第四章1もう一つの武器
ダンテとギュスターヴは槍を見張っている魔女をなぎ倒しどんどんウィッチクラフトアカデミーの地下に潜入した。
真ん中に禍々しい紫の炎を纏っているグングニルが矛を下に向けて柱のように突き刺さっていた。
部屋全体がその明かりで染め上げていた。槍は見知らぬ者を威嚇するようにパチパチと火炎の音を弾かせる。
これを持ち上げると何かが起こる子供を示唆している。
その様子にダンテは笑わずにいられなかった、この力を手にいれればこの世のすべてを統べる事も容易であるであろう。
それに触れようとする彼の手は震えている。
年齢の割には子供のような手であった。
心配そうに離れた場所でギュスターヴはその様子を大理石の石像のように事のなりゆきを、眺めていた。
彼を心配してであった。
「やはりこのようなこそ泥みたいな真似はよした方がよいダンテ」
それまで満ち足りた様子でグングニルを見つめていたダンテはその声にキっとギュスターヴを睨み付けた。
「こそ泥だと!? ここの奴らの方がこれを独り占めして自分の物としているではないか」
気分を害したダンテにギュスターヴは肩をあげて黙るしかなかった。
その時誰かの声が聞こえた、見張りはすべて気絶させたはずだ。(いつでも何かを守っている見張りや囚われている者を監視する者はひどい目にあうのが相場である)
「そこに、いるのは?」
声をかけたのはムニカとカレンであった。
「貴様らかこのグングニルを手にいれて地球にやってきた輩は、悪い事は言わんその槍を渡すのだ」
ムニカは臆することなく彼に諭した。
「これはダークウィッチをやっつける為に持ってきたんだ」
その言葉を待っていたようにダンテは反論した。
「お前達はこれを、独占して俺達を皆殺しにするのだろう、そうはいかんよ」
カレンは両手を握りながら叫ぶ。
「それは違う、これはあくまでダークウィッチが強くなっているからこれが必要になっただけよ」
しかしダンテには彼女らの話をはなから信じていなかった。信じようともしていなかった。
「まぁいいさ。この槍の魔力はお前達が来る前に吸収しておいた」
彼の手がグングニルの前に震えていたのはその為であった。魔力をすいとっていたのだ。
それはダンテの手の中に黒い煙となり剣の形と変形していった。
「これが俺が作ったタリズマン、龍殺しの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます