SF（スコシ・ナントカ）短篇

SF（スコシ・フロート）

　18禁が解禁されるまで、残り数ヶ月。今日初めてその事実に気づかされた。

　床に寝そべり、その事実を光にかざして眺めていると、味のない虚しさが胸一杯に広がった。酸素の濃度が薄まり、何処か息苦しくなる。

　18禁とは一体何だったのか？

　その答えがきっと鍵になる。

　18禁とは――。

　18禁とは――。

　18禁とは――。

……リィーリィーリィーリィー…………。

　鈴虫の鳴く声が窓の向こうから聴こえる。

　ガチャン、ガチャン。

　車輪がグレーチングを踏み鳴らす。

　コ。　カ。　コ。　カ。　コ。　カ。

　時計の針が耳と耳を往来する。

　壁と壁を往来する。

　往来する。往来する。往来する。

　大きく息を吸い込み、起き上がると、一面の大河も、空虚の羊水も見えなくなった。