第12話

 あの後、私達は重く暗い雰囲気のまま解散し、私はなおくんと一緒に帰路についた。


「高梨……相当参ってたな……」


「だね……悪いことしちゃったかな……」


「達也が決めたことだ、結希は悪くない」


 そう言いながら、私の頭をくしゃくしゃに撫で始めた。


「んっ……なおくんの手おっきい……」


「あっ……悪い、つい」


 あっ……もっと撫でて欲しかったな……なおくんに撫でてもらうと自然と心が温かくなる。


「……なおくん」


「ん、どした?」


 私は赤くなってる顔を隠しながら、うるさい鼓動を抑えながら袖を掴む。


「結希?」


「わ、私ね――」


「んんっ、大変申し訳ないのですが……」


「「うわあ?!」」


 驚いて後ろを振り向く、そこにいたのは


「れ、怜奈ちゃん?!な、なんでここに……っていうか来るの来週辺りのはずじゃ……?」


「お久し振りです、結希義姉様」


「えっと……結希、この人は?」


 あーそうだった、なおくんは知らないんだった。


「えーっと、紹介するね……こちら飯嶋怜奈ちゃん、達也と同い年で婚約者」


「飯嶋って、あの飯嶋グループの?!」


「あら?ご存知ですの?」


 まあなおくんの場合はおじさん経由だよね、お父さんと仲良いし。

 なおくんの言う通り、数多くの企業を抱え持つ飯嶋グループのご令嬢で大和撫子をそのままにしたような綺麗な人。

 お父さんとはそこの会長さんとご縁があったらしい。


「知ってるも何も俺、あの藤崎裕貴の息子!いやーまさかここで飯嶋グループのご令嬢に出逢う、なん…でっ!」


 私はむすっとして、なおくんの足を全力で踏む。


「……ふんっ、どうせ私は魅力なんてないですよーだ」


 私が居ながら、鼻の下を伸ばすなおくんなんて知らない!


「えっと……御姉様?達也さんはどちらに?」


「え、まだ帰ってないの?」


「はい、おば様にお伺いしたところまだご帰宅なさってないって言うことでして……」


 うっわー、なんかめんどくさいことするなぁ。


「多分家に居るよ、訳あって居ないよう伝えろとかなんか言ってんじゃないの?」


「いやでもいらっしゃらないって……」


「あいつ引っ込み事案なとこあるから、多分恥ずかしくて私と一緒じゃないとダメなの」


 縁談の時はお父さんのお陰もあって、何にもなかったらしいけど。


「……そう言えば、この間そのようなことを聞いたような」


「じゃあいこっか」


 私は怜奈ちゃんの手を引っ張り、家に帰る。


「あの、宜しいのでしょうか?放っておいても……」


「……いいの、帰り道一緒だし」


 そこで反省してて!私の気持ちを弄んだ罰!

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