合成改造魔獣
砂漠エリアに到達すると、
再び地響きが鳴り渡る。
それはまるで地の底から
湧いてくるよう振動。
再び地雷の類かと思ったが、
それはまったく別種のものだった。
砂を噴き上げ、撒き散らし、
姿を現したのは魔獣らしき生物。
「地竜か?」
巨大な、そう、
まるで巨大なミミズのような
未だかって見たこともない魔獣。
顔前面は大きな口のみとなっており、
口を開くと鋭い牙が
何層にも重なって生えている。
その巨大な口は
砂漠に辿り着いた我が軍勢を、
兵士達を次々と
喰い散らかして行く。
しかも、それは一匹ではなく
土煙を撒き散らしながら
砂の中から何匹も浮上して来る。
–
空から舞い降りて来る
いくつかの巨大な影。
それは、もはや
筆舌に尽くし難い程の異形。
「なっ、なんという醜悪な」
キメラなどの合成獣が
まだ可愛く見える程の醜悪さ。
それは、魔族や魔物、魔獣、
さらには人間までもが、
無数に集められ固められた
まさしく肉の塊そのもの。
そして、背中には
巨大な蝙蝠の羽を生やしている。
丸い形状のその表面には
手や足が不規則に飛び出しており、
その不気味さと醜悪さを増していた。
その体の持ち主は
まだ死んではいないのであろう。
肉の塊から突き出している手足は
まだピクピクと動き続けている。
もう一体は、やはり
丸い形状をした肉の塊に違いはなかったが、
その表面すべてが
顔で埋め尽くされていた。
こちらもまだ生きているのか、
それともただの怨霊なのか、
表面の顔はそれぞれ呻き声を上げている。
似たような化け物がまだ他に数体。
そいつ等は軍勢の兵達、
つまり自分の配下達を鷲掴みにすると
巨大な口に放り込む、噛み砕く。
喰われた兵達は
まさに化け物達の肉となる。
体の一部となる。
手足の化け物なら
表面に新たな手や足が突き出す。
顔の化け物では
外皮に新たな顔が浮かび、
喰われたことを恨み嘆く。
「将軍っ! 助けてくださいっ!
こんな死に方はあんまりだっ!!」
百戦錬磨の魔族として
様々な化け物を見て来たが、
これ程までにおぞましく禍々しい
醜悪なる生命体にはそうそう
お目に掛かれるものではない。
退路を断たれた大軍勢が、
剣や銃を手にし、魔法を使い、
立ち向かって行くが成す術も無く、
虫けらのように喰われて行く。
「フッ、ハハハハハッ」
あまりにも見当違いだった
自らの決意と覚悟が
おかしくなって思わず笑った。
勇者ははじめから
まともに我が軍と戦う気などは
これっぽっちもなかったのだ。
我々はこの醜悪なる魔獣達の餌として
ここに
ここは、この化け物達の餌場なのだ。
わざわざ本体を分断せずにおいたのも、
餌が多い方が
化け物達も喜ぶからなのだろう。
しかし、例えそうだとしても、
我々には戦うより他に道はない。
「よいか、皆の者
このような奴等を
野に放つ訳にはいかぬ
それこそ
この世界が滅びるかもしれぬ
例え、刺し違えようとも
こ奴等はここで討ち果たすぞ
くれぐれも心せよっ!!」
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