませてくれるように祈ってるよ?」と言った途端モニターの電源が落ちた。すると銀次はすぐに部屋を出る。勿論この殺し合いを楽しむ為だ。

銀次はある程度このゲームの会場を見ていたがどうやら森の奥深くに聳え立つ洋館の様だった。曲がり角で刺されるようなことが無いよう銀次は慎重に歩いていた。すると目の前にブレザーを着た女子高生の姿が見えた。武器は後ろを歩いている銀次には見えない。そのため銀次は足音を立てずに忍び寄り背中に槍を突き付けて「あんたはどの陣営だ?場合によってはこのまま心臓を貫かせてもらう」

と言った。すると彼女は「…か、過激派です」と声を震わせながら答えた。それを聞き銀次は「じゃあアンタの端末を見せな、じゃねぇと信用出来ねぇ」と言うと彼女は端末をポケットから出し、床に落とした。

端末には安藤千鶴、過激派と表示されており、銀次は槍を下ろした。すると彼女は振り向き銀次を見つめながら「…殺さないって言うことは貴方も過激派…ですか?」と聞いてきた為銀次はシズクとの連絡用では無い方の端末を出し、彼女に見せた。すると彼女は安心したのか膝から崩れ落ち、床にペタンと座り込んだ。その姿を見て銀次は「おいおい…そんなことでどうすんだ?これから俺達は殺し合いをしなきゃ行けないんだぜ?」

と溜息をつきながら千鶴へ向けて手を差し出す。すると千鶴は銀次の手を掴み立ち上がり「あ、ありがとうございます」と言った。銀次は続けて「ところであんたの武器はなんなんだ?」と聞くと千鶴は左手を軽く振ると裾からダガーナイフを出し「これです」と言った。銀次はその姿を見てなぜ千鶴の性格で過激派に選ばれたのか理解した


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る