第8話 本格<捜査>
8-1 確認
「昨日は、結構、酔っちまったな」
午前8時45分頃に、公安課の自身のデスクについた玉井は、内心にて呟いた。
「お早うございます、玉井警部」
公安課の後輩で、巡査部長の下田信良からの朝の挨拶であった。
「ああ、お早う、下田君」
「警部、今日から、例の劉仁宏氏殺人事件ですか?」
「うむ、本当は、一課の仕事かもしれないが、国家の大事とやらで、こちらに廻って来たからな」
下田は、いつものごとく、玉井の右隣りに座り、自身の業務用パソコンを開いた。先に、自身のデスクについていた玉井は、開かんとしていた自身のパソコンが、下田との会話で開けていなかったものの、改めて、彼自身のパソコンを開いた。
まずは、所謂、
<メールチェック>
によって、自身の業務についての内容を確認せねばならない。
<宜しくお願い致します(捜査一課警部補・山城葵)>
というタイトルの下、彼女から届いた、業務についての電子メールを玉井は確認した。
その電子メールのその本文には、
「公安課 玉井康和警部」
の肩書の下、
・死亡推定時刻
・凶器(米国××社ライフル)
等についての情報が記され、そのメッセージの末尾には、
「以上、宜しくお願い致します。
捜査一課警部補 山城葵」
とあった。
葵からの今朝の電子メールの内容については、既に、玉井としてもかなりの程度、了解はしていた。
しかし、殺害に使われた肝心の銃の行方は分からず、自衛隊、警察特殊部隊等でも装備されていない、となると、捜査は困難になることは、既に、今朝のこの時点で想像できた。
「山城警部補も、随分、苦労したろうな」
当然の如く、予想された感想を、玉井はつぶやいた。
下田が言った。
「どこから、凶器が手に入ったとか、入手ルートが分からないようでは、凶器のルートの捜査は困難ですよね」
玉井宛の電子メールには、
<CC>
があり、同じ電子メールが下田にも送信されていたのである。下田は現在、半ば、玉井の助手のような存在である。
下田も又、玉井と同じ感想を持っていた。
「確かにな。しかし、犯罪は当然、動機があるはずだから、その動機がどこにあるか、だな」
「色々と考えられますから、一本に絞りこむのは良くないでしょうね。劉仁宏氏は、衆院議員という要職にはありましたが、場合によっては、個人的に恨まれていたとか、意外な理由があるかもしれません」
下田の問題提起に対し、
「その通りだ。しかし、本来、こうした殺人等の案件は、我々、公安ではなく、捜査一課の仕事だ。それが、我々に回ってきた以上、これは単に、恨みの線による殺人でもなかろうよ」
と答え、その上で、玉井は自分のデスクに向き直った。
しかし、とは言うものの、
<動機>
は何なのか?
玉井は普段、街で見る光景を踏まえつつ、考えてみた。
彼は、公安の刑事として、大学のキャンパスに半ば、
<潜入>
したり、あるいは、外国人の多い地区にある種の
<偵察>
に入ったこともある。
あるいは、昨日の居酒屋で見たように、ある種の
<外国人差別>
を耳にすることもある。
外国人は2030年代の今日、既に単なる
<お客人>
ではない。日本に定住し、
<社会>
を構成する仲間のはずであり、それは、政府が出版している、所謂、
<人権状況>
について出している報告書や、インターネットでの政府省庁のホームページ等にても明らかなことであった。
<政治権力>
というのは、そもそも、
<制裁の発動、又は、その示唆を通じて、≪社会≫の成員全体の服従を強制し得る力である>
とされる。
である以上、参政権がなければ、自身の利害が反映されていない
<社会>
の性格に自身の
<個人>
としての利害を一致させるしかないのであり、換言すれば、他の<個人>の利害のために、
自身の利害を一致させることを強いられていると言っても良かった。
外国人たちは-それが単なる旅行者ではなく、定住者ならば-、まさに参政権を持つ他の<個人>の利害の下に生きさせられている、といって良かった。
故に、
<外国人参政権>
が、20世紀(前世紀)からとり沙汰されて来たのであった。しかし、所謂、
<右>
の勢力を中心とした執拗な反対論によって、今日なお、実現できていないというのが現実であった。
民主労働党所属の劉仁宏衆院議員は、それを実現しようとして努力して来たのであった。
それ故に、
<右>
の勢力によって、憎まれ、恨まれているとも思われた。
だので、1つには、捜査方針として、所謂、
<右翼>
団体等を中心に、捜査するのが必要であろうか。
しかし、そうした団体も、東京をはじめ、日本国内に多々、存在するのである。場合によっては、捜査は難航し、長期戦になることも予測された。
この場合、やはり、凶器となった
・米国××社ライフル
のルートを追うのが、1つの効率良き捜査ルートとも言えた。
しかし、その凶器の手掛かりが半ば、殆ど存在しない。このことは、捜査一課の山城警部補からの電子メールによる連絡によって、既に明らかになっていることである。
<劉仁宏殺人事件>
は、最初から、難事件であった。
「久川警視」
玉井は、席を立ち、自身の上司にして公安課長たる久川正男警視のデスクに向かった。
「ん、何だ?」
「久川警視」
「劉仁宏殺人事件の本件ですが、やはり、劉仁宏の思想等の角度から、追いたいのですが如何でしょうか」
「うむ、それがよいかもしれない」
久川はそう言うと、
「凶器の件だがね、私も捜査一課からの連絡は受けているのだが、凶器の線からは追及が難しいようだね。とりあえず、凶器の件は外し、今、玉井君が言った線でいってもらいたい」
「警視が言われたように、凶器の線がなかなか、難しいですからね」
「うむ、今回は、凶器の線が難しいので、多分、玉井君のやり方しかないと思う。私も玉井君に同意する」
玉井は、自身の上司の承認を得たことで、少しく嬉しくなり、捜査への前向きな士気が上がったようであった。
自身のデスクに戻ると、玉井は下田に声をかけた。
「下田君、そのパソコンで、まず、都内の右翼団体についてホームページから、あたって行ってくれるか?俺は、警察内部の資料や、公安調査庁の資料にあたって行くよ」
「了解です。玉井警部」
そのように言うと、下田は、自身の業務用パソコンをインターネットにつなぎ、まず、検索装置に
<右翼団体>
と入力し、手始めに、東京都内の右翼団体の検索から始めた。
「それにしても、色々、あるな」
各右翼団体のホームページには<外国人参政権>反対をも含む、様々な主張が示され、加えて、インターネット上の掲示板には様々な主張が書き込まれている。
既に、昨今は、
<情報化社会>
と言われて、久しい。思想の左右を問わず、各々が自由に情報発信ができ、それが海のように巨大な存在になっていることが、2030年代の現在の
<社会>
の現実であることを、下田は改めて、思い知らされたのであった。
それは、
<情報化>
によって、
<社会>
は誰とでも連絡できることによって、
<狭い>
存在になったと言われつつも、同時に海のように、極めて
<広い>
存在になったことをも示していた。
かつての<情報化社会>以前の社会であるならば、各国の
<社会>
にとっては、
<外国人>
は、
<広い>
世界の中で、極めて、縁遠い存在であったと言えよう。しかし、所謂、
<グローバル化>
によって、<外国人>は常識的に、全く、身近な存在となり、我々の日々の生活たる、例えば、
<地域>
という昔ながらの<社会>という<狭い>概念の中に、(定住)外国人という、ある種の
<広い>
世界の具体例、あるいは、概念が存在していた。
<狭い>と<広い>
という逆ベクトルが同時に存在している姿は、
<情報化>
によって、国境という枠組みを越えて、経済が活動しているものによるものであった。文字通り、
<海>
をこえた動きの具体的姿であった。
<情報の海>
は、今日における本物の
<海>
の姿を反照しているのであった。
8-2 検索
下田がインターネットによって、都内の右翼団体を検索をしている一方、玉井は、まず、公安課の過去の情報にあたった。
現在、30代になる玉井の親戚にも、警察官、つまり、刑事がいた。玉井の出身地での某県での警察の捜査課に属していた人物であり、玉井にとっては、自身の祖父と同じ年代にあたる人物であった。
老人になっていたその親戚の男性は、孫くらいの年にあたる玉井に、しばしば、警察内部での捜査にあたって、多くの資料のページを調べ、時には細かい、しかも丁寧とは言えない文字をルーペで拡大して調べ、犯人に迫ったという苦労話を聞かせてくれたものであった。
玉井にとっては、学校や塾での宿題がどうこうという、苦しい
<日常>
から離れて、
<非日常>
に逃げ込み、普段とは全く異なる世界を楽しめる機会であった。あるいは、学校という、つまりは、
<管理教育>
という言葉に代表される抑圧された狭い、閉鎖的な空間-それこそが、当時の玉井康和少年にとっては、<日常>に他ならなかったのだが-から、飛翔し得る一種の
<回路>
であった。
だから、刑事の世界にあこがれた、とも言えた。
大学入学後、玉井の世界は、-多くのものがそうであったかもしれないものの-、比較的に
<自由>
つまり、あまり、
<抑圧>
のないものとなり、それが大学時代当時の彼の
<日常>
となった。大学にて、色々と勉強し、又、周囲が就職活動をしていく中で、会社等に代表されるある種の
<組織>
に入れば、再び、
<自由>
から、ある程度の
<抑圧>
の世界になることは分かってはいた。まして、警察は階級組織である。いよいよ、ある種の
<抑圧>
が言われるべき組織でもあった。
そのことを分かっていてなお、警視庁公安課に入庁したのは、
<事件>
を追う面白さ、つまり、自分自身で、
<犯人逮捕>
という目的を負い得ることにあこがれ、かつ、公安課なら、エリートになれる、という現実的な出世欲もあったのであろう。加えて、
<電子ゲーム>
-インターネットをも含め、様々なゲームが、当然の如く、存在している世代の一員である玉井にとっては、
<捜査>
はゲーム感覚でとらえ得るものであった。又、その意味では、警視庁への入庁は、幼い頃からの生活体験の積み重ねの延長にある者であり、
<就職>
という、自身の人生を左右するものでありながら、取組みやすいものであったのかもしれない。
現在での玉井の位置は、かつての
<旧世代>
から引き継いだものと、玉井が属する
<新世代>
的感覚が合作しているもののようであった。
玉井は、警視庁公安課の保管資料の検索にあたって、自身の業務用パソコンのインターネットの専用ページにある検索窓に
・右翼
・外国人参政権
等の関係が思われる数語を記入し、検索してみた。
改めて、沢山の項目が出て来た。まるで、インターネットが、
「劉仁宏氏は、沢山の人々に狙われていた。いつ、どこで、誰に殺されてもおかしくはない」
と解説しているかのようであった。
勿論、問題は、
・いつ、どこで、誰に殺されたか?
であり、その背後にある加害者側の
<犯行動機>
なのである。
「こりゃ、本当に長期戦になるぜ」
玉井は、思わず、パソコンの前の膨大な情報、言うなれば、
<広い世界>
を前に、嘆息交じりに呟いた。
「確かに、おっしゃる通りでしょうね」
右隣の下田がすぐに反応した。下田も、インターネット検索の中に、似たような
<右翼団体>
が大量に出ていていることから、玉井と同意見になっていたのだった。
「こんなに沢山の団体があるんじゃ、相当な手間がかかるでしょうね」
「うむ」
しかし、同時に、玉井は幼ない頃、警察官という今日の世界に自身を導く形となった親戚氏の言葉も忘れてはいなかった。
「捜査は苦しくて当たり前、1日、1日の積み重ねが、ホシに至る道だ」
しかし、今回の劉仁宏氏殺人事件は、
<国家の大事>
である。捜査が長引き、犯人逮捕が遠のけば、
<社会>
からの
<警察>
への信頼は遠のき、警察への信頼ができなくなった
<社会>
は、警察不信から、捜査等に非協力的となり、いよいよ、治安の悪化にでもなれば、それこそ、
<国家の一大事>
であろう。
その意味では、面倒な作業と雖も、玉井や下田の作業は
<ムダの積み上げ>
によって、
<社会>
を犯罪という
<非日常>
から護り、
<国家の一大事>
を防ぐことに貢献しているとも言えた。
と考えなければ、面倒な検索作業は言わば、内心で、
「やってられない」
と言わざるを得ない作業であろう。
「玉井君」
しかし、久川からの声掛けが、自身に耽溺していた玉井の世界を破った。
8-3 急展開
「どうされました、久川警視」
声に少々、驚いた玉井であったものの、声の意図を久川に問い返した。
「今回の劉仁宏殺人事件について、都内の○○市で逮捕された男2人が、劉仁宏氏の件で関与をほのめかしているらしい」
「え!?」
突然のことに、玉井は思わず、大声になった。
「それで、その2人というのは、どういう立場なのでしょうか」
「う~む、まだ、所轄署での取り調べは始まって間もないので、どうも良く分からない。しかし、例の≪世界創世教≫と関係があるらしい」
<世界創世教>
といえば、先般、捜査一課の山城葵、塚本楓両警部補が、
<斉藤良雄殺人事件>
の際、関与がほのめかされていたものの、重要参考人の1人である津島が自殺し、事件への関与が
<迷宮入り>
していた。
「久川警視、私が公安課の刑事として、直接、所轄署に取り調べに行きましょうか」
「いや、容疑者の側としては、取り調べ係が色々と交代すると、容疑者との信頼関係が崩れるかもしれない。済まんが今は、まだ、先程までの作業を続けてくれ」
「分かりました。で、とりあえず、さしあたっての捜査方針は、どんなものでしょうか」
「今の段階での捜査方針の一本化や、絞り込みはまだ、時期尚早だ。多角的な動きがまだ必要だ。玉井君等には、今の作業を続けてもらいたい」
「了解です」
そう言うと、玉井は、壁にある時計を見た。既に、午後1時近くになっている。
「下田君、腹が減ったんじゃないか?飯に行くか?」
「ええ、そうしましょう」
下田は、玉井の提案に同意し、2人は、共に席を立った。
仕事は忙しくなりそうである。そもそも、インターネットの膨大な資料に向き合わねばならない、ということからして、忙しくなることは明らかであった。
場合によっては、庁舎外に食べに行くことも考えられるものの、2人は庁内の食堂で昼を済ますことにした。
庁舎内の食堂には、山城葵の姿はなかった。捜査一課としては、それこそ、ライバルの公安課に半ば、捜査の主導権を奪われたことで、
<業績>
を奪われたと恨んでいることであろう。
そんな中での昼食は、やはり、気まずいものがある。その点は大丈夫なようであった。
「いよいよ、ことが複雑になってきましたね、警部」
「うむ、この後、どう展開するのか」
「さっき、久川警視が、まだ、捜査方針を一本に絞り込むのはまずいって言ってましたよね。色々な可能性はあるけど、例えば、劉仁宏氏を殺害したことに、実は、血縁関係者のごたごたが絡んでいたとか、となると、更に捜査は難しくなるかもしれませんね?」
「どういうことだ」
「ほら、時々、不法滞在の外国人とがが、いるじゃないですか。そう言った外国人については、親戚同士とか血縁者同士の関係にかくまわれているって、話を聞きます。失礼な話ですが、劉仁宏氏の周囲にそんな関係ってないんですかね」
確かに、そういう可能性もゼロとは言えない。しかし、劉仁宏氏は既に、日本国籍を取得し、しかも、
<民主労働党>
という公党に所属する国会議員である。下田が言うような関係が、何らかの形で背後にあるとすれば、劉仁宏氏自身の
<政治生命>
が破綻する可能性があったであろう。また、それのみならず、
<民主労働党>
が、公党としての
<社会>
からの信頼を失うであろうことになりはしないか?
その場合、与党・民政自由党が勢いづく可能性がある。現在、女性首相・高田が率いる政権は、経済政策の失敗等から支持率が低下しているが現状であり、故に、野党第一党である
<民主労働党>
は、勢いづき、攻勢に出ているのである。
もし、劉仁宏が下田の言うような関係を背後に抱えているとしたら、その好機を自ら、破壊しかねない。そうでなくとも、そもそも、最初から、そんな人物を衆院選時に、党公認で立候補させるだろうか?
あるいは、それでも、下田の言うような関係を持っていることを了解しつつも、民主労働党は劉仁宏を公認の衆院選候補としたのだろうか?それとも、劉仁宏がそのような関係を持っていながら、民主労働党は、それを知らずに、公認したのか>
いずれにしても、もし、そうだとしたら、それこそ、
<国家の一大事>
であろう。
昼食をとりつつ、色々と考えていた玉井ではあった。
しかし、やはり、一貫して、
<国家の一大事>
であることが、心中に引っかかっていたことは紛れもないことであった。
<劉仁宏氏殺人事件>
に時間がかかりすぎ、
<コールドケース>
にでもなれば、
<社会>
は警察への信頼をなくす。警察への信頼が無くなれば、まさに国家への信頼が危うくなる。
「もう少し、効率よく捜査できないものか」
玉井は、心中、組織によるある種の
<抑圧>
という流れの中にも、自身の
<自由>
による捜査の道はないかと、と考えていた。
「下田君」
「はい」
「例の右翼団体の検索の方は、どれくらいかかりそうかな?」
「それがまだ、見当がつきません。一口に右翼といっても、色々な団体や勢力がsりあすからね」
「うむ」
「とりあえず、俺達は、所轄の署での2人の別件容疑者の取り調べの結果を待つ必要がある」
「はい」
食堂に昼食に来てから、既に40分以上が経過していた。
「もう、戻らねば。今日の後半戦がまだ、残っている」
「はい、警部」
2人は席を立ち、トレーを回収口に戻すと、公安課の部屋に戻らんとした。
途中、廊下を歩きつつ、玉井は、下田に言った。
「すまん、ちょっと、手洗いに行ってくる。先に戻っててくれるか」
「分かりました。じゃ、お先に」
下田と別れた玉井は、手洗いの個室に入り、便座に戻りつつ、自身のスマートフォンのインターネットにて、
<世界創世教>
を検索してみた。
<被害者の会>
が各項目の上位に出て来た。
しかし、得体のしれないカルトとも思われる勢力に対し、いわば、
<素人>
というべき人々が細かく、その正体を追求できるわけもなく、
「占い」
等の甘言に騙されぬように」という注意書きがなされるにとどまっていた。
他方、玉井は、
<世界創世教>
のホームページをも開いてみた。
・困ったときには御相談を
・相互の愛の差し伸べ合い
等、いかにも、カルト宗教が語りそうなことが書いてある。
「愛の手の差し伸べ合い、か。まるで疑似家族だね」
あるいは、
<疑似家族>
だからこそ、
<世界創世教>
は、内部でがっちり団結して、外からは得体のしれない集団なのかもしれない。
故に、捜査にも困難をきたしているのであろう。
とにかく、玉井自身も公安の部屋に戻り、自身のデスクにつかねばならない。
かれは、スマートフォンを背広のポケットにしまい、手洗いを出、自身の如く場に戻った。
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