第3話:欲望の悪魔デスリンボー
森の奥深くには、静かな森に似つかわしくない小屋が建っている。
小屋の色はピンク!それも、ハートの絵に塗りたくなるような濃いピンクが、隙間なく小屋全体に塗りこまれている!
これほどハデな小屋にもかかわらず、長年、誰一人として、この小屋に近づいた人間はいなかった。
欲望を吸い取られそうなこの小屋に、人間の誰しもが恐怖を感じてしまい、近づくことすらままならないのである。
そんな孤立無縁の隠れ家に、堂々と近づく者がいた。
怒りの悪魔、ソーリーだ!
彼女は指先で、紙のような妖精をぐしゃぐしゃと丸め潰しながら、小屋の扉を目前にして立ち止まる。
ソーリーは妖精を間に、手の平を扉へと突きつけた!
ごおぉん、という大きな音とともに、扉と妖精は小屋の中へと吹き飛んでいく。
「ふあはははっ。威勢のいい客人が来たようじゃのぉ」???
室内には、煙が漂っていた。
いや、厳密には室内のある一点に、煙状の姿をした何かがいた!
その何かが、小馬鹿にしたような笑いを漏らし、突然の訪問者を出迎えたのだ!
中にいたのは、欲望の悪魔デスリンボーだ!
その悪魔の体は、毒々しい紫色をしており、中央部の煙がボディーであることは、一目見れば明白である。
足がない代わりに、ボディーの下先端部が触手のように細かく蠢いている。
頭は丸い!
煙だが、髪の毛一本すらもなさそうな頭をしている。
その頭の丸みが、悪魔のシンボルである2本の角を際立たせている。
ボディーの左右に浮かぶ、鳥の趾のようなものが手だ。
指は3本。
煙の腕などついてはいない。
それでも、手は浮いている!
翼!
とても小さい。
悪魔ソーリーの翼と比べて、1割にも満たないであろう翼が、煙の背中に存在する!使い道はない。
そして最後に目!
三日月のように美しく鮮やかで、それでいて鋭い目をしている!
レーザーでも出そうだ!
悪魔デスリンボーの姿は、まさにモンスターである。
人型悪魔のソーリーが人としての形を残しているのに対し、デスリンボーは人とかけ離れた姿をしている。
誰の目から見ても、デスリンボーが村の住人でないことは、明白なのだ!
「貴様だな。村人を欲望で飢えさせたのは」ソーリー
「くくくっ。わしの名はデスリンボー。欲望を司る悪魔じゃよん。……アイムが助けを乞う欲望を垂れ流していたようだが。お主、わしの部下をどこにやった?」デスリンボー
「ふっ」ソーリー
ソーリーが指さした先には、床に横たわる扉があった。
デスリンボーは素早く、扉の近くへと飛んでいく。
そして、浮いている手の片方を、扉に近づける。
彼の爪先に、埃の塊のように丸められた妖精がくっついた。
「おおおっ!アイムよ、こんな姿になってしまいおったのかっ!?楽しそうなことしおってからに、こやつめ~っ」デスリンボー
「…………」アイム
「ところでわしに助けを求めていたようだが、一体何の用で困っておったんじゃ?……まあよい。お主の欲はいただくとしよう」デスリンボー
デスリンボーは、妖精の欲望を吸収し始める。
そんなデスリンボーの背後に、息を殺してソーリーが忍び寄っていた。
そして、無防備なデスリンボーの胴体を、ソーリーの拳が貫いた!
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