第5話:海の民ヒラサメの爪痕
ヒラサメの一撃は、悪魔ソーリーを海底火山へと吹っ飛ばした。
一呼吸おいて、海底火山へと近づいていくヒラサメ。
そのとき、周囲に異変が起きた!
海が、揺れているのである!
海底火山を中心として、深海の大地と海そのものが鳴動している!
それだけではない!
海中の温度が、揺れと同時に急上昇していた!
地の底から、熱がヒラサメに迫る!
足を止めていた少年は、あっという間に温度の上昇に巻き込まれてしまう!
「ぐうぅ!こ、これは一体!?」ヒラサメ
「ぐあはははははっ!これはぁーーーっ!私の怒りの噴火だっ!海の女神からのっ、貴様たち海の民への天誅だぁーっ!ヒラサメぇっ!」ソーリー
「ソーリー!」ヒラサメ
海底火山の中から、怒れる海の女神が飛び出してきた!
ソーリーは、体全体が岩に包まれており、岩の衣装は、海底火山の噴火口の中にまでずっと続いている。
肌と衣装の間は、明るいオレンジ色の輝きを放っており、煙を上げながら、肉を焼くような音を発している。
しかし、ソーリーの体はすぐに再生しており、命に別状などはない!
ソーリーが姿を現すと同時に、より一層、海中の温度が急上昇した!
「うああああっ!あ、熱いっ!なんて熱さだっ!」ヒラサメ
「どうだヒラサメああぁーっ!あちち熱いか熱いだろぉっ!私は熱い熱い熱いーっ!焼けているぞおおおっ!ヒラサメぇっ!」ソーリー
「の、喉が痛いっ!胸が熱いっ!すぐに逃げないと……!いや、あの悪魔だけは、野放しにはできないっ!」ヒラサメ
「私はぁ!マグマを浴びても生きていられるぞぉっ!貴様たち海の民はあああぁっ!こんな塩味のぬるま湯で死ぬうぅ!強いのはあああぁっ!私の方だあっ!」ソーリー
体を覆う岩が固まっていて、すでにソーリーは身動きが取れない!
それでも彼女は叫び続ける。
自らの強さを叫ぶ!
事実、命に危険が生じているのは、ヒラサメの方だった!
「い、意識が……!ぐ、おおおおぉっ!」ヒラサメ
「なにっ!?ぐああぁっ!」ソーリー
少年は、最後の命を振り絞り、ソーリーに殴りかかる!
その動きにはキレがなく、拳での攻撃も、ソーリーを貫くことはできない。
しかし、少年の一撃は、ソーリーに効果的なダメージを与えた!
ヒラサメの命を込めた一撃により、彼の怒りのエネルギーが拳を伝い、ソーリーへと襲い掛かったのだ!
ヒラサメの怒りエネルギーは、ソーリーの怒りエネルギーを巻き込んで、岩から流れ出ていき、海底火山に怒りのパワーが激突した!
怒りによる刺激で、海底火山の内部はうねうねと蠢く。
蠢く火山内部の岩の働きにより、マグマ溜りの溶岩は、どんどん火山内へと押し上げられていく。
溶岩は最初、少しずつ噴火口からあふれ出ていた。
しかし間もなく、火山上部が中から吹き飛ばされて、大量のマグマが海中を埋め尽くした!
ヒラサメとソーリーは、ふたりまとめてマグマの海に飲み込まれてしまう。
力を使い果たしたヒラサメは、すでに息絶えていた。
怒りの多くを失ったソーリーは、マグマに飲まれて気絶してしまう。
こうして、リンボーヒール村周辺の海域は、大噴火によって地獄と化した。
海中や海上は、超高温を保ったまま、長い年月が過ぎていくのだった。
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