第1話 初めての協力者
薄暗い部屋の中で17歳ぐらいのセーラー服を着た少女と学生服を着た高校生位の少年が居た。少女は椅子に座ったまま少年に背を向け、少年は立ったまま真っ直ぐ少女見ていた。少女と少年の距離は5m程だろうか…すると突然少女が口を開き
「…まさか僕達に一般人が辿り着いた上に自分から連絡を取り、仲間に入れてくれ、と言ってくるなんてね」とくすくす笑いながら言った。それに対して少年は「かなり苦労したんだぜ?何しろあれだけネットで騒がれてるくせにマスコミや警察がしっぽが全く掴めてない様子だったからな」とぶっきらぼうに答えた。それに対してまたもや少女は笑いながら「当然だよ?マスコミだろうが警察だろうが僕達には逆らえない…アイツらも自分の首は可愛いんだろうねと」と言いながら振り返った、その言葉を聞いて少年は「だったらあの書き込みは真実だって言うのか?」と少女に聞いた、少女は「書き込み?どんな書き込みかは知らないけどたとえ警察だろうが議員だろうが僕らには手を出せないよ?…仮に少しでも僕達の存在が知れ渡ったら制裁を与える、とはっきり言ってるからね」と少女は答え、少年は笑いながら「ははっネットの書き込みも多少は真実を捉えていたか」と言った。
すると少女は「所で…本気かい?今回のこのゲームに君が僕達の組織に入るための試験にして欲しい、仮に使えないと思ったら例えゲームに勝って生き残っても殺しても構わない、組織に入れるなら今までの経歴なんて全て投げ棄てる覚悟だって言うのは」と椅子から立ち上がり、少年に歩み寄りながら問いかけた、少年は「本気だぜ?それに仮にあんたらにたどり着いた時点で俺は消される運命だったんだろ?だったら面白そうなあんたらについて行くことを俺は選ぶ」と平然とした顔で答えた。すると少女は「…そこまでわかっているのなら良いよ?試験として今回のゲームに参加させてあげるよ」と右手を出しながら言った。少年はすぐに彼女の手を取り「分かっていると思うが俺は坂口銀二、学生だ」
と言った。それに対して彼女は「僕のことはそうだね…シズク、と呼んでくれたら良いよ」と笑いながら言った。少年は「…まぁ偽名だろうな、短い付き合いかもしれないがよろしく頼む」と言った。
すると少女は「…じゃあこのゲームの説明をするね?このゲームは3つの立場がある、1つ目は過激派、ここは僕達と似た思考を持つ人間を集めた所さ、普通の社会では犯罪者や犯罪者予備軍、と呼ばれる人々だね、銀二…銀の時はここだね。」と言った。すると銀二は「過激派、ね俺にピッタリだ」と笑った。
シズクは続けて「そして中立、保安派、に分かれる、中立はその名の通りどちらの派閥の味方をしてもいい、そして保安派は銀の時達とは逆に普通の社会では法律を遵守してきた人間、主に警察官、公務員等がここに入る…ここまでは良いかい?」と銀二へ問う。銀二は「…OK、3つの立場があり、中立という中途半端な連中が居る、だろ?」と言った。シズクは笑いながら「そう、そしてそれぞれの勝利条件は過激派は保安派、並びに保安派に着いた中立の全滅。保安派は過激派、並びに過激派に着いた中立の全滅、もしくはゲームマスターである僕を殺すこと。中立は着いた側の派閥の勝利条件を満たすこと、どうだい?単純だろ?」
という言葉に対して銀二は「わかりやすいシンプルなルールだな、で?素手で殺しあえ、なんて言う冗談は言わないよな?」と言い、首を傾げた。それに対しシズクは「そこに置いてある武器の中で好きな物をひとつ選んで持っていくといいよ」と壁付近にまとめて置いてある大量の武器を指さした。古今東西の銃火器や近接武器があった、その中から銀二はケルト神話における英雄、クーフーリンが持っていたと言われているゲイ・ボルグを模した赤色の槍を手に取った。その姿を見てシズクは「…へぇ、その槍を選ぶんだ…あくまでも言っとくけど特殊な力は何もないからね?」と言うが彼は「…特殊な力なんて信じてないしあくまでも俺は合格するためにこれを選んだんだぜ?剣と違って殴ろうと思えば殴れる距離まで詰める必要なし、かと言って弓や銃みたいに当てるのに長い月日をかけた練習が必要でもない、そして殺傷能力が高い物を選んだだけさ」と言うと巧みな技で槍を回し始める。その姿を見てシズクはタオルを1枚投げると銀二はそのタオルが槍の射程距離に入るや否や突き、次から次へと突き続け、タオルを穴だらけにしていく。
それを見ていたシズクは「いいね、予想よりも期待出来そうだ」と言いながら拍手している。銀二は当然の事だ、と言わんばかりに胸を張っている。その様子を見ながらシズクは
「じゃあ銀の時…僕を楽しませてね?」
と笑いながら言った。
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