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「なんでブラックゴーストが私に用がいるの!?」
黒衣にドクロの仮面をつけた出で立ちはまさにブラックゴーストである。
近くで見てみると意外と小柄であった。
「あなたが何しに来たか分からないけど、その仮面取ってもらわないとお話にならないわ」
「……」
沈黙が流れる。
ハッと気づいてこいつを連れてきた隊員の女の子に部屋を出るよう合図した。
彼女が敬礼した後部屋を出て扉を閉めた瞬間ブラックゴーストは仮面をとっていた。
あっと小さな悲鳴をあげるポエム。
そこにはまだ若い端正な顔立ちをした男性が立っている。
「なんで男が魔法を?」
ポエムは昔男の子の魔法使いを見たことがある、しかしそのおかげで大事な人を奪われた思い出したくない記憶である。
「男の魔法使いは不吉なのよ!」
一瞬ブラックゴーストのリーダーが寂しそうにかつ怒りにみちた表情をした。
「そう、私たちはそのためにこうやって仮面を被って活動しているのです。さっきあなたの言ったように男魔法使いは不吉であるとそして我々は世界中の隅に追いやられるように何もせずに生きてきました。あぁ遅れませながらわたくしの名前はギュスターヴと申します」
まだ信じられないポエム。
「嫌われていたならなんで戦っているのよ」
「だからこそです、我々もこの力を何かに役立てたい、しかし男の魔法使いは警戒されるなのでこの仮面を被り、ブラックゴーストとして活動しているのです!」
ポエムはフンと鼻をならした、あまり彼らを信用していない。無理もないドクロの仮面で真っ黒な出で立ちさらに正体は男魔法使いである。
「それで? 何の用? まさか私達は戦いをやめてスヌーピーみたいに屋根でお昼寝してろって言うわけ?」
冗談に聞こえたのかポエムの言葉にニヤリと微笑むブラックゴースト。
バカにされてたと思って鼻の横にシワを作るポエム。
「我々は君達と手を組みたいんだよ」
まるでいきなり手を握られたみたいに彼から離れる。
「何を企んでいるの!?」
当然の反応だと両腕を広げるギュスターヴ。
「何も企んでいないと言えば嘘になります、実は我々もアニマが枯渇していまして、それに日に日にダークウィッチ達は強くなっていってます。このままだとダークウィッチとの戦いで必要なアニマが手に入りにくくなり戦う事ができなくなり我々はまさに不必要な者となってしまいます」
それ見たことかとポエムは人差し指でギュスターヴを指差した。
「そうやって私達が必要なアニマをすべてかっさらっていくつもりね」
しかしギュスターヴは首をふり、考えているみたいににやけていた。
ギュスターヴの言い分では半分半分にアニマを分け与えるという条件で戦いに協力するというのだ。
一見こっちが不利と思われるが最近のダークウィッチはたくさんの魔女を食べて強くなってきている。
死人こそ出てはないが何度か隊員が致命的な攻撃を受けた例もあった。
ブラックゴーストはかなりの魔法力の持ち主である、その組織と手を組んで戦うのもいいかもしれないがリスクも負う事となる。
もし男だとバレたらアニマの争奪戦となったら。
だが今の状況も厳しい。これは賭けに出るしかない。
ポエムはそっとギュスターヴと握手した。
交渉成立である。
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