6

「カレジ家が、催眠術の使い手……? 」

メリアが目を見張ってそう呟くと、ほぼ同時だった。

「カレジ家……何故、何故そのことを、僕の家族について知っている!? シード・スカシユリ!! 」

イベリスの拳がシードの頬を直撃する。

「ぐはっ……!? 」

拳が離れると共に、シードは床にゴロゴロと転がっていった。

「シード様! 」

メリアが駆け寄りシードの頬に手を添える。

シードは平気だというようによろめきながらもすぐに立ち上がった。

「答えろ! 何故僕の家についておまえが、おまえなんかが知っている!? 」

「カレジ家には、男と女、それと男の叔父がいた。先祖代々催眠術の使い手の家系として有名であり、弟子にしてくれと頼む者や良くない仕事の紹介等が後を絶たなかった。カレジ家は元々貧しい家柄でお金に困っていることもしばしばだったため、弟子はとらなかったがそれらの良くない仕事は引き受けられるだけ引き受けて、お金を得て、生き繋いでいった。そんな時、戦争が起こった。50年前、サリファナ王国とシャトリック王国が協定を結び、グルセア王国を倒そうと試みた、あの戦争だ」

「や、やめろ……! それ以上は……!! 」

何かに怯えるような瞳を向けて、震える声でイベリスが懇願する。

だが、シードはそんなイベリスの顔を見もせずに、1人淡々と話を続けた。

「流石にどれだけ強いと恐れられていたグルセアも、協定を結んだ2国が襲ってくるとなればそれなりに警戒もする。そこでグルセア王国の女王様は、カレジ家に目をつけた。我々の作戦に協力をしてくれるのならば、一生遊んで暮らせるぐらいの報酬を与えよう、そう言って。カレジ家はすぐに飛びついた。何をすればいいのか聞くと、内容は至極シンプルなものだった。シャトリック王国にスパイとして潜入し、騎士の情報や相手の手の内等、全てを聞いて女王の元に知らせるように、と」

「やめろ、やめろ……」

「シャトリック王国にスパイとして潜入したカレジ家は、得意の催眠術を使って人々に騎士の情報、行われる戦争についての国王の意向、全てを聞き出した。そして、グルセア王国に帰り女王に伝えた。結果、相手の懐を全て知り尽くしたグルセア王国が勝利を収めたんだ」

50年前の戦争で、サリファナ王国かシャトリック王国、どちらかの国にスパイがいたという話。

あれが本当だったことにもまず驚いたが、そのスパイがまさかカレジ家……イベリスの家系が行ったものであるという事実が、更に驚きを加速させた。

「見事勝利したグルセア王国に、カレジ家はお金を縋った。自分達のおかげでグルセア王国は勝利を掴んだのだから、お礼の品を頂こうと。だが、謝礼は貰えなかった。銅貨1枚も、貰うことはなかった。それに怒ったカレジ家は、何度も何度も女王の元を尋ねては何か金になるものはないかと毎日のようにせがみ、挙句の果てには術を使って言うことを聞かせようとした。それに怒った女王は、カレジ家を国外追放にして、グルセア王国から遠く離れた村へと送った」

シードの口から語られていく真実に、イベリスの顔色はどんどん悪くなっていく。

忘れたいことだったのか、何か都合が悪いことでもあるのか、聞くまいと両手で両耳を抑えて懸命に下を向いていた。

「村に飛ばされたカレジ家は、あまり歓迎されなかった。水をかけられたり石を投げられたり……良い生活をしているとは言えない状況だった。それでも何とか生きていた。生きていれば、きっと何か自分達を救ってくれる人が現れるんじゃないかと信じて……。でも、現実は残酷。村に住み始めてから数年後、どこからともなくカレジ家は昔戦争でスパイをしていたという噂が流れ始めた。催眠術を使い人々を脅す、悪い奴らであるといった噂だった。それを信じた村の人達は、彼らを追い出そうと徹底的に追い詰めた。金品、身ぐるみ全て剥がされて、カレジ家はまた別の場所へとほっぽり出される。そんなことが、何回も、何十回も続いた時、歳と精神的な問題も重なり、叔父は死んだ。ある日、男と女の間に子供が産まれた。だが、子供が産まれた時、2人はもう随分と歳をとってしまっていた。数年後、女も死んだ。男と子供の2人だけになってしまった。男は絶望した。女も叔父もいなくなり、どうす ればいいのか路頭に迷った。そんな時だった。男は、ある花の存在を思い出した。昔、何番目かに訪れた街に、叔父が青い花を植えていたことを。その青い花は……」

そこで、シードの話は終わってしまった。

シードは続きを話さずに、ずっと服の内側に忍ばせていたのであろう、ボロボロの本を取り出した。

茶色く焼け焦げていて、随分昔の本であることが分かる。

シードは、それを高々と上に掲げて最後にこう言った。

「この本に記されていたのはここまでだ。もしもこの話が本当なら、教えろ。青い花って、いったい何だ? 何か特別なものなのか? 」

イベリスは、何も答えない。

完全に、全ての話から脳をシャットアウトしているようだった。

代わりに答えたのは、ローズの方だった。

「……シード・スカシユリ、といったか。その本を、何処で見つけた? 」

「自宅の書庫です。お父様に聞いたところ、これは昔外国の知り合いから貰ったものとのことです。歴史研究家の人達の元に巡り巡って、お父様のところにまで来たのだとか。何でも貰った当初からこんなにボロボロで、誰も役に立ちそうにないと判断して、知人に譲っていったそうで」

「だとさ、イベリス」

ローズの声を受けて、イベリスがゆっくりと顔を上げてシードが掲げている本を凝視した。

「なんで……それをおまえが……。それは、お父様のっ!! 」

「お父様? 」

シードの意外そうな呟きも耳に通らず、イベリスは力を振り絞ってシードの足にしがみついた。

「返せっ! それは、それはお父様の物だ!! 何でおまえみたいな奴が持ってるんだ!? 」

わぁわぁと、泣き叫びながら這い蹲るイベリスの口を挟んだのは、ノアだった。

「……なるほどね。推察すると、それはイベリス様のお父様が執筆された、日記というところかしら? お父様が亡くなって残った日記を拾った人物がそれを知人に渡して、巡り巡って歴史研究家であるシード様のお父様の元へと届けられた、と」

「ノア様!? もう大丈夫なんですか!? 」

「ええ。ありがとうございます、メリア様。皆様にも、ご迷惑をおかけして」

目を覚ましたノアがそう推察すると、アイビーが何かに気づいたように声をあげた。

「そうか! この騎士は、操られているんだ! イベリスの手によって! 」

騎士はまだうじゃうじゃいたが、シードが話し始めてからは皆、静かに大人しくしていたようだった。

いや、シードが話し始めてから、ではない。

シードの語りによってイベリスが心を乱された時から、だ。

「どうなのかしらイベリス様? その様子だと、シード様の言っている事は正しそうだけれど」

「……その本を、その、本を返せぇ!! 」

「駄目ね。もうそれしか言えなくなっている。カルミア様は眠っていらっしゃるけれど、これも催眠術のせいなのかしら? 」

「っ……! そうだ! こいつにかけたのは催眠術だ! おまえらだって、僕の催眠術にかかるといい! 」

正気を取り戻したイベリスが、そう脅しをかける。

しかし、ノアは怯えることなく言った。

「催眠術については私も詳しくは知らないけれど、本はよく読むほうだから基本知識程度は知っているつもりよ。言葉、身体、視線……主な原因はこれらかしら。だから、言葉を聞かず、身体に触れることなく、目を合わせなければよいのでしょう? 」

ここで、ヤナギも今までのこと全てに合点がいった。

まずイベリスとの密会中にメリアが突然倒れた時。

あれは、イベリスがメリアに術を使ったのだ。翌日メリアが記憶を無くしていたのが、良い証拠。

次にセルフの入団試験の時。

スイセンとイベリスが一緒にいた時のことを思い出したが、あの時もイベリスはスイセンに対して術を使っていたのだろう。だからスイセンはあんなにセルフに嫌がらせを繰り返していた。

今朝消えた教師達も、どこかに閉じ込められているのだとしたら催眠術を使った可能性が高い。騎士の人達も同様だ。

全てが、繋がっていく。

「それに、催眠術はちゃんと自分を意識していればかかる可能性は限りなく0に等しくなる。なんの前触れもなく突然かけられたから、先生方も騎士の皆様も簡単にかかってしまったのでしょうね」

「素晴らしい洞察力ですねノア様。ですが僕には、僕達にはそれ以上の素晴らしい戦力がいるんですよ」

「あら、それはどなたのことかしら? 」

まだ仲間がいるのかとヤナギが辺りを見渡してみると、イベリスと目が合った。

目を細めてこちらに視線を送るイベリスに、まさかと思う。

「ヤナギ様ですよ」

その、まさかだった。

「ヤナギ様? ヤナギ様が素晴らしい戦力なの? 」

「はい。僕がこの学園に来た理由は、主に2つあります。1つは、アイビー様やカルミア様のような最も権力のある人達に近づいて、1年生の中で僕という存在を皆に認識させること。有名人といることによって、僕の株も自然と上がりますからね。そうなれば、怪しまれる可能性も低くなりますし。それと後もう1つは、僕に協力してくれる人を探すことです」

「それが、ヤナギ様と? 」

「はい。ヤナギ様は本当に便利ですよ。命令すれば何でも聞いてくれるし、都合の良い道具です。それに、僕が今この話をしても、顔色ひとつ変えていませんし」

「そう……。それで? ヤナギ様を何に使うつもりかしら? 」

「僕、アイビー様とカルミア様の隣にずっといましたから、分かるんですよ。アイビー様もカルミア様も、ヤナギ様が弱点です」

「イベリス!? ヤナギをどうするつもりだ!? 」

イベリスが心に冷静さを取り戻したことにより再び襲ってくる騎士達の相手をしながら、アイビーがそう叫ぶ。

それにイベリスは、くつくつと笑いながらヤナギを見て言った。

「ヤナギ様、まずはアイビー様のところへ行き、注意をこちらに向けてください。手段は問いません。何でもいい。大丈夫、ヤナギ様ならできます。だってヤナギ様は、僕の頼み事なら何でもきくでしょう? 」

アイビーの元へ行って、注意をイベリスに向けさせる。

イベリスに注意を向けたアイビーがどうなるのかは、ヤナギでもすぐに分かった。

命令だ。協力すると言った以上、命令は絶対。

動かなければならない。ならないのに……。

「あら、そんなことで本当にヤナギ様は貴方の言うことをきくのかしら? 」

「ききますよ。ヤナギ様は僕の手下みたいなものですから。今までだってそうでした。だから、今回も……」

「あら、そんなはずないわ」

ノアが、ヤナギを見る。ヤナギの、右手を見た。

「だって、ヤナギ様は鍵をかけていないもの」

「っ……!? 」

イベリスだけでなく、ローズの表情までも一変した。

「おかしいじゃない? だって貴方達は、ここに生徒全員を閉じ込めるつもりだったのでしょう? だったら、閉じ込める部屋の鍵くらいはかけて当然よね? そして、その鍵を今ヤナギ様が持っているということは、その役目はヤナギ様のものだったんでしょう? でも、ヤナギ様はこの部屋に来てからまだ鍵をかけていない。これって、すごくおかしいことよね? 」

「ヤナギ、早く鍵をかけろ!! 」

ローズがヤナギにそう叫ぶ。

忘れていたわけではなかった。

ただ、何故か身体が動かなかったのだ。

広間に入るとアイビー様だけしかいなかったという衝撃のせいも多少はあったのかもしれないが、本当の理由はもっと別のところにあった。

「何してるんだ! ヤナギ!? 」


『ヤナギちゃん、もし何か悩んでるなら、私にできることってないかな? 私も、力になりたいの』


国際交流会合前、メリアと喧嘩をしてしまった時に言われたことを思い出す。

その言葉が、ヤナギの手を止めた。

扉の前まで来たはいいものの、鍵を持つ手が動かない。

震えていた。

「わた、しは……」

「ヤナギ!! 」

ヤナギは、どうすればいいのだろう。

答えなんて分かりきっている。

今ここで鍵を閉めて、職務を果たせばいいだけだ。

今までだって、そうしてきたではないか。

職務を果たせない自分に、価値なんてない。

ヤナギとして生きてきて、今更何を躊躇う必要があるというのだろう。

でも、動けない。

いや、違う。

動きたく、ない。

分からない。どうすればいい?

ぐちゃぐちゃになった頭で一生懸命考えても、分からない。

ヤナギには、分からない。

呼吸が荒くなってくる。

何だか気持ちが悪い。気分が悪い。

寒い。冷や汗が肌を伝った。

「クソっ……! 」

苛立ったイベリスが、ヤナギのところまで走って来る。その顔は、憎悪と険悪と、少しばかりの殺意に満ちていた。

「やめてぇっ!! 」

走るイベリスの足を、何とかメリアが掴んで止める。急な足止めに驚いたイベリスは、バランスを崩しそうになるもすぐに姿勢を元に戻す。

「離せ! 馬鹿女! 」

「きゃっ……」

振りほどこうと、掴まれていた足とは別の足で、メリアの胴体を蹴りあげる。

咄嗟のことに反応できなかったメリアは、小さな悲鳴と共に地面に転がっていった。

「メリア……? 」

自分の発した小さな声は、イベリスの完全なる殺意に満ちた声によってかき消される。

「お前の、お前のせいで……。お前がいたからヤナギはっ……。お前なんかっ……! 」

メリアに向かって、拳が振り下ろされる。

強く、速く、固い拳が。

「メリアっ……! 」

今度は、声がかき消されることはなかった。

動かないと思っていた足が異様に軽い。さっきまで重たく感じていたのが嘘のようだ。

瞬間、頬に激痛が走る。鈍く、鋭い痛みだった。

続いて、身体の節々が傷ついていく感覚に襲われた。目線の下は埃に塗れた広間の床で、そこに殴られたばかりの自身の頬が、這い蹲るようにしてくっついている。

「ヤナギちゃん……? ヤナギちゃんっ……! 」

「ヤ、ナギ……? なんでお前が、お前がっ、こんな奴をっ……! 」

悲しみに満ちた悲痛な声と、憎悪に満ちた殺意の声が同時に聞こえる。

2つの声を同時に聞きながら、守らなきゃ、ただそれだけを思った。

痛みに震える身体を何とか奮い立たせ、立ち上がる。

メリアの元までゆっくりと、それでもできるだけ急ぎ足で向かうと、イベリスと真っ向から対峙した。

「……何のつもりだヤナギ・ハラン。気でも狂ったか」

「……わかりません。気なんて最初から、狂っていたのかもしれません……」

殴られたばかりの頬を抑えることもせず、ヤナギはメリアに背を向けて、両手を横に広げていた。

そして、小さく。

「……やめてください」

「あ? 」

「やめて、ください……。メリアを、これ以上、傷つけないで、ください……」

震えた声で、掠れた声で、喉から絞り出した懸命な声で、必死にそう、懇願する。

ゴミを見るような視線を上から浴びるも、ヤナギは目を逸らさなかった。

何となく、逸らしてはいけないと、そう強く感じていた。

「なんでですか? 皆が幸せになる計画なんですよ? 誰も傷つかない、素晴らしい世界ができるっていうのに……。あなたは僕らを、裏切るって言うんですか? 」

その言葉に、頷くことも、首を振ることもできない。わからなかった。

ヤナギは今、誰を裏切っているのか……。

振り返ると、メリアがいる。

ボロボロのメリアが、瞳に涙を溜めてこちらを見ている。

それを見ただけで、ヤナギが今何をすべきなのかは明白だった。

「もし本当にこの計画が、皆を幸せにするためのものだとしたら、何故、メリアは今、泣いているのですか……? 」

「は? 」

「何故こんなにも、悲しそうなのですか……? 」

次第に、ヤナギの視界もぼやけて、掠れていく。

焦点が合っているのかいいないのか、イベリスの顔がまともに見られなかった。

頬に何か、冷たいものが伝ったような気がした。

「ヤナギちゃんっ……! 」

涙混じりの声がした。後ろから、すぐに彼女が発したものだということがわかった。

ヤナギはメリアを、守ることができたのだろうか。

「……もういい」

「え? 」

諦めたような、落胆した声音に顔を上げると、そこには酷く冷めた目をしたイベリスが、こちらを見つめていた。

そして、背を背けると、ヤナギの横を通り過ぎていく。

守れた……のか? そう思い、呆然としていた、その時だった。

「あっ……」

アイビーの声がした。

「アイビー様……? 」

意識を逸らすように後ろを振り向けば、足から血を流して倒れているアイビーがいた。

苦しそうな表情で、立とうとして、崩れ落ちる。その横には、ゾンビのように虚ろな目をした、アイビーと戦っていたのであろうシャトリック王国側の騎士。

「アイビー……さ……」

「これで、終わりだ……」

イベリスの低い声が、すぐそばで聞こえた。

それと同時に、何かが落ちる音がする。

「ノア様……? シードさ……」

皆、倒れていた。

守ったと、ついさっき、そう思ったばかりのメリアでさえも。

原因なんて、考えるまでもない。

「イベリス様、催眠術を……? 」

イベリスは、何も言わない。

怖いくらいの冷たい瞳で、ヤナギを見下ろすだけだった。

「イベリス、計画を1部変更する。先にブルーディムの元へ向かうぞ」

「はい。騎士共はどうしましょう? 」

「一緒に連れて行け。道中、何かあると困る。こいつらはもうどうせ動けまい」

ローズとイベリスが何か話しているが、今のヤナギにはどうでもよかった。

目の前で倒れている人達を見ることに、全神経を集中させてしまっていた。

「裏切り者はどうしましょう? このまま置いていくと、こいつらに僕らのことを喋るかも……」

「ああ。こいつは……」

最後、アイビーの「ヤナギ……」と呼ぶ声だけが、頭に響いた。





外は、雨が降っていた。

突き飛ばされるようにして、暗い暗い路地裏に捨てられる。

確かここは、ニール街の……。

思い出すことすらも、億劫だった。

ここは何処で、自分はどうなっているのか。

それすらももう、考えられなくなっていて。

「本当によろしかったんですか? ここよりもっと酷い場所を探しても……」

「かまわん。役に立たない奴になんぞ、もう興味はない。ゴミに時間を割きたくない」

「そうですね。では、さようなら。ヤナギ・ハラン……」

そんな言葉だけが、頭上から降ってきた。



どのくらい時間が経ったのだろうか。

冷たい。

雨が、強くなってきた。

動けない。

寒い。寒い。寒い。

冷たい雨が降り注ぐ。

ヤナギの身体に、それらが強く打ちつけられる。

役に立たない。

ヤナギは、役に立たない。

その言葉だけが、ずっと頭をぐるぐると支配していた。

意識が朦朧としてくる。

もう、分からない。

誰にも見つからない暗い場所に独り横たわったまま、ヤナギは静かに目を閉じた。

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