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 カレンは虫の本を返すと、そこにいたイトウマキの頭をなでなでした。

 イトウマキは気持ちよさそうに頭をカレンの手にグリグリさせた。

 (チェ、女の子にはなでなでされても怒らないんだ)

 ムニカはそこで変な感情が芽生えた。

 彼は気付いていないがこれは『嫉妬』という名前の気持ちである。

 ネコに嫉妬するなんてあり得ないと思われるがムニカが先程喋っていた男性のネコに嫉妬したのは事実である。

 そのため意地悪を言ってしまった。

「へぇー、女の子にはなでなでされるんだ」

 すると中腰でイトウマキをなでていたカレンは不思議そうにムニカを見上げた  

 長いまつげをぱちぱちさせている。

 「誰の事?」

 なんだかイトウマキが意地悪そうに笑った気がした。

 「え? いやイトウマキが男になでられるのは嫌だと言ってたから」

  くすっと笑うカレン。

「ネコは喋らないよ」

 グオッと変な声を出すムニカ。

 謎が増えた、どうやらイトウマキの声はムニカしか聞こえないらしい。

 

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