第32話埋葬

●埋葬


 葬儀は、村の端で行われる。


 村人住民が全員集まって、二つの穴を掘る。死人を埋葬するための穴である。全員で穴を掘ると、そのなかに死人が落とされる。死人は両膝を抱えた形で埋葬され、全員で交代で土をかけていった。最後の土はシチナシがかけた。


 兄のように慕っていたスズとの最後の別れであった。


 スウハが、死んだ二人のために祈りの詩を小さな声で呟く。大声で泣くことはなく、全員が声を殺してないた。それでもすすり泣く声は外に漏れだして、死人を呼び寄せる。


「どうして、スズは死んだんだろう」


 葬儀後に、ユキはシチナシに尋ねた。


 スズが自ら命をたったことを村人たちは知っていた。


「愛する人がいない世界に絶望したからですよ」


 ユキは、首をかしげる。


「絶望はするかもしれないけど。命を絶つほどのこと」


 愛しい人をなくしたことをないからだと言いかけて、シチナシは止めた。ユキも兄をなくしている。けれども、自分は死ななかったと言いたかったのだろう。


「君は強いからね。弱い人間は、愛しい人がいない世界を耐え切れないときもある」


「ボクが強いんじゃないよ」


 ユキは、そういった。


「人間が弱くて、愚かなんだよ」


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