15

 くんくんとイトウマキが鼻を揺らして匂いでダークウィッチの場所を教えてくれた。

 何の匂いかは不明だが。

 ダークウィッチの群れが空を飛んでいてまるで編隊を組んでいるようだ。

 ひときわ大きなダークウィッチがいてリーダーと思われるそしてあいつがカレンを取り込んで連れ去った張本人であった。

 こちらに気付いたのか――無理もない近所迷惑になるほどの爆音でバイクを走らせていたのだ――こちらを空から見下ろすとなんと口をきいたのだ。

 「お主が何故ヘカテ様の加護を受けている、人間の分際で!」

 その声はカレンのようだったがゆっくりしたような口調である。

 そう、ソノシートをゆっくり流しているような声だ。

 「僕達が何をしたっていうんだ!」

 ムニカはバイクを止まらせて空のダークウィッチに叫んだ。彼らはなかなか耳がいいので聞こえる。

 「知れた事我々の土地を汚した」

 恐怖に負けないように奥歯を噛み締めるムニカ。

 「それとカレンがどういう関係がえるんだ。早くカレンを返せ!」

 ふんと鼻をならすダークウィッチ。

 「この女は我々を引き付ける匂いを発していたため我々は忌まわしいウィッチが魔法を学んでいる場所を攻めこむ事に成功したのだ」

 空を見上げたまま大きなダークウィッチに向かってまたもや叫ぶムニカ。

 「カレンは人を治癒する魔法でみんなを治してきたんだ!!」

 ダークウィッチはそのカレンの声でこう言った。

 「その治癒能力によってお前達の魔女達が回復してまた我々を攻撃してくる、戦いに参加しているのと同じ事だ。それにこいつを取り込んでおけばこの治癒する能力を使う事ができる」

 ダークウィッチは右手を椀を持つように広げた。

 「そんな事よりこの状況を見たまえ」

 はっとなるムニカ。

 ここにいるすべてのダークウィッチがムニカとイトウマキのバイクを狙って攻撃体制にはいっていた。

 「ふせげるかな? この数を」

 リーダーのダークウィッチはわずかだがにっと笑っているように見える。

 ムニカの手は汗でべしゃべしゃだった。

 まさに絶体絶命である。

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