第5話:生存者レアリィの遺言

悪魔と英雄レアリィ団の決戦が終わり、夜が明けた。

太陽に照らされた絶海の孤島には、多数の死体が転がっている。


巨大樹であるリンボーヒー樹が倒れたことにより、島は大混乱に陥っていた。

リンボーヒール村自体は、巨大樹の根元の中にあったため、直接押しつぶされることはなかった。

しかし揺れや衝撃によって、村人の多くがケガを負っていた。

村は総力を挙げて、ケガ人への対応を行っている。


村が大忙しの中、ひとりの男が海岸を散歩していた。

男は、海岸に転がる死体の間を、すいすいと歩きながら進んでいく。

しかしその時、なにかが男の足首を掴んだ!


「いぃっ!?」男


男が汗を流しながら視線を向ける。

すると、血だらけの人間が這うようにして、自身の足を掴んでいた!


男が飛び退こうとするが、血だらけの人間は足を離そうとしない。

男がしゃがんで手を解こうとすると、血だらけの人間は言葉を発した。


「ぼ、僕は……レアリィ。頼む、あ、悪魔を……悪魔を倒してくれ」レアリィ


血だらけの人間はレアリィだった!

リンボーヒー樹から落ちた彼は、なんとか命をつなぎ留めていた。

そして、近くを通りかかった男の足を掴んだのだ!


「……あんた、手当てした方がいいぜ」男

「いいから……っ。聞いてくれっ。恐ろしい悪魔を……め、目覚めさせてしまった。怒りの悪魔……ソーリーっ。奴を倒さねば……村の未来は、ない……っ。よ、欲望の悪魔と、手を組めば……あるいはっ。……た、頼む。殺された友の……意思を……継いでっ、くれ……っ!うぅっ」レアリィ


男にそれだけ告げると、レアリィは息絶えてしまう。

息絶えた青年は、すでに男の足を離していた。


男は立ち上がると、空を見上げる。

男の中には、先ほどまではとは違い、力強い欲望エネルギーがみなぎっている!

拳を握り締め、男は言う。


「あんたの思いの強さはわかった。島を出るのは、怒りの悪魔とやらを海に沈めてからすることに決めたぜ……!」男


男は振り返り、村へと戻っていった。

こうして、レアリィの意思は、通りすがりの男に託されたのだった。

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