第6話事件の終わり

明らかに重い。金貨60枚の重みじゃない。


「なんで、少し多いんですか?」


心の中で少しビクビクしながら聞いてみる。

すると、偉い人は急に昔話に出てくる盗賊のお頭みたいな黒い顔に変化した。


「王城にあんなチンピラ野郎が息をするように簡単に入って来れる。そんな噂がたたないようにするためだよ」


抑揚は有るが、物凄く闇を感じるような声だった。


「つまり、口止め料……」


「そういうこと。一国のある……ゲフンゲフン」


主……

一応正体は秘密で通すんですね。


「ゲフンゲフン。国としては、衛兵や警備の信頼を落としたく無いから。少し黙っててくれないかい?」


それから、1拍間を開けて


「それとも、消される方が良かったかな?こっちとしてはそっちの方が簡単だし」


と言ってこられた。


「はい」


首肯する他に無かった。

そして、私は金貨を受け取り、その日は早めに仕事を切り上げ家に帰った。

後日、偉い人(と一応言っておこう)の後ろに控えていた騎士団の団員が、侵入者の2人は処罰された事を伝えてくれた。一応関係者だったからだろう。ついでに事件のことを決して口外しないように釘を刺された。



こうして、1つ事件が終わった。

しかし、私はまだ怪盗になっていない。

それは、私が怪盗になるに至った事件はもう1つあるからだ。どっちかと言うとそれの方が重要。今回は、ただ王様(あ……言っちゃった)に認知されただけ。

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出稼ぎメイドはある日突然怪盗になる! 鈴木 那須 @kanade0625

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