2

 ダンテはバルムンクを下段に構えてジリジリと近づいてくる。

 最強の剣を手に入れた彼は興奮を隠せずにいた。

 子供が自転車を手に入れたように。そうなればどこにでも行ける気がした。


 「もうやめようダンテ!」

 それまで静かに様子を見ていたギュスターヴがたまらず言った。

 これまでどうか穏便にすむことを願ったいたのだ。


 だがもう我慢できない。

 「我々はそのバルムンクを手に入れた、それでもういいじゃないか」

 ダンテは初めてそこに彼がいる事に気づいたように愛想なく答える。

 「ふん、こんな武器をこいつらに一つでも持たせたら何をするか分からない、グングニルも奪いこいつらが何もできないようにしてやるんだ」

 それにはこの二人を地獄に送らなければならない。

 とばかりにまたもカレンとムニカに剣の切っ先を向ける。

 ムニカとカレンは疾風のように攻撃を仕掛けてきたギュスターヴをふたてに分かれてなんとか交わした。この部屋は少しばかり狭いので避けるとき転がったムニカは壁にぶつかってしまった。

 なんとか起き上がったムニカに横一文字の攻撃が放たれた。


 しゃがんで避けると剣の重みを感じさせる音がブオンとなり、まともに受けていたら身体が真っ二つになっていたであろう。


 「やめてください!」

 打撲した横腹をさすりながらムニカがあえぎながら言った。

 「それではその槍を渡すのだな!」

 「それはできない」


  槍を持っていなければダークウィッチと戦う事ができない。

 

 それを聞いたダンテは上段に剣を構えて兜割りを喰らわせようとした。

 倒れたままぐるりと回転して攻撃を避ける事に成功した。

 

 これはこのグングニルで戦うしかないのか!?

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